ピンチをチャンスに変えるゲームチェンジャー「ミステリー 235MFウェッジ」を永井プロが検証
「ウェッジの名器を彷彿とさせる、ヘッドの〝肉厚感〟は頼りがいがあります」まずは動画で
米国風のティアドロップ顔 日本風のややオフセット
球を打つ前に、見た目の印象からお話ししましょう。構えた感じはいわゆるティアドロップ型で、刃先(リーディングエッジ)が出て丸みを帯びています。それでいて、ネックは少しオフセットが入っている。この辺りは、アメリカと日本の〝ウェッジの名器〟を良いとこ取りした印象があります。
何より、この『235MF』のヘッドには〝肉厚感〟というか〝ボリューム感〟があります。ヘッド単体をパーツで展開しているメーカーのウェッジには、個性を出そうとして削りを入れるあまり、華奢というか痩せて見えるようなヘッドがありがち。しかしウェッジは、砂(バンカー)を叩いたり深いラフに打ち込んだりすることがあるクラブなので、この〝重量感〟が「当たり負けない」という信頼感につながるのではないでしょうか。かつてクリーブランドの初期モデルとか、古くはベン・ホーガンやウイルソンのウェッジには、こういう雰囲気がありましたね。
ローバウンスでありつつソールが当たってくれる
そのときに感じたのが、フェースがボールを強く〝噛む〟手ごたえ。フェース面にボールが吸いつくように喰らいついて、スピンがかなり効きます。バミューダ芝で下がやや硬いグリーンでしたが、イメージより1割くらい低い弾道で、着弾してから1、2バウンドでギュギュッとグリーン面を〝バイト〟して、ブレーキがかかって止まりました。いい感じで「カップに入るかな?」と思いましたが、逆に止まっちゃいましたね(笑)。
この『235MF』は、フェースの平面加工が高い精度で施されています。フェース面を極限までフラットに仕上げることで、ボールとの密着度が上がり、〝球の乗り感〟が長くなっている。結果、スピン性能が上がり、高さのコントロールもしやすい。インパクトでボールが滑らないので、出球の高さが抑えられて〝ポッコン球〟になりません。
続いて場所を変えて、グリーン奥からの下り傾斜で、ショートサイド(ピンが近い)のアプローチをラフから打ちました。こういうシビアな状況でも『235MF』は、ボールがフェースに乗る感じが出ます。だからこそ、短い距離でもイメージした落としどころにボールを運べた。しかもローバウンスでありながら、ラフに入ってからソールがちゃんと当たってくれるので、抜けが良かったです。実は、ローバウンスで〝入って抜ける〟だけだと、打点がフェースの上めになりやすく、スピンがあまりかからなかったり高さをコントロールできなくなりがち。でも、このソールは〝入った〟あとに〝当たる〟ので、最もスピンがかかりやすいフェースの下寄りで打ちやすい、という効果があるんです。
ヘッドがスピンをかけてくれる自分は距離&方向にフォーカス
バンカーショットをすると、ヘッドが素直に砂の中へ入ってエクスプロージョンできますが、ソールの高いところ(頂点)が支えてくれるので潜らず抜けやすい。バンカーから脱出しやすいだけでなく、下り傾斜でもスピンがきっちり入ってくれて、ピンに向かってラインに乗りながら寄っていきました。
アマチュアでバンカーが苦手な人は、幅広ソールやハイバウンスの〝お助け系〟ウェッジを使う人が多いもの。逆にそのせいで、ヘッドが砂に入らず弾かれてしまい、堂々巡りのミスに陥るケースが意外と多いんです。そういう人も『235MF』のようなウェッジだと、打ち方もシンプルで安定するし、好ましい結果につながるのではないでしょうか。
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