サッカーW杯・出場選手ランキング【CF編】

記事

 世界の超一流選手が集う4年に一度の祭典、ワールドカップ(W杯)。今回のカタール大会への出場が見込まれる選手の中で、最高のタレントと言えるのは誰か。
 7つのポジションに分けて、それぞれにランキングを作成した。ポジションごとに設けた5つの評価項目を各10点満点で採点し、その合計点をもとに導き出したランキングだ。初回はセンターフォワード編をお届けする。(監修:片野道郎)
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※複数の選手が合計値で並んだ場合は監修者の判断で優劣をつけた。

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解説

ゴール、アシストという仕事においてメッシを上回る存在は今なおいない

エムバペは4得点を挙げてフランスの優勝に貢献した4年前から着実に進化。23歳になった怪物は、桁外れのスプリント力を利した突破や決定力はもちろん、アシスト能力を大きく高めるなどより万能なCFに【Getty Images】

 センターフォワード(CF)といえば「点取り屋」というイメージが強い。W杯のように一発勝負の短期戦であればなおさらである。

 しかし、この10年でサッカーの戦術が大きく変化し、ゴールを決める役割はCFのものだけでなくなると同時に、CFの仕事もまた多角化、多様化してきた。今大会で強豪国のCFを務める選手たちを見ても、最前線中央で基準点となりゴールを決める仕事に専念する古典的なタイプのCFは、むしろ少数派だ。増えているのは、中央をスタートポジションとしながら前線を広く動き回り、時には中盤にも下がりながらビルドアップを助け、味方が入り込むスペースを作り出しながら、最後のところではゴール前でフィニッシュにも絡んで行くという、多機能型のCFである。

 しかしもちろん、CFである以上、得点に絡む仕事で決定的な違いを作り出せなければお話にならないのは今も昔も同じ。そこで今回は、現代のCFに求められる多様な機能の中から主な5つを選び、それぞれについて10点満点で採点した総合点でランキングを決める方法をとった。総合点が同じ場合には、最も重要な項目である「ゴールセンス/決定力」で上回っているか、あるいは実績やチームにおける重要度という点で上回っている選手を上位に置いた。

 その結果トップとなったのはリオネル・メッシ(アルゼンチン)。メッシをCFのカテゴリーに入れることには異論もあるかもしれないが、アルゼンチン代表では2トップの一角を占めつつも完全な自由を与えられ、組み立てからフィニッシュまでのあらゆる局面に絡みながら、最後は自らがゴールを決めるという「全能の10番」というべき地位にあり、ウイングやトップ下よりもむしろCFと位置づけるのがふさわしい。2トップを組むラウタロ・マルティネスも、メッシに基準を置いてメッシのためにプレーしているのが現在のアルゼンチンだ。そしてゴール、アシストというCFにとって最も重要な仕事において、メッシを上回る存在は今なお見当たらない。

 それに最も近い存在と言えるのが、現役のバロンドール受賞者としてW杯を迎えるカリム・ベンゼマ(フランス)だろう。タイプこそ違うが彼もまた、組み立てからフィニッシュまであらゆる局面に絡んで違いを作り出す多機能かつ万能なCFだ。

 フランスのディディエ・デシャン監督はそのベンゼマに加えてもう1人、次世代のバロンドール候補ナンバー1であるキリアン・エムバペまでもチームに擁している。4年前のロシア大会ではウイングとして脇役扱いだったが、今大会では11歳年上のベンゼマと並び立つWエースとして、フランスのみならず大会そのものの主役となることが期待される1人。爆発的なスピードを活かしたカウンターアタック、遠目の位置からのドリブル突破でDFをぶっちぎってのフィニッシュは他の追随を許さない。

ペナルティエリア内の仕事に限ればレバンドフスキは随一だが

一時はクラブで極度の不振に陥ったケインだが、完全復活。スピードはさほどないものの、抜群の決定力に加え、オフ・ザ・ボールの動きが秀逸で、組み立てでの貢献度も高い【Getty Images】

 古典的なCFらしさを備えたストライカーの1番手と言えるのは4位のハリー・ケイン(イングランド)。とはいえ彼も前線中央に常駐するよりは頻繁にサイドや2ライン(DFとMF)間に流れて組み立てに絡み、攻撃のオーガナイザーとして機能しながら自らフィニッシュにも絡む万能タイプだ。

元々はMF育ちながら、いまや所属するチェルシーでも、ドイツ代表でも前線中央でプレーする6位のカイ・ハヴェルツも、戦術的な役割はケインのそれと似通っている。それと比べると5位のネイマール(ブラジル)は、タイプ的に同じパリ・サンジェルマンでプレーするメッシと共通点が多い。

 古典的なCFとしては世界ナンバー1と言えるロベルト・レバンドフスキ(ポーランド)が7位止まりという評価には、異論があるかもしれない。これは冒頭で触れたように、時代の変化に伴って評価項目が幅広くなり、「点取り屋」に特化したタイプには不利に働いた結果。ペナルティエリア内だけの仕事に限定すれば、今なお頂点を争う存在であることは間違いない。9位のダルウィン・ヌニェス(ウルグアイ)と10位のドゥシャン・ヴラホビッチ(セルビア)も、同じように古典的なタイプだ。

 もうひとつ異論が出そうなのは、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)の8位という評価だろう。長いキャリアを通したプレースタイルの変遷を経た現在37歳のC・ロナウドは、大半の時間を前線中央で過ごしながら、自らがゴールを決めることだけに焦点を合わせてプレーするフィニッシュ特化型のCFになった。クラブではそれを活かすことが難しくなってきたが、チーム全体が彼のためにプレーするポルトガル代表では、決定的な違いを作り出す可能性はまだまだある。その点で注目すべき主役候補であることは間違いない。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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