連載:プロ野球・好きな球場ランキング

好きな地方球場ランキング1位の球場は? 全国1025球場を踏破したライターが解説

斉藤振一郎

球場前の銅像に秘められたストーリー

静岡草薙球場 【撮影:斉藤振一郎】

 6位、静岡草薙球場の見どころは、球場前の沢村栄治さんとベーブルースが対決している銅像でしょう。1934年の日米野球、この球場で演じた快投の再現です。野球場にはしばしばこうした銅像が設置されています。変わり種としては大和スタジアム(神奈川県大和市)に山田太郎、里中智(水島新司さんの漫画『ドカベン』の人気キャラクター)の銅像があります。

 銅像といえばこんな思い出があります。旭川スタルヒン球場(北海道旭川市)の前にスタルヒン投手が振りかぶっている姿を象った銅像が建っています。眺めていたら、お爺さんに声をかけられました。

お爺さん「あんたどこから来たの?」

私「東京です。全国の野球場を周っているんです」

お爺さん「じゃあ函館オーシャンスタジアムって知ってる?」

私「先日行きました。久慈次郎さんの銅像があるとこですよね」

 久慈次郎氏とは大正・昭和初期にアマチュア球界で活躍した名捕手で、函館の球場に捕手姿の銅像が建っています。

お爺さん「その久慈の像とこのスタルヒン像は向き合うように建てられているんだ。二人は全日本で一緒にやったこともある。永遠のバッテリーだな」

 ニコニコしているお爺さん。旭川と函館を隔ててバッテリーを組ませるとは、なんとスケールのデカい、なんというロマン。北海道の方はイキですね。野球旅をしているとこういう素敵な話に出会うこともあるのです。

サンマリンスタジアム宮崎 【撮影:斉藤振一郎】

 7位にランクされた、サンマリンスタジアム宮崎は観客席が大きく、内野にも芝生が敷かれたリッチな球場です。サンマリンというネーミングは公募の末決められましたが、一般の人々に交じり長嶋茂雄さんも「サンマリン」で応募。命名者の一人と認定されています。ネーミングライツ契約が盛んになる前は球場にカッコイイ名前を付けるのが流行っていました。しまなみ球場(広島県尾道市)とかアルペンスタジアム(富山県富山市)などはキマっていますね。奇抜なのは「北緯40度球場」(岩手県普代村)でしょうか。

令和の時代に残したい昭和の遺産球場

熊本・藤崎台球場 【撮影:斉藤振一郎】

 9位、藤崎台球場の名物は外野席場外に並び立つ巨大なクスノキ群です。大きいものは樹齢1000年を超え、中には観客席を越え外野フィールド・フェア地域上空にまで枝を伸ばしているものもあります。普通ならプレーの支障になるとして伐採されるところですが、なにしろ国の天然記念物とあって伐ることができません。やむを得ず「枝の中に飛球が入りこんだら認定ホームランとする」という特別ルールを設定しています。これなどはプロの本拠地球場では絶対にあり得ない「ザ・地方球場」な逸話でしょう。

福島県営あづま球場 【撮影:斉藤振一郎】

 11位で惜しくもトップ10に入らなかったのは、2021年、東京五輪・野球競技の開幕戦で侍ジャパンの劇的な逆転サヨナラ勝ちの舞台となり「ゲンの良い球場」として全国に認知された福島県営あづま球場。

 印象に残っているのは、横に長〜いスコアボードです。左から、三塁側チーム打順、審判員名、HEFC灯とSBO灯、得点板、前試合結果、一塁側チーム打順が一列にズラ〜っと並んでいます。幅50メートルはありそう。こういうデザインのスコアボードは全国でもここだけではないでしょうか(おそらく西武ライオンズ球場開設当時のスコアボードを参考に設計されたと推測しています)。

盛岡市営球場 【撮影:斉藤振一郎】

 近年は味のある個性的なスコアボードに出会うことが少なくなりましたが、2019年に訪れた盛岡市営球場のスコアボードが非常に旧式で、昨今では珍しい発見でした。しかし同球場は、老朽化のため廃止が検討中。昭和文化大好きな私としては、こういうスコアボードこそ貴重な文化財として永久保存してほしいと願っているのですが。

 今回の投票でみなさんの「好きな理由」コメントを見ていると「天然芝だから」「野外球場だから」「グラウンドが広いから」などが目立ち「本物志向」の高まりを感じます。そんな中で来年登場する、新庄剛志ビッグボスも太鼓判の「北海道日本ハムの新球場」はどんなスタジアムなのか。楽しみで仕方ありません。

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(企画構成/株式会社スリーライト)

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著者プロフィール

1965年、茨城県生まれ。ライター兼「さすらいの野球場巡り人」。「球場の写真撮影」と「試合を観戦してスコアブックをつける」の二点を踏破条件として全国野球場巡りを敢行中。1990年の行脚開始以来2021年までに北は稚内から南は石垣島まで1025球場を踏破した。『全国野球場巡り 877カ所観戦訪問記』(2017年・現代書館)著者。刊行後に踏破した132球場を加筆した「増補版」が電子書籍として同社より近日刊行となる。また昭和期の子供向けテレビ映画に関心があり『上原正三シナリオ選集』(2009年・現代書館)に企画及び共同編集者として参加した。

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