「チーム全員の勝利」 プライドをかけたブルーレヴズ戦を62対14で勝利!
この試合に勝ちたいワケ
スピアーズはこの対決を待ちわびていた。
順位争い、えどりく連勝記録、プレーオフ進出。
リーグを戦う上で、負けられない理由は数あるが、この戦いはそうした先を見据えたなにかでは測れない理由がある。
もっと感情的で、もっと本能的で、そしてもっと強いラグビー選手としての戦う理由。それはプライドだ。
スピアーズにとってこの試合は、そのプライドをかけた一戦だった。
思い返すのは昨シーズンのクリスマスイヴ、2023-24シーズン1戦目ではラスト1プレーで逆転トライを許して敗戦した。
リベンジを誓って挑んだ4月の2戦目では、前半からリードしていたものの後半失速しドローという結果に終わった。
いくら過去のドアを閉めても、尾を引く悔しさはぬぐい切れない。
敗戦には勝利を、悔恨には歓喜を。そうして、上書きしなければ誇りを保てない。
だから、スピアーズはこの日を待ちわびていた。
そうフランヘッドコーチが評する相手チームの強みがスクラムとモールだ。
この日のスピアーズのプライドは、そうしたセットピースの部分で示された。
ファーストスクラムでは、2度の組み直しから相手を押し返す。その後にトライを奪われるが、それよりも大きな意味がこのファーストスクラムの勝利にはあった。
その後のリスタートからは、スピアーズが流れを掴む。前半10分にリカス・プレトリアス選手が抜け出して同点に追いつくと、20分にフォワード陣がモールを走らせてマルコム・マークス選手がトライを奪って勝ち越した。
ファーストスクラムと勝ち越しのモールトライ。ゲームを振り返ると、試合の優劣はここがポイントだったのかもしれない。
80分の肉弾戦。エリアやポゼッションを競い合う緻密な試合もあれば、互いのメンタルを試し合う心理戦もある。
序盤に相手のDNAとも言えるプレーで有利にたったスピアーズにとっては、あとは準備したプレーを全うするだけだった。
前半32分には自陣から展開する相手に対してラピース選手がスティールしてターンオーバー。その後のアタックで好調のハラトア選手が右サイドにトライして19対7とした。
その後もメンバーを変えながらも、厳しい攻守を見せたスピアーズは、ペナルティトライを含む合計10トライを奪って62対14で勝利した。
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「メンバー23人だけでなく、チーム全員の勝利。ノンメンバーたちが、練習でいいプレッシャーをかけていい絵を見せてくれたおかげでこの勝利がある。そして、いつも通りオレンジアーミーの声援がチームを後押ししてくれた」
とこの勝利を振り返る。
実はこの試合の前夜、チームにはアクシデントがあった。それは当初10番でメンバーに入っていた司令塔の交替。バーナード・フォーリー選手が体調不良により欠場し、押川選手が10番に入った。
だがこの押川選手は、試合を観戦した方ならだれもが納得のパフォーマンスを見せて、このアクシデントをトラブルにはしなかった。
タフな連戦が続くリーグワン。そこには、怪我や予期せぬハプニングが付き物だ。互いにプライドをかけて戦う80分だからこそ、準備通りに進むことのほうが珍しい。
そこで試されるのは、チーム力。
例えば今回の押川選手のような誰が出ても役割を全うすることができるいい準備であったり、過去の敗戦の悔しさや梁本選手のトライへの喜びを全員で共有することであったり。そうしたことで生まれるものこそ、マキシ選手の語る「全員での勝利」なのかもしれない。
スピアーズはこの勝利で勝ち点5点を加え、順位を3位に保っている。次戦は昨季王者・東芝ブレイブルーパス東京と対戦。現在2位のブレイブルーパスとの勝ち点差はわずか1点。チーム全員でこの大一番に準備する。
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写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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