「DAZN Jリーグ推進委員会」月間表彰2022

J1月間MVP 横浜FMレオ・セアラが惜しみなくハードワークを続けられる理由

舩木渉

生まれた時から「サッカー一択」の運命

ハードワークをベースとしたアタッキング・フットボールを掲げるマスカット監督(右)。横浜FMの戦術に、レオ・セアラのスタイルはマッチしている 【Getty Images】

――話を戻しますが、レオ選手が本格的にストライカーになったのはいつ頃ですか?

 2018年からです。当時から今まで、毎年10得点以上決めていますよ。

――18年は当時ブラジル全国選手権1部を戦っていたヴィトーリアで出番が少なく、その前後の時期は複数のクラブに期限付き移籍をしていました。苦しい時間も長かったと思いますが、MFからストライカーへ本格的にコンバートされたことで、サッカー人生が大きく変わったのではないでしょうか?

 そうかもしれませんね。ブラジルではアカデミーからトップチームに昇格した選手が評価されにくいという現実があります。僕自身、ヴィトーリアでプロになってもなかなか出番を得られず、期限付き移籍を繰り返していました。それでも、移籍先でベストを尽くしてやるだけだと思ってプレーし、ゴールという結果も残せた。あの頃があったから今の僕があると思いますし、期限付き移籍もいい経験でした。

――ブラジルのサッカーは日本に比べて攻守の切り替えが緩やかで、ストライカーはゴールという結果を残せば、ある程度は守備を免除されるような風潮もあります。そういった環境の中にいたレオ選手が、Jリーグのスタイルにマッチするストライカーになれたのはなぜでしょうか?

 おっしゃるように、日本に比べてブラジルのサッカーは攻守の切り替えが遅かったり、プレーするスペースが大きい試合が多いです。一方、Jリーグは切り替えが早く、スペースも限られるので、本当にプレーするのが難しいと感じます。(16年に在籍した当時J3の)FC琉球ではなかなか思うような活躍はできませんでしたが、日本でプレーするにあたっての学びが多くありました。プロ1年目の自分にとって、素晴らしい経験でした。

 日本でプレーするとなると、素早い切り替えやハードワーク、献身的なプレーをすることが大変重要です。ましてや現在のF・マリノスの戦術では、ハードワークが欠かせない。(ケヴィン・マスカット)監督が求めることをしっかりと聞いて、試合でハードワークするための準備を欠かさずやっています。

――レオ選手のプレーを見ていると、なんとしても結果を残して成功するんだという強い覚悟を感じます。プロサッカー選手になるために、16歳で親元を離れた当時の覚悟が、今も変わらずプレーに反映されているのではないでしょうか?

 ブラジルでプロサッカー選手になりたい子どもの中には、貧しい家庭で育っている人も多いです。僕もその一人で、あまり裕福な家庭ではなく、苦労した幼少期の思い出もあります。

 16歳で家を出るとなった時、両親は引き止めましたが、「行きたい、プロのサッカー選手になりたい」と強い気持ちをぶつけると、その思いが伝わってバイーア州のヴィトーリアに加入することができました。今になって振り返れば、あの時、両親が地元から遠く離れたクラブに行かせてくれたことが、プロになれた大きな要因の1つだったのではないかと思います。

 貧しい家庭だったので、未来の選択肢はそんなに多くなかったのですが、僕が家を出て、家族の人生を変えるんだという強い気持ちはありました。そして今、こうしてプロサッカー選手になって、家族も昔より大きな家に住めるようになりました。良い暮らしができているのはサッカーのおかげだと思いますし、サッカーに感謝しています。

――もしプロサッカー選手になっていなかったら、どんな人生を送っていたか想像できますか?

 先ほど、プロサッカー選手になった理由は家族の生活を変えるためだと話しましたが、実はもう1つ理由がありまして……。僕は勉強が嫌いで、学校も好きではなかったんです。ですから、「サッカーに打ち込んでプロになれば、学校に行かなくてもいいんじゃないか」という考えも、当時は持っていました(笑)。

 サッカー選手になっていなかったら、どうなっていたんだろう……と考えてみても、本当に分からないです。きっと僕が生まれた時に、神様が「こいつはサッカーしかできないから、サッカー選手一択」と決めて、そういう運命になったんだと思います。

リーグとACL、必ず両方のタイトルを

在首位に立つJリーグだけでなく、ノックアウトステージに駒を進めたACLのタイトルももちろん狙う。まずは神戸とのラウンド16を制したい 【Getty Images】

――プロサッカー選手になり、活躍をしている今、レオ選手はビジョンをどのように描いていますか?

 F・マリノスの一員になりたい選手はたくさんいると思います。なので、今F・マリノスのためにプレーできている僕は本当に幸せですし、このクラブにいられて本当にうれしい。今後も可能な限りずっとF・マリノスにい続けて、このクラブのためにベストを尽くし、みんなと一緒に多くのタイトルを勝ち獲りたいです。

――すでに天皇杯とルヴァンカップは敗退してしまいましたが、今シーズンはまだJリーグとACLの2つのタイトルの可能性が残っています。あらためて意気込みを聞かせてください。

(天皇杯に続いて)ルヴァンカップからも敗退し、タイトルを獲得できるチャンスをまた1つ失ってしまいました。(1-2で敗れたルヴァンカップ準々決勝第2レグの)サンフレッチェ広島戦の後は、僕だけでなくチーム全体が悔しい気持ちでいっぱいになって、ロッカールームは静まり返っていました。本当に嫌な雰囲気でしたけど、しっかり切り替えなければいけないとみんなで話しましたし、実際にまだJリーグとACLのタイトルは可能性が残っています。

 ここからはこの2つにフォーカスし、1試合1試合を大事に戦い、自分がゴールを決めるにしても決めないにしても、全力を尽くすだけです。一人ひとりがチームのためにベストを尽くしているので、みんなで集中し、力を合わせて戦えば、必ず両方のタイトルを獲れると思っています。

――ところで、月間MVPの賞金40万円の使い道は決まっていますか?

 はい。妻に新しいバッグをお願いされているので(笑)。

――チームメイトにシュラスコをご馳走する予定だという噂を小耳に挟みましたが?

 忘れていました! そうなると僕の懐には何も残らないなあ……(笑)。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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