B1西地区展望 琉球の連覇は続くのか 大型補強の島根&広島はCS出場を狙う
昨年のセミファイナルで“やられた”コー・フリッピンを獲得 【(C)B.LEAGUE】
今季の西地区は下からの押し上げが強く、チャンピオンシップ(CS)の出場権争いは混戦となる可能性が高い。2021-22シーズンのB1は2チーム増の「22チーム/東西2地区制」で開幕する。なお今季は過去2シーズンに引き続いてB2へ降格が実施されない。昨季の勝率順に、西地区の11チームを紹介していく。
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選手層の厚い琉球、西地区に移った富山もCSを狙う
4シーズン連続で地区優勝中だが、CSはセミファイナル敗退が続いている。今季は桶谷大ヘッドコーチ(HC)が9年ぶりに復帰。チームカルチャーの再構築による浮上を図っている。
田代直希は在籍6季目を迎えるスモールフォワード(SF)で、チームの新キャプテン。フィジカルな守備を見せつつ、昨季は40%を超える3ポイント成功率を記録し、プレイメイカーとしても頼りになる存在だ。ウイング陣は他にも今村佳太、牧隼利、コー・フリッピンと若く能力の高い人材が揃っている。
フリッピンはアメリカ育ちだが母が沖縄出身。軽やかなドライブ、跳躍力が強みで、昨季は千葉ジェッツのファイナル制覇に貢献した。ポイントガード(PG)の並里成、岸本隆一も沖縄出身だ。並里はクリエイティブなプレーでお馴染みだが、守備のレベルも高く、手堅く組み立てるコントロールの安定感を身につけつつある。
外国籍選手の3名はB1屈指の陣容。ジャック・クーリーは2季連続でリバウンドに輝き、攻撃でもしなやかなシュートタッチを備えるセンター(C)だ。ドウェイン・エバンスは昨シーズンに大活躍を見せたオールラウンダーで、さらに滋賀レイクスターズや新潟アルビレックスBBで圧倒的なスタッツを残したパワーフォワード(PF)のアレン・ダーラムも加わった。
帰化選手の小寺ハミルトンゲイリーは日本でのプレー経験が長く、昨季は茨城ロボッツのB1昇格に貢献。130キロの巨漢で、周りの強みを引き出せるタイプだ。
新加入の目玉はハワイ育ちの22歳で、日本代表の渡邉飛勇。9月4日の練習試合で右肘(右橈骨頭骨折)の骨折を負ってしまったことは残念だが、終盤戦には間に合うだろう。
他チームの昇格により、今季は東地区から西地区に移った。昨季は浜口炎・新HCのもと、強豪の揃う東地区の4位でCS進出を果たしている。
チームの柱はリーグのベスト5にも選ばれたジュリアン・マブンガ。ジンバブエ生まれ、アメリカ育ちの彼は206センチのPFながら、PGの役割も果たすオールラウンダーだ。もうひとつの柱はジョシュア・スミス。B1でもっとも“重い”選手で、インサイドのバトルは無敵。彼がボール下でボールを持ったらファウルで止めるか、神に祈るしかない。
昨季はこの二人への依存度が高かったが、今季は新加入のPFブライス・ジョンソンにも期待できる。守備、リバウンドに強みを持つアスリートだ。
一方で昨季の躍進を支えた前田悟、岡田侑大、松脇圭志の若手トリオや、開眼の兆しを見せていた橋本晃佑が移籍。戦力ダウンの懸念を持つファンも多いだろう。
とはいえPGでチームリーダーの宇都直輝や、在籍14季目の水戸健史はチームに残った。上澤俊喜、飴谷由毅(奥田中では八村塁、笹倉怜寿の1つ後輩)と富山出身の関東大学バスケで活躍した新人も加わっている。
また晴山ケビンは守備と3ポイントに強みを持ち、富山と合いそうなウイングプレイヤー。松井啓十郎は2019-20シーズンの3ポイント王に輝いたベテランシューターだ。二人は京都時代に浜口HCのスタイルも経験している。加えてトヨタ、千葉と強豪を渡り歩いてきた小野龍猛が加入し、キャプテンに指名された。CS出場は十分に狙えるチーム構成だ。
ディージェイ・ニュービルの残留が、大阪エヴェッサにとって最大の補強かもしれない。それほどインパクトのある選手だ 【(C)B.LEAGUE】
昨季は西地区2位でCSに出場している。天日謙作HCの療養、長期離脱というアクシデントはあった中でしっかりシーズンを戦い抜いた。
昨季のBリーグはオン・ザー・コートルール改正の影響で、外国籍のアウトサイドプレーヤーが多く来日している。ディージェイ・ニュービルはその中でも特にインパクトを与えた存在で、Bリーグの歴史でも1、2を争うPGだろう。個人の打開力、状況判断が抜群で、試合の終盤になればなるほど持ち味を発揮する。昨季は第4クォーターの逆転劇をいくつも演出してみせた。
新加入選手の目玉はもちろん竹内譲次。15年以上に渡って日本代表を支え、アルバルク東京の3連覇を支えたPFだ。スキルと状況判断に優れ、ハンドラーとスクリーナーが連携するピック&ロールの“3人目”としてスペースを作る、中継点になるクレバーさは唯一無二。昨季はプレータイムを減らし、東京五輪出場も逃したものの、日本人屈指のインサイドプレイヤーであることは間違いない。大阪は他にもカイル・ハント、ペリー・エリスと既に日本でプレーした経験のあるインサイドプレイヤーを迎え入れている。
アイラ・ブラウンは来日11シーズン目の帰化選手で、39歳のベテランながら昨季はチーム最多の出場時間を記録した鉄人。パワー、跳躍力、スキルと全てを持ち合わせたオールダウンだーだが、竹内の加入によりSFでプレーする機会が増えるだろう。
「海外育ちの日本人選手」を積極的にスカウトするのも大阪の特徴だ。昨季はエリエット・ドンリーが台頭し、今季も大型シューターのザック・モーアが加入。彼らも含めて190センチ台のガード、ウイングが多く、かなりのビッグラインアップを組めるはずだ。
怪我からの復帰が楽しみなのはSG橋本拓哉。190センチの大型でアスリート能力が高く、独特のステップ、高いシュート力を持つ。そう考えると大阪は昨シーズン以上に期待値が高い。