偉大な世界のホームラン王・王貞治は、リアルタイムにプレーを見たことがない若い世代からも多くの支持を得た【写真は共同】
王貞治、長嶋茂雄(共に巨人)、野村克也(南海ほか)の現役全盛期を実際に見た年齢層といえば、50代以上になるだろう。日本人OB編における50代以上の回答者の割合は、30%程度。しかし、それを大きく超える50%超の得票率で1位を獲得した王をはじめ、長嶋、野村の戦前・戦中生まれ3人がトップ10に割って入った。手軽に昔の情報や映像が手に入る、ネット社会の発達ゆえの投票結果か。情報といえば野球週刊誌ぐらいしかなかった“昔の人”である筆者にとっては、羨ましい限りである。
それはさておき、1位の王。圧倒的な得票率の理由は、「4番打者と言って一番に思い付くのは王さんしかいないです」というファンのコメントに尽きるだろう。NPB最多記録となる本塁打王15回、打点王13回、MVPを9回受賞し、通算本塁打868本の世界記録を持つ『世界のホームラン王』である。
2位の落合博満(ロッテほか)は、王に迫る得票率43.0%だった。ロッテ時代に達成した三冠王3度は、NPB唯一。投票したファンからも、「広角に打てて、選球眼や読みも凄い」と、その類まれなるバッティング技術を高く評価するコメントが多かった。
33.4%の得票率で3位にランクインしたのは『ゴジラ』こと松井秀喜(巨人ほか)。巨人で10年、MLB4球団で10年。NYヤンキースでは2009年、アジア人選手初のワールドシリーズMVPを獲得した。世界を股にかけた活躍はもちろん、「心技体の三拍子揃った大打者」と、人間性も含めてエールを送るコメントがあった。
松井の師でもある長嶋は、得票率16.7%の4位。「チャンスに必ず打つスーパースター」といったように、長嶋のスター性に触れるコメントが多数見られた。巨人V9時代は、主に『3番・王、4番・長嶋』の打順。大舞台やチャンスにとんでもなく強く、1959年の天覧試合では、阪神のエース・村山実からサヨナラ本塁打を放っている。
5位には僅差の得票率15.0%で、清原和博(西武ほか)が選ばれた。「ライオンズ黄金時代の4番。無冠だったが打点が多く、総合力が高いバッターで、まさに打の中心という感じだった」とのファンのコメントが、『番長』清原のすべてを語る。
この先は、6位以下からピックアップして紹介していこう。
6位の松中信彦(ダイエー)は、平成ただ一人の三冠王。「WBCでも4番で高打率を残し、初代王者に貢献したから」と、侍ジャパンでの活躍を振り返るファンも。
7位・掛布雅之、8位・金本知憲は18年の時を経て、共に阪神をリーグ優勝に導いた頼れる4番である。その阪神で監督も務めた、『ノムさん』こと野村克也は9位。捕手というポジションながらNPB歴代2位の通算657本塁打を放ち、戦後初の三冠王に輝いた。
若き日の野村が打撃をマネしたことものある西鉄の主砲・中西太は、得票率1.2%でトップ10圏外。若いファンから「いろいろな逸話を聞いた」と票を得た、かつての『怪童』――おそらく今で言うなら、“足の速い村上宗隆(東京ヤクルト)である。
(文:前田恵、企画構成:スリーライト)