Jリーグ・野々村芳和チェアマンが語る「ソナエルJapan杯」開催の意義と価値

吉田誠一

静岡出身で幼い頃から防災意識を強く持っていたという野々村チェアマン。「ソナエルJapan杯」を通して防災の大切さを再認識してほしいと話す 【YOJI-GEN】

 一人でも多くの人の防災意識を高めることを目的に、Jリーグとヤフー株式会社が協力し、昨年からスタートした「ヤフー防災模試・ソナエルJapan杯」が、今年も8月19日~9月4日に開催される。災害時に必要な知識や能力を問う「ヤフー防災模試」は、Jリーグ全58クラブのファン・サポーターが受験し、その受験者数や点数を競い合うJクラブ対抗企画だ。ここではJリーグの野々村芳和チェアマンに、開催の意義や地域を守るためにクラブとリーグができることを聞いた。

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北海道胆振東部地震では実際に現地に足を

――出身地の静岡は古くから巨大地震(東海地震)が発生する恐れがあるとされてきたので、子どもの頃から防災教育を受けていたのではないですか。

 小さい時から大地震が起きる、起きたら大変なことになると教え込まれていました。どの方向から津波が来るという話も聞かされたし、自宅には乾パンなどを備蓄していました。幼稚園、学校では防災訓練がよく行われ、学校には母親の手作りの防災頭巾を持っていったのを覚えています。どの地域に住んでいようが、小さいうちに防災意識を持たせるのは大切なことだと思います。

――これまで被災経験はありますか。

 大きなものはありません。北海道コンサドーレ札幌の社長時代の2018年9月に北海道胆振東部地震(マグニチュード6.7、余震は10月まで続く)が起きて、札幌の自宅も2日間、停電しました。暖房をどうしたらいいかなど、家庭での対策を考えさせられました。

――この胆振東部地震の時、コンサドーレは被災地に対し、どういうアクションを起こしたのですか。

 メッセージを出すだけでなく、実際に現地に足を運ぶことにしました。選手が被災した厚真町、安平町、むかわ町の避難所を回ったり、子どもたちとサッカーをしたりしました。

災害が起きるたびに情報はアップデートされる

野々村チェアマンが札幌の社長だった2018年には、北海道胆振東部地震を経験。選手をはじめクラブとして被災地を慰問した 【写真:アフロスポーツ】

――2011年の東日本大震災の時は東京に住んでいたわけですね。どのようなことを感じましたか。

 あの時、感じた恐怖心はかなりのものでした。あの津波の映像を目にした人はみな、そうだったと思います。みなさんもそうでしょうが、想像をはるかに超えることが起こりうるのだと思い知らされました。こういうことが起きた時に自分はどうすればいいのか、答えをすぐに出すことができませんでした。どう備えたらいいのか、どう対処すればいいのか。正しい情報、知識を流してもらい、みんなが理解し、準備する。それを繰り返していくことが大切だと思います。

――あの震災後、命を守るための知識、情報がたくさん発信されるようになりました。防災意識があれば、自分で知識、情報を取りにいくことができます。

 災害が起きるたびに防災に関する情報がアップデートされています。札幌にいた時は河川の氾濫についてのハザードマップを見ていました。我々はそうした情報に助けられています。僕のように小さい時から防災意識を持っていたとしても、当時の情報は実はもう古いのかもしれません。その可能性もあるなと、いま思いました。自宅でそれなりの備蓄をしているけれど、これで何日もつのかと計算しているわけではありません。万全ではないので、見直してみます。

――人々に知識、情報を再確認してもらい、防災意識を高めるという点では「ソナエルJapan杯」は格好の企画です。

 365日間、ずっと防災のことを考え続けるのは難しい。ソナエルJapan杯の実施期間だけでも防災について考え、防災は大切なものだと再認識し、知識、情報を貯めてもらえたら、それだけでもこの企画の価値はあると思います。この企画を有効に使い、災害に備えてもらいたい。たくさんの人が積極的に参加してもらえる企画にしていきたいです。

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