ピンチをチャンスに変えるゲームチェンジャー「ミステリー 235MFウェッジ」を永井プロが検証

GEW(月刊ゴルフ用品界)

【ミステリー 235MFウェッジ】

「ミステリー」ブランドから、ローバウンスの新作ウェッジ『235MF』がリリースされる。“鍛造の町”こと姫路生まれの軟鉄鍛造ヘッドであり、フェースの高精度な平面加工により優れたスピン性能を備えたウェッジ。永井プロが本コースのフェアウェイで、ラフで、バンカーで、リアルな検証をした。

「ウェッジの名器を彷彿とさせる、ヘッドの〝肉厚感〟は頼りがいがあります」まずは動画で

米国風のティアドロップ顔 日本風のややオフセット

永井 新作のウェッジ『235MF』は、48度から2度ピッチで60度まで7つのロフト展開があります。試打クラブは58度なので、SW(サンドウェッジ)のロフト帯となりますね。ヘッドの仕上げは、黒染めとホワイトクロムメッキの2タイプ。今回テストする黒染めのヘッドは引き締まって見えるし、ホワイトクロムメッキのヘッドはややブラスト加工が施されて高級感があり、太陽の光が当たってもギラつかないでしょう。

球を打つ前に、見た目の印象からお話ししましょう。構えた感じはいわゆるティアドロップ型で、刃先(リーディングエッジ)が出て丸みを帯びています。それでいて、ネックは少しオフセットが入っている。この辺りは、アメリカと日本の〝ウェッジの名器〟を良いとこ取りした印象があります。

何より、この『235MF』のヘッドには〝肉厚感〟というか〝ボリューム感〟があります。ヘッド単体をパーツで展開しているメーカーのウェッジには、個性を出そうとして削りを入れるあまり、華奢というか痩せて見えるようなヘッドがありがち。しかしウェッジは、砂(バンカー)を叩いたり深いラフに打ち込んだりすることがあるクラブなので、この〝重量感〟が「当たり負けない」という信頼感につながるのではないでしょうか。かつてクリーブランドの初期モデルとか、古くはベン・ホーガンやウイルソンのウェッジには、こういう雰囲気がありましたね。

ローバウンスでありつつソールが当たってくれる

【「ミステリー 235MFウェッジ」】

永井 ピンまで30ヤードくらいのフェアウェイから打ったときのスピン性能や弾道をチェックしてみましょう。『235MF』はローバウンスですが、ソールの真ん中に高いところ(頂点)があって〝当たり〟がしっかりしているので、刺さらずキレイに抜けます。

そのときに感じたのが、フェースがボールを強く〝噛む〟手ごたえ。フェース面にボールが吸いつくように喰らいついて、スピンがかなり効きます。バミューダ芝で下がやや硬いグリーンでしたが、イメージより1割くらい低い弾道で、着弾してから1、2バウンドでギュギュッとグリーン面を〝バイト〟して、ブレーキがかかって止まりました。いい感じで「カップに入るかな?」と思いましたが、逆に止まっちゃいましたね(笑)。

この『235MF』は、フェースの平面加工が高い精度で施されています。フェース面を極限までフラットに仕上げることで、ボールとの密着度が上がり、〝球の乗り感〟が長くなっている。結果、スピン性能が上がり、高さのコントロールもしやすい。インパクトでボールが滑らないので、出球の高さが抑えられて〝ポッコン球〟になりません。

続いて場所を変えて、グリーン奥からの下り傾斜で、ショートサイド(ピンが近い)のアプローチをラフから打ちました。こういうシビアな状況でも『235MF』は、ボールがフェースに乗る感じが出ます。だからこそ、短い距離でもイメージした落としどころにボールを運べた。しかもローバウンスでありながら、ラフに入ってからソールがちゃんと当たってくれるので、抜けが良かったです。実は、ローバウンスで〝入って抜ける〟だけだと、打点がフェースの上めになりやすく、スピンがあまりかからなかったり高さをコントロールできなくなりがち。でも、このソールは〝入った〟あとに〝当たる〟ので、最もスピンがかかりやすいフェースの下寄りで打ちやすい、という効果があるんです。

ヘッドがスピンをかけてくれる自分は距離&方向にフォーカス

永井 58度のSWなので、バンカーでも検証してみました。グリーン右奥のガードバンカーで、エッジ~ピンが8ヤードの下り傾斜。なかなか厳しい状況ですが、これまでのテストで、ヘッドが確実にスピンをかけてくれることが分かりました。打ち手はそれほど難しい打ち方をせず、距離と方向を合わせることにフォーカスできる。『235MF』はそういう信頼関係が築けるウェッジと言えます。

バンカーショットをすると、ヘッドが素直に砂の中へ入ってエクスプロージョンできますが、ソールの高いところ(頂点)が支えてくれるので潜らず抜けやすい。バンカーから脱出しやすいだけでなく、下り傾斜でもスピンがきっちり入ってくれて、ピンに向かってラインに乗りながら寄っていきました。

アマチュアでバンカーが苦手な人は、幅広ソールやハイバウンスの〝お助け系〟ウェッジを使う人が多いもの。逆にそのせいで、ヘッドが砂に入らず弾かれてしまい、堂々巡りのミスに陥るケースが意外と多いんです。そういう人も『235MF』のようなウェッジだと、打ち方もシンプルで安定するし、好ましい結果につながるのではないでしょうか。
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著者プロフィール

1978年2月創刊のゴルフ産業専門誌「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行。2000年5月から影響力のあるコアゴルファーを対象にネット情報を発信するウエブサイト「GEW」を立ち上げた。各種業界団体と連携、ゴルフ市場活性化への活動も推進中。

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