紀平梨花は「一つひとつの要素の質を…」 今季の女子シングルを安藤美姫が分析

沢田聡子
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北京五輪の最大出場枠「3」を獲得した日本勢。同時に世界トップとの距離も見えた今季の女子シングル 【写真は共同】

 フィギュアスケートの世界選手権が、3月24〜28日、スウェーデン・ストックホルムで無事に開催された。バブル方式・無観客で行われた異例の大会ではあったが、北京五輪の最大出場枠「3」を獲得した日本勢。同時に世界トップとの距離も見えた今季の女子シングルを、元世界女王の安藤美姫さんに振り返ってもらった。(取材日:4月8日)

元世界女王の安藤美姫さんに、今季の女子シングルについて語ってもらった 【スポーツナビ】

――どのスケーターも、練習環境が整わないまま今季を迎えたかと思います。

 このコロナ禍の一年は、普通に生活している中でもすごく大変なところがあったと思います。特にその中でもスケーターは、氷がなければ練習が十分にできません。日本だけではなく世界中の選手が同じような状況で準備をしなければならず、またシーズンインがいつになるか分からなかったので、選手個々にいろいろな思いを持ちながら調整をしていたのではないかと思います。

――バブル方式で行われた世界選手権は、北京五輪の出場枠もかかっていました。重圧もある中での日本人選手の戦いぶりについてはいかがでしょうか。

 日本は男女ともに3枠を獲得し、なおかつアイスダンスとペアも1組ずつ枠を確保できたので、素晴らしいことだと思います。特に女子は4年前の平昌五輪では2枠しかなかったところを、きちんと3枠に戻しましたね。

――女子については、やはりロシア勢が強いという印象が残った試合でした。エリザベータ・トゥクタミシェワ選手は、24歳で銀メダルを獲得しましたね。

 エリザベータ選手はオリンピック出場にまだ手が届いていないですが、五輪プレシーズンの世界選手権で表彰台に乗り、大事なところで自分の力を発揮しました。ショートとフリーでトリプルアクセルを3本決め、トリプル+トリプルのコンビネーションも成功させてくるところを見ると、集中してこの世界選手権に臨んでいたのかなと思います。彼女は自分の個性を分かっていて、他の選手と被らない曲選びや個性的な衣装など、観ている私たちの印象に残るようなセルフプロデュースがとても上手です。シニア女子の魅力である大人の女性らしさやスケートの重みもあり、素敵ですね。
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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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