連載:打順別・最強打者は誰だ!?<4番打者編>

真の「勝負強さ」をセイバーメトリクスで検証 今季の村上宗隆の数字は王貞治の再来か?

小西亮(Full-Count)
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今季の村上宗隆(右)の活躍は「歴史的な比較が行われるべき」と、DELTAの大南氏は話す 【写真は共同】

 単なる4番目の打者とは、一線を画す。時にチームを勝利に導き、時に敗戦の責を追う。9人が並ぶ打線で、クリーンアップの中心で特別な存在感を放つ「4番」。今季、球史を塗り替えた大砲も、その任を担う。ヤクルトの村上宗隆内野手は8月、日本新記録の5打席連続本塁打と史上最年少での150号を樹立。セ・リーグ首位の原動力にほかならない。一方のパ・リーグでも、西武の山川穂高内野手がアーチを量産する。

 両者の類稀なるシーズンのインパクトは、一体どれほどか。近年のプロ野球を賑わせてきたスラッガーたちとの比較を試みる。本塁打や打点、得点圏打率など端的な数字だけでは測り切れないデータで“チームを勝利に導く真の4番”を浮かび上がらせたい。セイバーメトリクスの観点からプロ野球のデータを分析する「DELTA(デルタ)」のアナリスト・大南淳氏の協力で検証する。(数値は8月31日時点)

村上の2022年「歴史的比較が行われるべき」

歴史的なペースで打ちまくる村上は、どれほどチームの勝利に貢献しているのだろうか? 【写真は共同】

 令和初の3冠王が現実味を帯びてきた22歳が、想像を絶する進撃を続けている。5月から7月にかけて14カード連続勝ち越しを飾り、ペナントレースの先頭に立ってきたヤクルトのど真ん中には、村上がいる。5〜6月のセ・パ交流戦では、「4番・三塁」でフル出場し、打率.351、6本塁打、13打点をマーク。勝ち越し打と逆転打が各2本、サヨナラ打が1本と要所での存在感が際立った一方、四球は全選手最多の「18」。驚異の出塁率.507で、自身初のMVPを獲得した。

 7月31日の阪神戦(甲子園)では、7回の第3打席から延長11回の決勝弾まで3打席連発。試合のない8月1日を挟み、翌2日の中日戦(神宮)でも2打席連続で本塁打を放ってプロ野球新記録を打ち立てた。8月26日の横浜DeNA戦(横浜)では、6回の46号3ランでプロ通算150本塁打に到達。22歳6カ月での到達は、22歳11カ月の清原和博氏を抜くスピード記録だった。さらに続く7回にも2打席連発で151号を放っただけでなく、30日の巨人戦(京セラ)まで14打席連続出塁をマークした。

 本塁打は、シーズン60発に届きそうなペース。ペナントレースも佳境に入るなか、今季の主役が放つ迫力は、むしろ増している。「言うまでもなく、歴史的比較が行われるべきだと思います」。大南氏も語気を強める。
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著者プロフィール

1984年、福岡県出身。法大卒業後、中日新聞・中日スポーツでは、主に中日ドラゴンズやアマチュア野球などを担当。その後、LINE NEWSで編集者を務め、独自記事も制作。現在はFull-Count編集部に所属。同メディアはMLBやNPBから侍ジャパン、アマ野球、少年野球、女子野球まで幅広く野球の魅力を伝える野球専門のニュース&コラムサイト

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