連載:打順別・最強打者は誰だ!?<4番打者編>

藪恵壹が語る打者と「目を合わせる」駆け引き 清原和博との「遺恨マッチ」の真相とは?

前田恵
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徹底したインコース攻めで相手の4番打者に対峙してきた藪恵壹氏。相手バッターとどんな駆け引きを繰り広げたのだろうか? 【写真は共同】

 阪神タイガースのエースとしてチームの暗黒時代を支えた藪恵壹氏は、マウンドからセ・リーグ各チームの4番打者たちをどのように見ていたのだろうか? ポーカーフェイスで淡々と相手の急所に投げ続けた藪氏が、頭の中で考えていたこととは? 4番打者との駆け引き、攻め方などを振り返ってもらった。

4番・落合封じは“目を合わせる” こと

現役時代、落合博満に1本もホームランを打たれていないという藪氏。その秘策は? 【写真は共同】

――現役時代に対戦したNPBの4番打者で、印象に残っているのは誰ですか?

 4番打者というと、まず「ホームラン」ですよね。そこでいうと、落合博満(ロッテほか)さん、原辰徳(巨人)さん、清原和博(西武ほか)さん、松井秀喜(巨人ほか)。でも、実は落合さんと清原さんには、ホームランを1本も打たれていないんですよ。だから、ホームランを打たれたなかでおぼえているのは、まず原さんの2本です。原さんがもう晩年に差し掛かっていたころで、1本は東京ドームでした。9月に故障から復帰した初戦だったと思います。1球フォークボールを空振りして、次のフォークを今度はホームラン。「やっぱり低めでもうまく拾うものだなあ」と感心した一方で内心、「東京ドームは狭いから、ホームランを打たれてもしょうがないよな」とも思いました。ところがその後、甲子園でもう一度対戦があった。僕はインコースの真っすぐに自信があって、ホームランを打たれたことがなかったのですが、そこを原さんに打たれました。しかもインコース、高めギリギリの厳しいコース。だいたいのバッターが詰まってファウルになるコースを、原さんはまるでバットをその瞬間、キュッと短く縮めて打ったかのような素晴らしい技術で、芯に当ててホームランにした。あれは、本当に強烈でした。あとは、松井に打たれた満塁ホームラン。そこまで730イニング以上満塁弾を打たれていなかったので、心底悔しかったです。

――逆に落合さんには、なぜ打たれなかったのでしょう。
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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