「DAZN Jリーグ推進委員会」月間表彰2022

J1月間MVP 横浜FMレオ・セアラが惜しみなくハードワークを続けられる理由

舩木渉

7月は6ゴールを量産し、得点王争いでも通算10ゴールでトップタイにつける。第19節の清水戦では、ハットトリックも達成した 【Getty Images】

 7月度の「2022明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間MVP(J1)」に、横浜F・マリノスのレオ・セアラが選出された。7月はリーグ戦5試合で6得点を荒稼ぎし、早くも二桁の大台に到達。首位を走る横浜F・マリノスの前線を力強くけん引している。しかし、トリコロールをまとって2年目のストライカーの魅力は、ゴールだけではない。ハードワークを厭わない献身的なプレースタイル――。MVP受賞記念のインタビューでも、「チーム」というワードが何度となく口をついて出た。

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宏太との共通認識は時間によって培われた

――7月度の明治安田生命J1リーグKONAMI月間MVP受賞、おめでとうございます。昨年8月以来2度目の選出になりますが、まずは受賞の感想を聞かせてください。

 7月は他にも好調な選手が何人もいたので、その中から僕が選ばれたと知った時は素直にうれしかったです。

――リーグ戦5試合で6得点。6月末の柏レイソル戦(第18節)も含めれば、6試合で8得点の大活躍でした。同じく月間MVPを受賞した昨年8月も6得点でしたが、暑い夏の時期が得意なのでしょうか?

 気候は特に関係なく、昨年もこの時期にたまたま好調だっただけだと思います。今まで練習をしてきた成果が出ました。

――昨年8月の好調を後押ししたのは、奥様と娘さんの来日でした。あれから約1年が経って、あらためて家族の大切さをどのように感じていますか?

 僕はインドア派なので、一人で家にいた時期は本当に寂しくて、孤独でした。でも、今シーズンは最初から家族と一緒に来日できて、幸せを感じています。家に帰ったら家族が待っていてくれるので、あの頃のような孤独を感じなくていいのは本当に幸せです。娘もだいぶ大きくなりました。練習や試合で疲れていても、帰ったら遊んであげなくてはいけないので体力が削られるんですが、それも楽しんでいます。

――絶好調だった7月で印象に残っている試合やゴールはありますか?

 内容や試合運びなどさまざまな要素を踏まえて、7月2日の清水エスパルス戦(第19節/5-3)ですね。追いつかれても、すぐにゴールを奪い返して勝ち切れた試合でした。僕も終わってみればハットトリックを達成していたので、すごく印象に残っています。

――清水戦の3得点の中で、特に印象深いゴールは?

(52分の)3点目ですね。後方からビルドアップして、チーム全体が絡むような連携も見られた素晴らしいゴールだったと思います。

――そのゴールも含め、3得点のうち2得点が水沼宏太選手のアシストから生まれました。彼との関係性が良好な要因を教えてください。

 時間ですね。僕は昨年F・マリノスに加入して、宏太とは1年以上一緒に練習や試合をこなしてきました。彼にどういう特徴があるのか、ピッチ上で何をするのか、どのタイミングでクロスを上げてくるのかよく分かっていますし、そうした共通認識は時間によって培われたものが多いと思います。

――水沼選手は6月の月間MVPに輝いていますね。

 宏太が月間MVPに選ばれた時は、僕もすごくうれしかったです。チームが好調であれば、今後も自然と個人への高い評価が続くと思っています。

“キーボー”はチームに必要不可欠なリーダー

エゴとは無縁のレオ・セアラ。今シーズン、4つのコンペティションすべてでゴールを挙げているが、それも「チームの仲間がいるからこそ」と謙遜する 【スポーツナビ】

――レオ選手は早々とリーグ戦二桁得点を達成しました(第24節終了時点で10得点)。昨シーズンよりもいいペースでゴールを決められているのはなぜでしょう?

 チームが好調な時はゴールも自然に生まれるものです。F・マリノスはスタメンの11人だけでなく、途中から出場する選手もすごくいい働きをします。チーム全体の質が高く、連携が取れていれば、自分のゴールチャンスも増える。ここからの終盤戦は、目標を達成するためにチームとして集中することが大事なので、一丸となってタイトルを勝ち獲りに行きたいですね。

――横浜FMが今シーズンに参戦したすべての大会でゴールを決めているのは、レオ選手だけです。環境に左右されず、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)、天皇杯、ルヴァンカップも含めてトータル15得点。これは本当にすごいことだと思います。

 すべての大会でゴールを決められているのも、チームの仲間がいるからこそです。僕としても、常にチームのために何ができるのかを考えながらプレーしています。そのうえで、一人のアスリートとしても成長しなければいけないと考えながら行動しています。個の成長はチームの力にもなりますから。

――レオ選手と言えば、得点力だけでなく献身性や惜しみないハードワークも特徴です。そのプレースタイルのルーツについて伺いたいのですが、子どもの頃はどんな選手に憧れていましたか?

 前線でハードワークして、泥臭く戦い、チームのために一生懸命、献身的に働くプレースタイルの選手が好きでした。アドリアーノ(元インテルほか)やクレーベルといった選手に憧れて、彼らの試合をよく見ていました。

――クレーベルという名前の選手はブラジルにたくさんいますが?

 パルメイラスやコリチーバなどで活躍したクレーベル・グラジアドールという選手です。海外でもプレーした経験があったと思いますけど、国際的にはあまり知られていないと思います。彼はそれほど大柄ではなく、フィジカルが強いわけでもなかった。ただ、負けず嫌いなところがプレーからすごく伝わってきました。チームのために懸命に働いて、競り合いも厭わない献身的なプレースタイルに憧れました。大好きな選手でしたね。

――子どもの頃からストライカーだったんですか?

 サッカーを始めたばかりの頃はボランチだったんですよ。そこからポジションが前に、前にという感じで今に至ります。

――ボランチと言えば、横浜FMが公式SNSで公開した動画の中で、「1日入れ替われるとしたらどの選手になりたい?」という質問に対して、レオ選手はチームメイトの喜田拓也選手の名前を挙げていましたね。

 キーボー(喜田の愛称)はチームにとって必要不可欠なリーダーです。気持ちがこもった言葉を、しっかりと伝えられるところにリーダーシップを感じます。僕は日本語を話せませんが、それでも彼の言葉から強い気持ちを感じられるのは本当にすごいことだと思います。あの若さで、あれほどのリーダーシップを持っているのは尊敬に値します。ピッチ内だけでなく、おそらくピッチ外でも真のプロフェッショナルだと思いますし、リスペクトしています。

――では元ボランチのレオ選手が、喜田選手と入れ替わって試合に出るなんてことも?

 ちょっと嫌ですね。すごく走らなければいけないので、遠慮しておきます(笑)。

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著者プロフィール

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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