今季の男子シングルを安藤美姫が分析 圧倒的なチェン、日本選手に必要な要素は

沢田聡子
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北京五輪の最大出場枠「3」を獲得した日本勢。同時に世界選手権3連覇のネイサン・チェン(アメリカ)がみせた圧巻の演技も印象に残った男子シングル 【Getty Images】

 フィギュアスケートの世界選手権(3月24〜28日、スウェーデン・ストックホルム)男子シングルで2・3・4位という素晴らしい成績を残し、北京五輪の最大出場枠「3」を獲得した日本勢。3連覇したネイサン・チェン(アメリカ)が見せた圧巻の演技も印象に残る。今季の男子シングルを、元世界女王の安藤美姫さんに振り返ってもらった。(取材日:4月8日)

チェンは「王者としての貫禄や……」

元世界女王の安藤美姫さんに、今季の男子シングルについて語ってもらった 【スポーツナビ】

――ネイサン・チェン選手のすごみを感じた世界選手権でした。

 チェン選手の場合は、ここ数年スケート以外に学業にも取り組んでいます(イェール大学に入学、現在は休学中)。本当に自分の時間を大事にしながらスケートと向き合っていて、そのバランスがとれているのかなと見受けられました。強豪国と言われている日本の3選手との今季初の試合が世界選手権というところで、もしかしたらショートは緊張していたのかなと。冒頭のジャンプ(4回転ルッツ)での転倒は、いつもよりも少しスピード感に欠けていたため、流れに乗れなかったように見えました。でもその後は、いい集中を持ちながら後半でリカバリーもしていて、王者としての貫禄や、切り替えのうまさ、強さをすごく感じました。

 2018年平昌五輪でも実力はあったのですが、若さや緊張があり、まだ演技構成点の点数が伸びにくいところもありました。でもここ数年で、演技構成点での評価を上げるためにいろいろなジャンルに挑戦し、すごく自信をつけています。ジャンプがなくても観る者を楽しませてくれるような魅力があふれるスケートで、シニアらしい男性の力強さも備わってきているので、さすがだなと思いました。
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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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