連載:22年J1・J2「補強・戦力」を徹底分析!

2022シーズンJ2リーグ戦力ランキング J1から降格した4チームを上回るのは…

河治良幸
 2022シーズンのJ2全22クラブを、「攻撃力」「守備力」「選手層」「監督力」「完成度」という5つの項目別に採点。各20点満点とし、その合計ポイントで戦力ランキングを作成した。あなたの応援するクラブは、果たして何位に?
※各項目の数値はJ2内での相対的な評価。
 

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昨季終盤戦に好調だった3チームは継続路線

昨季の山形は最後の最後に失速したものの、途中就任のクラモフスキー監督の下で低空飛行から脱して7位でフィニッシュ。そのオーストラリア人監督が引き続き指揮を執り、オフの補強で戦力アップも果たした今季は自動昇格の有力候補だ 【写真:アフロスポーツ】

 J2の査定を非常に難しくしているのは、今シーズンはJ1から4クラブが降格してきたこと。徳島ヴォルティス、大分トリニータ、ベガルタ仙台、横浜FCの4クラブはどこも少なからず変化があり、横浜FCと大分は監督も交代した。仙台も昨シーズンの終盤に手倉森誠監督が退任して、その後任の原崎政人監督が今シーズンも率いる。

 それら“降格組”はいずれもJ1昇格の有力候補ではあるが、昨シーズンに昇格を逃したクラブの中で、終盤戦に好調だったV・ファーレン長崎、モンテディオ山形、ジェフユナイテッド千葉が揃って継続路線であることは注目ポイントだ。ファジアーノ岡山も終盤戦に大きく勝点を伸ばしたクラブの1つだが、こちらは有馬賢二監督から木山隆之監督に代わり、得点源だった上門知樹がJ1のセレッソ大阪に移籍するなどの変化がある。

 総合トップは長崎だ。攻守両面のレベルが高く、松田浩監督が構築した組織的なディフェンスからの鋭い攻撃はJ2の中では特に目を引く。焦点は完成度の部分。なかでもメンバーの入れ替えがあったサイドからの攻撃の完成度をどこまで高められるか。それが昇格のカギになりそうだ。

 総合2位の山形は前線の“パンチ力”は長崎より落ちるが、ピーター・クラモフスキー監督の掲げる「アタッキングフットボール」は今年も継承されそう。ハイプレスと多彩なパスワークが融合したアグレッシブなスタイルに、昨年途中までレノファ山口FCを率いた渡邉晋コーチがどう戦術的エッセンスを加えるか。

 3位以下は横浜FC、千葉、大分、アルビレックス新潟と続く。このあたりまでは自動昇格2枠の有力候補と見るが、ポテンシャルとしては徳島、仙台、FC町田ゼルビア、ヴァンフォーレ甲府にもチャンスはあるか。しかも今シーズンは3〜6位の昇格プレーオフが復活したので、岡山、大宮アルディージャ、水戸ホーリーホック、東京ヴェルディ、山口あたりまで昇格のチャンスが十分あると見ている。
 

長崎は新加入の両SBの攻撃参加がポイント

攻撃力の最高評価は総合トップの長崎。昨季、3人合わせて32ゴールを挙げたエジガル、植中、都倉が健在のうえ、J1での実績が十二分のクリスティアーノ(写真)が加わった前線は強力だ 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 攻撃力から個別に見ると、前線にエジガル・ジュニオ、植中朝日、さらに柏レイソルから新加入のクリスティアーノとタレントが揃う長崎が19ポイントで1位。堅守速攻のイメージが強いチームだが、パス能力の高い選手が多い。ポイントは主力の入れ替えがあったサイドバックの攻撃参加だ。右の高橋峻希、左の奥井諒というJ1経験が豊富な2人の新戦力が守備力を維持しながら、どこまでサイドアタックのクオリティをもたらせるか。

 18ポイントの横浜FCは、サウロ・ミネイロとクレーベの残留が大きい。そこに小川航基が加わり、伊藤翔もレンタル先の松本山雅FCから戻ってきた。個の力では長崎にも引けを取らない。ただ、中盤のメンバーが大きく入れ替わっている中で、J1王者の川崎フロンターレから新加入の長谷川竜也などが前線の決定力を引き出せるか。サイドバックにもパリ五輪世代の中村拓海と実力者の亀川諒史が加わり、厚みのある攻撃が期待できる。

 この2チームがやや抜けていると見るが、アルベル・ブッチ・オルトネダ前監督(現・FC東京)のサッカーが松橋力蔵監督に継承される新潟と、攻撃陣がほぼ残留した甲府が「16」で続く。監督が交代したものの、継続路線を進む大分もトップレベルだ。ここであまり高い数値をつけなかったチームも、大卒ルーキーなど新戦力が爆発すればジャンプアップする可能性があり、そうした未知の部分も楽しみたい。
 

5つの項目別に採点。各20点満点とし、その合計ポイントで戦力ランキングを作成した 【YOJI-GEN】

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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