豪華陣容の神戸…最も動きが少ない広島 J1リーグ全18クラブの補強診断【後編】
新加入は5人と少数精鋭だが、槙野や扇原など実力者を獲得した神戸。優勝を狙える陣容が整ってきた 【(C)VISSEL KOBE】
※情報は2月14日時点
※【IN】のチームのカテゴリーは21年シーズンのもの
※戦力はJ1戦力ランキングのコラムとリンクしています
磐田はルキアンの穴を埋められるか
補強診断:D/戦力ランキング:70(13位)
昨シーズン:J2優勝
監督:伊藤彰(新任)
ヴァンフォーレ甲府にポジショナルプレーを浸透させ、J2・3位に導いた伊藤彰監督を招へい。3年ぶりのJ1に挑む今季だが、最も重要な選手を失ってしまった。エースストライカーのルキアンだ。昨季22ゴールをマークし、J1復帰の立役者となったブラジル人FWの代わりを杉本健勇が務められるかどうか。それが最大の焦点だろう。
それ以外では、昨季の主力メンバーが軒並み残留した。期限付き移籍だった遠藤保仁と伊藤槙人を完全移籍で獲得したうえに、ベガルタ仙台で試合経験を積んだボランチの上原力也が期限付き移籍から復帰。シーズンフル稼働に不安の残る42歳の遠藤をカバーする。
最終ラインにはU-24ブラジル代表として東京オリンピックに参加したリカルド・グラッサを補強した。このブラジル人DFが3バックの一角を、横浜FCから加入した袴田裕太郎と争うことになりそうだ。
【IN】
FW 杉本健勇 ←横浜FM(J1)
FW ジャーメイン良 ←横浜FC(J1)
MF ドゥドゥ ←ヴィラ・ノヴァ(ブラジル)
MF 上原力也 ←仙台(J1)
MF 黒川淳史 ←大宮(J2)
MF 藤原健介 ←磐田U-18(新人)
MF 古川陽介 ←静岡学園高(新人)
DF リカルド・グラッサ ←ヴァスコ・ダ・ガマ(ブラジル)
DF 袴田裕太郎 ←横浜FC(J1)
GK 梶川裕嗣 ←横浜FM(J1)
【OUT】
FW ルキアン →福岡(J1)
FW 小川航基 →横浜FC(J2)
FW 三木直土 →藤枝(J3)
MF 今野泰幸 →南葛SC(関東1部)
DF 鈴木海音 →栃木(J2)
DF 中川創 →琉球(J2)
DF 加藤智陽 →未定
GK 杉本大地 →仙台(J2)
補強診断:C/戦力ランキング:80(4位)
昨シーズン:5位
監督:長谷川健太(新任)
ルヴァンカップを制したマッシモ・フィッカデンティ監督の退任は驚きだったが、後任に就いたのは強度の高いサッカーでガンバ大阪やFC東京にタイトルをもたらした長谷川健太監督。スタイルが大きく変化することなく、戦術の浸透は困難ではないだろう。
柿谷曜一朗や齋藤学、長澤和輝らを獲得した昨年と比べると静かなオフだったが、実りある補強を行った。木本恭生とキム・ミンテが抜けた最終ラインには、長期離脱中の丸山祐市の復帰を見越したうえで、チアゴと河面旺成を獲得。米本拓司が抜けた中盤には、ボール奪取力が高く、指揮官好みのレオ・シルバが加わった。
興味深いのは、サガン鳥栖の“頭脳”だった仙頭啓矢の起用法だ。トップ下か、ボランチか。試合中にシステムを変えるうえで貴重な存在となるはずだ。ボール保持やポジショナルプレーを志向するチームが増えるなか、ファストブレークでリーグタイトルを目指す。
【IN】
FW 豊田晃大 ←名古屋U-18(新人)
FW 酒井宣福 ←鳥栖(J1)
MF レオ・シルバ ←鹿島(J1)
MF 仙頭啓矢 ←鳥栖(J1)
MF 甲田英將 ←名古屋U-18(新人)
MF 吉田温紀 ←名古屋U-18(新人)
DF チアゴ ←C大阪(J1)
DF 河面旺成 ←大宮(J2)
GK 東ジョン ←栃木(J2)
【OUT】
FW 前田直輝 →ユトレヒト(オランダ)
FW 山崎凌吾 →京都(J1)
MF ガブリエル・シャビエル →札幌(J1)
MF 米本拓司 →湘南(J1)
MF 石田凌太郎 →徳島(J2)
DF キム・ミンテ →鹿島(J1)
DF 木本恭生 →FC東京(J1)
GK 三井大輝 →沼津(J3)
京都はアタッカーが充実するも中盤は……
クラブOBの片野坂監督に再建を託したG大阪。中盤のどこでもこなせる石毛(右から2人目)は采配の幅を広げる存在だ 【(C)GAMBA OSAKA】
補強診断:C/戦力ランキング:69(15位)
昨シーズン:J2・2位
監督:曹貴裁(2年目)
12年ぶりのJ1参戦となる今季、約3分の1の選手が入れ替わったが、主力選手の流出はなし。新しい血を加えてチームを進化させようとする意気込みがうかがえる。なかでも積極補強したのが、攻撃陣だ。豊川雄太、マルティノス、大前元気、山崎凌吾はいずれもJ1での実績を誇る選手たち。昨季のJ2で活躍したピーター・ウタカや宮吉拓実も健在で、攻撃陣の層とクオリティーはなかなかのものだ。
その山崎とボランチの金子大毅は湘南時代に、センターバックのアピアタウィア久は流通経済大時代に曹貴裁監督の薫陶を受けており、戦術への理解も高いはずだ。
懸念すべきは、中盤の選手層だろうか。21歳の福岡慎平と20歳の川崎颯太は主軸だが、いかんせん経験が少ない。27歳の武田将平や26歳の三沢直人もJ1初挑戦となる。そのため、左ウイングの松田天馬やFW大前の中盤起用も考えられそうだ。
【IN】
FW 山崎凌吾 ←名古屋(J1)
FW 豊川雄太 ←C大阪(J1)
FW マルティノス ←山形(J2)
FW 大前元紀 ←群馬(J2)
MF 金子大毅 ←浦和(J1)
MF 田中和樹 ←法政大(新人)
DF アピアタウィア久 ←仙台(J1)
DF メンデス ←甲府(J2)
DF 井上黎生人 ←岡山(J2)
GK マイケル・ウッド ←アルメレ・シティ(オランダ)
GK 上福元直人 ←徳島(J1)
GK 松原修平 ←群馬(J2)
【OUT】
FW 李忠成 →新潟シンガポール(シンガポール)
FW 野田隆之介 →琉球(J2)
MF 上月壮一郎 →FCデューレン(ドイツ)
MF 曽根田穣 →水戸(J2)
MF 中川寛斗 →大分(J2)
MF 中野克哉 →琉球(J2)
MF 庄司悦大 →岐阜(J3)
DF ヨルディ・バイス →岡山(J2)
DF 冨田康平 →今治(J3)
DF 森脇良太 →愛媛(J3)
DF 黒木恭平 →未定
GK 清水圭介 →C大阪(J1)
GK 福島春樹 →引退
補強診断:C/戦力ランキング:72(11位)
昨シーズン:13位
監督:片野坂知宏(新任)
大分トリニータで一時代を築いた片野坂知宏監督を迎え、「強いガンバを取り戻す」決意で臨む新シーズン。大分から“チルドレン”の獲得がなかったのは、現状のメンバーでもボールを保持し、システムを変化させる「カタノサッカー」の体現が十分可能ということだろう。
韓国代表DFキム・ヨングォンと元日本代表MF井手口陽介の流出は痛手だが、センターバックには同じく韓国代表のクォン・ギョンウォン、ビルドアップに強みがある福岡将太を獲得。中盤の底にもブラジル人のダワン、元U-23日本代表の齊藤未月を加えた。外国籍選手はまだ入国できていないが、穴埋めはできたと言っていい。
宇佐美貴史やパトリックなど前線の顔ぶれに大きな変化はないが、特別指定選手としてリーグ戦5試合に出場した山見大登、アカデミーから昇格し、20年、21年に出場経験のあるレフティドリブラーの中村仁郎が3トップの一角を射止めても不思議はない。
【IN】
FW 山見大登 ←関西学院大(新人)
FW 坂本一彩 ←G大阪ユース(新人)
MF 齊藤未月 ←ルビン・カザン(ロシア)
MF 石毛秀樹 ←岡山(J2)
MF 中村仁郎 ←G大阪ユース(新人)
MF ダワン ←ジュベントゥージ(ブラジル)
DF クォン・ギョンウォン ←城南FC(韓国)
DF 福岡将太 ←徳島(J1)
【OUT】
FW 小野裕二 →鳥栖(J1)
FW 塚元大 →金沢(J2)
FW チアゴ・アウベス →岡山(J2)
MF 井手口陽介 →セルティック(スコットランド)
MF 矢島慎也 →大宮(J2)
MF 白井陽斗 →岡山(J2)
DF キム・ヨングォン →蔚山現代(韓国)
DF 菅沼駿哉 →未定
GK 林瑞輝 →未定