連載:ヤクルトが強くなったワケ

3冠王へ突き進む村上宗隆をデータで紐解く プロ5年目を迎えたヤクルトの若き主砲は何がすごいのか

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史上最年少で150本塁打を達成した村上。令和初の三冠王も射程圏内だ 【写真は共同】

 昨季は20年ぶりの日本一に輝き、今季もここまでセ・リーグの首位に立つヤクルト。タレントぞろいのチームで原動力となっているのが、4番の座にどっしりと構える主砲・村上宗隆だ。高校通算52本塁打を記録するなど将来を嘱望されて入団した背番号55は、プロ2年目の2019年に10代のNPB記録を塗り替える36本塁打をマークして新人王を受賞。その後は20年に最高出塁率のタイトルを獲得し、昨季は39本塁打112打点の大活躍でリーグMVPに選出されるなど、驚異的なスピードで長距離砲としての地位を確立した。

 5年目を迎えた今季も開幕からコンスタントに本塁打を量産すると、8月23日の広島戦では45号3ランを放ち、04年に岩村明憲氏が記録した球団日本人シーズン最多本塁打を早くも更新。さらに、26日のDeNA戦ではNPB史上最年少となる22歳6カ月での通算150本塁打を達成した。シーズンを迎える前には「すべてのタイトルを取れるなら取りたい」と語っていた通り、ホームランだけではなく打点もすでにキャリアハイをクリア。打率も自己記録を視野に捉えた数字を残しており、令和初となる三冠王誕生への期待も日に日に高まっている。

 打撃3部門以外にも長打率や出塁率といった各部門でリーグトップの成績を残すなど、球界を席巻する活躍を見せる若きスラッガーは今季、過去の自分自身と比較してどのような進化を遂げているのだろうか。今回は2つの視点から、その成長曲線をたどっていきたい。

※データは2022年8月28日終了時点

【データ提供:データスタジアム】

リリーフ投手を攻略し、4番としての頼もしさが増す

【データ提供:データスタジアム】

 まず、今季の成長として挙げたいのが、同点・ビハインドの状況で相手のリリーフ投手を攻略している点だ。これまでは同点・ビハインド時の救援投手、すなわち相手の勝ちパターンとしてマウンドに上がってくるようなピッチャーを打ちあぐねていた。当然、各チームで勝ちパターンを任される能力を持っている投手の攻略は一筋縄ではいかないとはいえ、昨季にいたっては打率1割台にとどまるなど、4番打者としては物足りない数字だった。それが今季は打率.362、本塁打は5月24日の日本ハム戦で放ったサヨナラアーチを含む13本をマークしており、相手の勝ちパターンと対峙(たいじ)した場合であってもお構いなしに仕留めていることが、数字からも明らかとなっている。
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