連載:プロ野球・好きな球場ランキング

好きな地方球場ランキング1位の球場は? 全国1025球場を踏破したライターが解説

斉藤振一郎
 1月に発表した「好きな球場ランキングトップ10」に続いて、スポーツナビユーザーの投票による「好きな地方球場ランキングトップ10」を発表! 今回は、1990年から2021年にかけて全国1025球場を行脚、2017年に『全国野球場巡り 877カ所観戦訪問記』(現代書館)を刊行した斉藤振一郎氏が、実体験を交えながら各球場の魅力を語ります。

ファンが選ぶ好きな球場ランキング<地方球場編>

1位:坊っちゃんスタジアム(愛媛県)

2位:倉敷マスカットスタジアム(岡山県)

3位:北九州市民球場(福岡県)

4位:沖縄セルラースタジアム那覇(沖縄県)

5位:埼玉県営大宮公園野球場(埼玉県)

6位:静岡草薙球場(静岡県)

7位:サンマリンスタジアム宮崎(宮崎県)

8位:長良川球場(岐阜県)

9位:藤崎台球場(熊本県)

10位:平塚球場(神奈川県)

1位は今季3度目の球宴が開催される球場

松山坊っちゃんスタジアムでのオールスターゲーム開催は、02年、12年に続き、今季で3回目となる 【撮影:斉藤振一郎】

 地方球場編の1位は愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアム。「美しい」「解放感がある」といった声が多数。「ヤクルトが試合をするから」という方も多く、近年のヤクルト戦開催恒例化が球場の人気を生み出しているようです。
 私が印象に残っているのは、併設されている「の・ボールミュージアム」。プロ・アマ関係とも展示物がやたら豪華な歴史資料館です。野球ファン必見でしょう。

 「坊っちゃん」とはインパクト十分のネーミングですが、隣にあるサブ球場は「マドンナスタジアム」。「坊っちゃん」に「マドンナ」とは、なんと絶妙なセンスと感心していましたが、松山の方によると「坊っちゃん団子」「マドンナ団子」という商品があるように、ペア的なものにこう名付けるのは松山ではよくあるとか。
 NPB球団の本拠地としても通用しそうな堂々たる球場で、水島新司さんの漫画では四国球団のフランチャイズとして描かれています。「ドカベン・山田太郎の5打席連続敬遠」とか「札幌にドーム球場ができてプロ球団が誕生する」とか『水島予言』はとかく的中、後年現実化します。ですので、いつの日か松山に本拠地を置く球団が誕生するのかもしれません。

倉敷マスカットスタジアム 【撮影:斉藤振一郎】

 2位の倉敷マスカットスタジアムはJR山陽本線の車窓から見えるので親しみを感じる方が多いのかも。「内野の黒土が美しい」と称賛する声が多かったです。土地柄のせいかデザインに気品を感じる球場です。岡山県福田町(現在は倉敷市と合併)出身の星野仙一さんが監督になってからは、東北楽天の秋季キャンプでも使われるようになりました。星野さんの郷土愛を感じます。

北九州市民球場 【撮影:斉藤振一郎】

 3位の北九州市民球場については「福岡PayPayドームにはこの球場のあの味は出せない」というご意見がありハッとさせられました。たしかにデラックスな球場がそろう現代では珍しくなった「昭和」の匂いが残っています。今は無き川崎球場や日生球場のようなレトロな雰囲気……。貴重な存在といえましょう。

沖縄の人々の野球愛が伝わってくる展示室

沖縄セルラースタジアム那覇 【撮影:斉藤振一郎】

 4位は「球場周りに花や緑がいっぱい」「オリオンビールが浴びるほど飲める」のご意見があった沖縄セルラースタジアム那覇。私は建て直される前の奥武山球場にも行っています。県初の野球場として1960年に造られた古い球場で南国ムード漂う建築でした。現在の球場もどこかに沖縄らしさを盛り込んだデザインにしてほしかったと思ってしまうのはワガママでしょうか。「くにがみ球場(沖縄県国頭村)みたいに玄関にシーサーを据えてくれ!」とまでは言いませんが……。

沖縄・奥武山球場 【撮影:斉藤振一郎】

 私は沖縄文化の大ファンなので。そんな私としては、この球場に併設された沖縄野球資料館の展示には感じさせられるものがありました。素朴としか見えない古い野球用具を眺めていると、沖縄の人々がいかに野球を愛し、また野球がどんなに人々の支えになってきたかが伝わってくるのです。

 他に展示室が充実しているといえばヨーク開成山スタジアム(福島県郡山市)です。中畑清さん(元巨人、市内の高校出身)の小学生時代の通知表まで公開されています。黒部市宮野公園野球場(富山県)のスタンド下に、甲子園球場から譲り受けたという昔のスコアボードで使われていた選手名表示板が展示されているのを見た時は、甲子園を身近に感じることができるナイスアイデアと思いました。

埼玉県営大宮公園野球場 【撮影:斉藤振一郎】

 5位、埼玉県営大宮公園野球場は売店のおにぎりや、キュウリの漬け物が美味しいです。観察しているとおにぎりはその場で握っている様子。価格が100円台なのもうれしいです。これに対抗できる地方球場内売店グルメとしてはやはり、レグザムスタジアム(香川県高松市)の讃岐うどんでしょう。

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著者プロフィール

1965年、茨城県生まれ。ライター兼「さすらいの野球場巡り人」。「球場の写真撮影」と「試合を観戦してスコアブックをつける」の二点を踏破条件として全国野球場巡りを敢行中。1990年の行脚開始以来2021年までに北は稚内から南は石垣島まで1025球場を踏破した。『全国野球場巡り 877カ所観戦訪問記』(2017年・現代書館)著者。刊行後に踏破した132球場を加筆した「増補版」が電子書籍として同社より近日刊行となる。また昭和期の子供向けテレビ映画に関心があり『上原正三シナリオ選集』(2009年・現代書館)に企画及び共同編集者として参加した。

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