パラリンピックが注目の今、障害者の学校体育は。「僕が入ると嫌な顔される」の声も 大阪体育大学がアダプテッド・スポーツの視点から考える講演会
「体育は見学するもの」「迷惑をかけたくない」 切実な声も
特別支援教育「教育講演会」 障害ではなく個々の違いに目を向け、その人に適合させたスポーツを創造しよう
大体大は教育学部に特別支援教育コースを備え、多数の卒業生が特別支援学校や特別支援学級 で教員を務めるなど特別支援教育・研究に力を入れている。また、社会貢献活動では、特別支援学校の生徒・卒業生と本学の学生が一緒にスポーツを楽しむ「大阪体育大学わくわくアダプテッド・スポーツクラブ」が2021年度、文部科学大臣表彰を受けた。クラブ活動でも、アダプテッド・スポーツ部が日本車椅子ハンドボール大会で2022年度に優勝、2024年度に準優勝し、ともに教育学部4年の内田峻介選手(山口南総合支援)がボッチャで、宇津木美都選手(京都文教)が競泳でパリパラリンピックに出場している。
しかし、村上准教授は障害のある子どもたちから寄せられた体育の授業に関する意見として、「体育は『見学するもの』?」「僕が入ると嫌な顔をされる」「いつも『下手』と言われる」「(同じ場でともに学ぶ)インクルーシブ体育は『理想』」「できれば参加したくない」「迷惑をかけたくない」「放っておいてほしい」といった深刻な声を紹介した。
そのうえで、多様な四肢機能の生徒が通う特別支援学校高等部のある体育教員が、コートを4分割し、自立歩行、クラッチ歩行、車いす、電動車いすの生徒がそれぞれのスペースで同じ障害の相手とボールを奪い合い次のスペースにパスして得点を競う「新しいサッカー」を考えた事例を取り上げた。生徒は危険性もなくなってボールを奪い合って盛り上がるようになったといい、この教員の「今の生徒を見て何ができるかを模索して、自分で新しいルールを作った」という声が紹介された。
車いすのA君は体育の授業で跳び箱に参加できず楽しそうではなかったが、低い木の板に乗ったり降りたりすることをA君の課題にすると、板を乗り越えた時に達成感にあふれた表情をするようになり、周りの子ども達も励ましの声をかけるようになった事例を挙げ、アダプテッドの視点として、「その人の身心の状態や特性を想像し、固定観念にとらわれない新たなことを創造する、2つの〝そうぞう〟が大事で、障害ではなく個々の違いに目を向け、その人に適合させたスポーツを創造し、実現してほしい」と話した。
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