連載:22年J1・J2「補強・戦力」を徹底分析!

2022シーズンJ2リーグ戦力ランキング J1から降格した4チームを上回るのは…

河治良幸

主力残留の千葉には期待の左利きのCBも

昨季、岡山とともにJ2で2番目に失点が少なかった千葉は、堅守を支えた鈴木大(写真)、チャン・ミンギュら最終ラインのレギュラーが軒並み残留。ディフェンスの強さは一番だろう 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 守備力は、尹晶煥監督の守備戦術が昨年の途中からようやく浸透してきた千葉が「19」でトップ。キャプテンの鈴木大輔をはじめ最終ラインの主力が残留したうえに、佐々木翔悟という21歳の将来性のある左利きのセンターバックも岩手から加わった。柏とのプレシーズンマッチでは0-1で敗れはしたものの、ピンチらしいピンチはカウンターから失点を喫した場面ぐらいで、開幕前に課題がはっきりしたことも大きい。

 長崎はサイドバックが左右とも代わった点が不確定要素で「18」としたが、上記の高橋、奥井がうまくフィットすればシーズン中に「20」のレベルに達してもおかしくない。松田監督の守備戦術がベースにあるので大崩れすることはまず考えられない。あとはそこに選手がどれだけプラスアルファをもたらせるか。堅守の生命線となるセンターラインは基本継続だが、ギラヴァンツ北九州から加入のセンターバック村松航太は、レギュラー奪取も狙えるタレントだ。

 J1から降格した大分が「17」。昨年の天皇杯で準優勝したメンバーがほぼ残っており、片野坂知宏監督から下平隆宏新監督になっても、守備力が下がる心配はほぼないだろう。ただし、下平監督はボールを動かしながら相手のディフェンスを崩すスタイルをさらに追求するはずで、その中でのリスク管理は再整備が求められる。ハイプレスが強みの山形も同じ「17」とした。

 この後は仙台、横浜FC、岡山が「16」で続くが、岡山は京都サンガF.C.のJ1昇格を支えたヨルディ・バイスと空中戦に滅法強い柳育崇の“二本柱”が加わり、木山新監督が早い段階で確固たるバックラインの守備を構築できれば、堅実に勝点を積み重ねていくのではないか。バイスと柳はセットプレーでも鍵を握っており、うまくいけばセンターバックの2人だけで15得点ぐらい叩き出せる可能性がある。
 

新潟は新戦力次第で横浜FCに匹敵する陣容に

瀬古などJ1を戦った昨季の主力を何人も失った横浜FCだが、精力的な補強で長谷川(写真)、中村拓らを加えてJ2トップレベルの陣容を整えた。かつて札幌をJ1昇格に導いた四方田新監督の存在も大きい 【写真:アフロスポーツ】

 選手層はJ2の場合、新戦力のフィットが重要なポイントになるため、J1より現時点では査定しにくいところはある。それでも横浜FCの充実ぶりは目を見張る。昨年まで北海道コンサドーレ札幌のコーチだった四方田修平新監督の下で、レギュラー争いは激しくなりそうだ。また本間至恩、高宇洋ら移籍が心配された主力がこぞって残留した新潟も、昨年のベースを残しながら各ポジションに実力者が加わり、うまく噛み合えば横浜FCに勝るとも劣らない陣容になる。

 19ポイントの横浜FC、18ポイントの新潟に続くのが、昨シーズンにJ1を戦ったメンバーがそのまま主力になる仙台、山田康太など主力をチームに留めながら藤本佳希や木村誠二といった楽しみなタレントを加えた山形の2チーム(ともに「17」)。大分、徳島、長崎を千葉とともに「16」としたのは、現時点で上位4つよりも主力とサブの力の差がややあるためだが、どこもポテンシャルは高く、シーズン中に評価が逆転することも十分にありうる。

 監督力で山形を最高評価の「19」にしたのは、昨年途中から率いるクラモフスキー監督の指導力に、渡邉コーチというJ1の監督レベルの参謀が加わったこともプラス材料にしている。さらに山形のクラモフスキー監督と同様に、途中就任の昨シーズンにチームを立て直した松田監督の長崎、札幌監督時代にJ1昇格の実績がある四方田監督の横浜FC、さらに尹晶煥監督の千葉に「18」をつけた。

 2019年に横浜FCをJ1昇格に導いた下平監督が率いる大分、J1浦和レッズを指揮した経験があり“組長”の通称を持つ大槻毅監督のザスパクサツ群馬、J2で長きに渡り采配を続ける海千山千で“ヤンツー”こと柳下正明監督のツエーゲン金沢が「17」。ただ、この時点でそれ以下の評価となった監督でも、シーズンの結果次第で変わりうることは言うまでもない。

 完成度はやはり昨年から継続路線のチームが高めの評価となるが、どこも未知数な部分が大きく最高レベルの評価はできなかった。その中で山形、大分、東京Vが17ポイントでトップ。山形はクラモフスキー監督のスタイルがかなり浸透しており、大分は監督が交代したとはいえ主力が変わらず、下平監督のサッカーを良く知る中川寛斗などを補強した。堀孝史監督の戦術がチーム内で共有されている東京Vも開幕から安定した戦いをしていきそうだ。

(企画構成:YOJI-GEN)

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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