「DAZN Jリーグ推進委員会」月間表彰2022

J1月間MVP C大阪・毎熊晟矢の信条 「“常に100パーセント”で生き残る」

小田尚史

SBからサイドハーフへのコンバートで、持ち前の攻撃力がさらに引き出された毎熊晟矢。5月は3得点・2アシストと大車輪の働きだった 【写真は共同】

 5月度の「2022明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間MVP(J1)」に、セレッソ大阪の毎熊晟矢が選出された。今シーズン、J2のV・ファーレン長崎から加入したプロ3年目の成長株は、5月の全6試合にスタメン出場し、3得点・2アシスト。飛躍のきっかけとなったのは、右サイドバックから右サイドハーフへのコンバートだった。初めて挑むJ1の舞台で“考える力”を磨く24歳は、「常に100パーセント」を信条に、さらなるレベルアップを目指す。

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2列目で月間MVPは想像もしていなかった

──5月度の明治安田生命J1リーグKONAMI月間MVP受賞、おめでとうございます。受賞の感想を聞かせてください。

 まさか自分がもらえると思っていなかったので、ビックリしたのと、素直にうれしい気持ちが半々です(笑)。

──5月のリーグ戦は全6試合に出場して3得点・2アシスト。特に印象に残っているシーンはありますか?

 浦和レッズ戦(第15節/2-0で勝利)でチームの2点目を決めたシーンですね。

──その理由は?

 試合は1-0で進んでいて、終盤はピンチもあった中で最後に(89分)自分が決めたんですが、そのときのホームのファン・サポーターのみなさんの歓声がすごくて。ベンチの監督、スタッフ、選手も含め、自分のゴールでいろんな人が喜んでくれたことが印象に残っています。今もあのイメージを持ちながら試合に臨むこともあるんです。

──5月はリーグ戦全試合で先発出場を果たしましたが、それまではベンチ外や途中出場も多かったですね。その間をどのような思いで過ごしていましたか?

 一番意識していたのは、いつ試合に出てもいいようにコンディションを保つことです。普段の練習プラスアルファで、フィジカルコーチにお願いして体を動かしたり。練習でも手を抜かず、常に100パーセントで毎日取り組んでいました。

──5月の飛躍のきっかけとなったのが、J2のV・ファーレン長崎でプレーしていた昨シーズンまでの右サイドバック(SB)から、1列上げた右サイドハーフへのコンバートでした。大学(桃山学院大)まではFWでプレーしていた毎熊選手としては、新たなポジションにチャレンジしているイメージなのか、それとも昔に戻った感じなのか、どちらの意識が強いですか?

 半々かなと思います。以前に戻ったと言えばそうですし、試合を重ねるごとに昔を思い返している感覚もあります。でも、これまで2年間、後ろの景色を見てきたので、前はまた全然景色が違うなと、あらためて感じてもいます。昔はやっていたけど、慣れない部分も多く、そこは新しいチャレンジでもあるのかなと。

──宮崎キャンプから開幕直後までは右SBでしたが、いつ頃から前でプレーするようになったのですか?

 ハッキリとは覚えていないですが、前の選手にケガ人が増えてきた時期に、練習で任される回数が多くなりました。ただ、途中出場で使ってもらえるかな、とは思っていましたが、まさかスタメンとは……。

──開幕前の時点では、2列目の選手として月間MVPに輝くとは考えられなかった?

 想像もしていなかったですね(笑)。

意識しているのは相手の背後を狙うプレー

J1初挑戦となった今シーズンの開幕当初は控え要員だったが、いつ試合に出てもいいようにコンディションを整え、そしてチャンスをつかんだ 【スポーツナビ】

──やはり2列目だと、より推進力や攻撃力を生かせますか?

 うーん、どうですかね。長い距離を走るという部分では、SBの方が勢いを持って上がりやすいところもあります。今はより推進力を出すために、常に相手の背後を狙うようにはしています。FWのブルーノ(・メンデス)や(アダム・)タガートは足元で収めるタイプなので、自分は背後を意識しています。一発で裏を狙うだけではなく、相手のディフェンスラインを押し下げる狙いも持ってプレーしていますね。

──よりゴールに近いポジションになって、かつてのFWの血も騒ぐのでは?

 SBでプレーしていたときも、ペナルティーエリア内に進入したときはそういう気持ちにもなったのですが、ゴール前に入っていくシーンは、たしかに今のポジションの方が、より多く作り出せると思います。

──ジュビロ磐田戦(第12節)の自身2点目のシーンは、まさにFWのようにゴール前に入っていきましたね。

 そうですね。ゴール前でのポジション取りは、常に意識しています。(32分の)1点目もそうでしたが、(40分の)2点目の場面でもスペースが空いていて、キヨくん(清武弘嗣)なら折り返してくれると思って。そのあたりは、昔の経験が生きているところかもしれませんね。

──その前のサガン鳥栖戦(第11節)が今シーズンのJ1初先発でした。前日、小菊昭雄監督からは何か声掛けがあったのか、それとも、試合当日に気付いたらスタメン表に名前があったのか。どちらですか?

 気付いたら、ありましたね(笑)。特に監督から指示はなかったのですが、キャンプの頃から「絶対にやれるから」と何度も言っていただきましたし、鳥栖戦の試合前も「自信を持ってやってこい」と言って送り出してもらいました。

──それまで右サイドハーフを務めていた中原輝選手とはタイプが違いますよね? 自分の良さを、どのようにチームに還元しようと思って試合に臨みましたか?

 輝くんは足元で受けたり、つなぎのプレーがうまい。自分がそこで勝負しようと思っても意味がありません。先ほども言いましたが、意識したのは裏に抜けたり、ゴール前に顔を出すこと。エリア内に人数をかければそれだけチャンスも生まれるので、自分はそういった部分でアピールしようと思ってプレーしました。

──1-1で引き分けた鳥栖戦の試合後には悔しさも口にしていましたが、そこから磐田戦に向けて、どのような準備しましたか?

 鳥栖戦は守備で無駄走りをし過ぎたという思いがあって。もう少しうまくコントロールしておけば、攻撃時の体力を残せた。そこは課題としてあったので、攻撃でより体力を使うことを意識して、磐田戦には臨みました。

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著者プロフィール

1980年生まれ。兵庫県出身。漫画『キャプテン翼』の影響を受け、幼少時よりサッカーを始める。中学入学と同時にJリーグが開幕。高校時代に記者を志す。関西大学社会学部を卒業後、番組制作会社勤務などを経て、2009年シーズンよりサッカー専門新聞『EL GOLAZO』のセレッソ大阪、徳島ヴォルティス担当としてサッカーライター業をスタート。2014年シーズンよりC大阪専属として、取材・執筆活動を行なっている。

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