連載:フォトグラファーが選ぶ、フィギュアスケート珠玉の一枚

フォトグラファーがベストショットを厳選 作品に込められた撮り手の思いに迫る

構成:スリーライト
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 アスリートの瞬間を切り取り、観る者に感動を増幅させてくれるスポーツフォトグラファーたち。すべての人間が同じプログラム、同じシーンを観ているなかで、彼らはいかにスケーターの「らしさ」、そして自分の写真「らしさ」を表現しているのだろうか。最終回は、今回の企画に参加してもらった4人のスポーツフォトグラファーが、これまでに撮影したコレクションの中からベストな一枚を厳選。撮影時のエピソードや、その撮影意図について話を聞いた。

坂本清「日本フィギュアの“継承”を象徴する貴重なショット」

2019年全日本選手権 【写真:Kiyoshi SAKAMOTO】

 このような写真は、この先絶対に撮れることはないでしょう。高橋大輔選手にとって本当に最後の男子シングル。2019年の全日本選手権のエキシビション「メダリスト・オン・アイス」での最後の場面です。羽生結弦選手が次のシーズンからアイスダンスへの転向が決まっていた高橋選手を場内に引っ張り出して、手を取り合いながら場内を一周したんです。こんなシーンはいままで見たことなかったですね。貴重なシーンを見させてもらいました。

 二人で肩を組みながら一緒に滑って、これから手をつないで……。お互い、ずっと笑っていました。素敵な表情ですね。突然のサプライズに、私は夢中でシャッターを切りました。他のフォトグラファーとも協力して、ふたりに声を掛けながら撮りましたが、こんな写真はまず撮れないと思います。

 私が全日本選手権を撮って15年。いま頭角を現してきている選手たちが生まれた頃から撮ってきました。浅田真央さん、高橋選手に憧れて、そして羽生選手に憧れて、いまジュニアで滑っている選手たちがどんどんシニアに上がってきて、全日本選手権でどんな演技を見せてくれるか楽しみにしています。

 全日本選手権の現場では、大学を卒業してフィギュアスケートを引退した人たちが指導者としてリンクに戻ってきています。また、アイスショーで滑っている人たちもいます。彼ら、彼女らが全日本選手権に出場していた時も撮影していますし、久しぶりに現場で会えるとうれしく思います。

「継承」でしょうね。この写真のイメージも。

 鍵山優真選手や佐藤駿選手らも、羽生選手を目指してきています。さらに下の世代も力をつけてきています。選手層が厚いので将来が本当に楽しみです。ジュニアよりさらに下のノービスにも将来有望な選手がたくさんいます。ちなみに、私のイチオシは河辺愛菜選手です!
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