2022シーズンJリーグ戦力ランキング 2位、3位と王者・川崎の差は大きくない

河治良幸
 2022シーズンのJ1全18クラブを、「攻撃力」「守備力」「選手層」「監督力」「完成度」という5つの項目別に採点。各20点満点とし、その合計ポイントで戦力ランキングを作成した。あなたの応援するクラブは、果たして何位に?
 

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マスカット監督を悩ませる強力なスカッド

総合トップはやはり川崎F。3連覇を目指す王者には穴らしい穴がない。強いていえば、選手層にやや不安があるくらいか 【(C)J.LEAGUE】

 総合力については、3連覇を目指す川崎フロンターレに横浜F・マリノス、浦和レッズを加えた3クラブが抜けている。

 93ポイントでトップの川崎Fは攻撃面を注目されがちだが、高い位置での即時奪回を含めた守備面もハイレベルで、穴らしい穴がない。田中碧、三笘薫に続いて旗手怜央も移籍したことで、確かに個のスペシャリティは過去2年より少し落ちたかもしれない。それでも4-3-3をベースとしたパスワーク、ハイプレス、状況に応じたリトリートなど、組織としての練度が上がったことでそのマイナス分はカバーされている。

 強いて不安要素を挙げるなら、選手層の部分。強烈な交代カードを次々と繰り出せるほどのベンチパワーはないように見えるし、過密日程でターンオーバーした時にパフォーマンスを維持できるかどうかも気になるところだ。しかし、チーム内のハイレベルな競争がある中で、新陳代謝により良い意味で予想を覆してきた。今季もまた、大卒ルーキーや2年目の選手からチーム力を引き上げるプラス材料が出てくるかもしれない。

 額面通りなら川崎Fの3連覇が濃厚だろうが、ライバルから標的にされやすいことを考えると、少なくとも横浜FMと浦和には逆転可能な差だと見ている。

 横浜FMは攻撃力を満点の「20」にしたが、セルティックに移籍した前田大然の23得点をどう埋めていくかはポイントだ。ベガルタ仙台から西村拓真を獲得したことに加えて、昨季、北海道コンサドーレ札幌で昨季の前半戦だけで12得点を記録したアンデルソン・ロペスも手に入れた。ケヴィン・マスカット監督がベンチ入りメンバーすら決めるのが悩ましいと想定できる、強力なスカッドが整った。

 特長は縦のスピード。前田がいなくなっても加速力のあるアタッカーが揃っており、中盤やサイドバックからのパス供給力も高い。センターバックのチアゴ・マルチンスがニューヨーク・シティに移籍したため、守備力は割り引かないといけないが、サガン鳥栖から獲得したエドゥアルドは良質なフィードが武器で、ケガによる長期離脱から復帰する畠中槙之輔とともに後方の“発射台”として攻撃力をアップさせる存在になりそうだ。
 

2年目の大迫と武藤に上積みが見込める神戸

神戸にとっては、大迫と武藤(写真)が開幕からシーズンに臨めるのが大きい。両選手とも昨季からの上積みが期待でき、攻撃力はリーグトップレベルと評価できる 【(C)J.LEAGUE】

 攻撃力は横浜FMを最高値にしたが、2番目の「19」とした川崎Fのオフェンスは守備とセットというところもあり、ボールを回すだけでなく、即時奪回から繰り出すショートカウンターが強力だ。いわゆる遅攻で、守備を固める相手を崩し切ることは川崎Fであっても難しい。鬼木達監督は今季、相手の守備が整う前に攻め切る意識をこれまでより高めて臨むかもしれない。

 そのほかに攻撃力で目を引くのはヴィッセル神戸と鹿島アントラーズだ。

 神戸は昨夏に加入した大迫勇也と武藤嘉紀が2年目となる。2人とも日本の環境に馴染んだ分、良いコンディションでシーズンに臨めそう。元スペイン代表のボージャンなども、よりフィットするのではないか。清水エスパルスから藤本憲明が復帰した以外、アタッカー陣に目立った補強はないが、連携面がアップすることは間違いない。

 鹿島は鈴木優磨の復帰が大きい。上田綺世とエヴェラウドがいるところに元エースが加わり、開幕戦で監督代行を務めると見られる岩政大樹コーチも良い意味で頭を悩ませそうだ。レネ・ヴァイラー新監督の合流時期が不透明なのは懸念材料だが、ボールを奪ったら素早くゴールを目指す方向性はチームで共有されている。FWはもちろん、昨年ベストヤングプレーヤー賞に選ばれた荒木遼太郎や新キャプテンの土居聖真などが、どれだけチャンスにかかわるかも注目ポイントだ。

5つの項目別に採点。各20点満点とし、その合計ポイントで戦力ランキングを作成した 【YOJI-GEN】

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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