「勝てるペアスケーターになりたい」 三浦璃来/木原龍一組が急成長した理由

沢田聡子

初めて一緒に滑った時から感じていた「相性の良さ」

木原龍一(右)と三浦璃来は「合わせるのではなく、合うんだよね」と語るほどの相性の良さを見せている 【坂本清】

「合わせてるんじゃなくて、合うんだよね」

 3位に入り表彰台に上がったNHK杯(11月、東京)の一夜明け会見で「二人はなぜ、そんなに仲がいいのか」と問われた三浦璃来は、パートナーである木原龍一との間柄をそう説明している。

「だから言いたいことも言い合えますし、ぶつかっても一緒に改善できるので」

 この時は「多分、僕が璃来ちゃんに合わせてるんだよね」とコメントしていた木原だが、彼も初めて三浦と一緒に滑った時から相性の良さを感じていたという。

「2年前のNHK杯は結成3カ月で出場させていただいて、自分たちの力というものがまったく分かっていない状態で……ただその中でも『このまま続けていけば、自分たちも世界のレベルに少しずつ追いつけるかもしれない』と感じていました」

 三浦/木原が初めて出場した国際大会は、今から約2年前に行われた2019年NHK杯だった。ペアを結成してからわずか3カ月で迎えた試合だったが、総合5位と健闘している。この試合のテレビ放送で解説を担当していた川口悠子さん(現役時代はペアのスケーターとして活躍、2009年・2010年世界選手権3位、2010年バンクーバー五輪4位)は、そこから始まる二人の急成長を見通していたかのようだった。

「(三浦/木原を)初めてこの試合で見て、とても上手でびっくりしました。(結成)3か月とは思えない。二人のスケーティングが似ているので、木原くんもとても滑りやすいと思います。二人のコミュニケーションが無理なくとれているということが、滑りにも表れていると思います。

 そして、木原くんがとても生き生きとして滑っているように感じます。お互いのフィーリングが合っているということがよく伝わってきました」

 そして、川口さんはさらに核心をつく言葉を口にしている。

「無理に合わそうとしなくても、自然に合うパートナーっているんですよ」

 現役時代、国籍をロシアに変更するほどの覚悟を持ってペアという競技を極めた川口さんには、組んで間もない三浦/木原の相性の良さが既に見えていたのだ。

カナダで受ける一流の指導

メーガン・デュハメルコーチから一流の指導を受けていることも、急成長の要因だ 【坂本清】

そして川口さんは、二人の急成長を促したと思われるもう一つの要因にもふれている。

「(二人が拠点としている)カナダにはたくさんペアがいるので、環境もとてもいいと思うんですよね。だからいろいろなものをどんどん吸収して、上達していくと思います」

さらにアナウンサーが、三浦/木原がメーガン・デュハメル(カナダの元ペアスケーター、平昌五輪3位、2015年・2016年世界選手権優勝)に師事していることに言及すると、川口さんは「(三浦の滑りが、デュハメル)コーチの滑りに似ているなと感じました」とも口にしている。

「(三浦の)体型が、メーガンさんと似ているんですよね。ですから多分、コーチとしてもすごく指導がしやすいと思います」

三浦/木原は、ブルーノ・マルコットコーチとその妻であるメーガン・デュハメルの指導を受けている。デュハメルを現役時代に指導していたマルコットとしても、三浦の指導について過去の経験が生きるところがあるのかもしれない。

今季のNHK杯で受けた「二人はなぜ仲がいいのか」という冒頭の問いに対し、木原は指導陣も含めたチームとしての結束力に言及している。

「チームとして、一つの目標に向かっている。同じ目標を目指せているので、そういった部分の結びつきが強いんじゃないかなと。チーム全体が、すごく仲がいい」

カナダで受けている一流の指導、またパートナーとだけでなくコーチとも築いている固い信頼関係が、三浦/木原の快進撃を支えている。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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