25年J1・J2「補強・戦力」を徹底分析!

積極補強が光った浦和と柏…東京3チームも戦力アップ J1リーグ全20クラブの補強診断【前編】

YOJI-GEN

浦和の攻撃のカギを握るのはディナモ・ザグレブ、コルトレイクで経験を積んだ金子拓郎だ。前橋育英高の先輩である渡邊凌磨との連係にも期待がかかる 【池田タツ】

 シーズン開幕直前の風物詩であるFUJIFILM SUPER CUPを2月8日に控え、2025シーズンのJリーグへの期待も高まっている。そこでJ1全チームのストーブリーグを総括する。前編では鹿島アントラーズから湘南ベルマーレまで、東の10チームの補強を読み解く。
※情報は2月4日時点のもの
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鹿島アントラーズ

補強診断:B/戦力ランキング:84(3位タイ)
昨シーズン:5位
監督:鬼木達(新任)
 一時はブラジル復帰の可能性も高まっていたFWレオ・セアラをC大阪から獲得したのは大きい。昨季21得点を挙げたストライカーは、日本でのプレーも6シーズン目となる。Jリーグのスタイルを知り尽くしているだけでなく、生粋のストライカーの加入によって鈴木優磨の負担も軽減できそうだ。むろん、得点力アップという点が最大の魅力であることは言うまでもない。

 また、植田直通と関川郁万のバックアッパーの獲得が急務だったセンターバックには、鳥栖からDFキム・テヒョンを迎えた。韓国の年代別代表の常連で、昨季のJ1で26試合出場という実績が示すように、バックアッパーにとどまらない実力者。この補強によって最大の懸案事項も解決した。

 攻撃陣からMF名古新太郎(→福岡)、MF仲間隼斗(→柏)と、ふたりのレギュラークラスが抜けたのは痛いが、FC東京に期限付き移籍をしていたMF荒木遼太郎、東京VにレンタルしていたMF松村優太が復帰する。中盤に生じた穴は、武者修行によって逞しさを増したふたりの生え抜き選手が埋めてくれるに違いない。メンバー編成は悪くない。ただし、鬼木新監督の志向するスタイルにマッチする選手が揃ったのかどうかという点においてはやや不安もある。

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浦和レッズ

補強診断:A/戦力ランキング:83(5位タイ)
昨シーズン:13位
監督:マチェイ・スコルジャ(2年目)
 絶対的なレギュラークラスの流出はなく、柏からMFマテウス・サヴィオ、広島からMF松本泰志と、ライバルチームの主軸の引き抜くと、札幌時代からアプローチしていたMF金子拓郎(←コルトレイク)を迎え入れることにも成功。2列目、3列目はJ1の20チームの中でも屈指の選手層となった。

 アレクサンダー・ショルツの移籍以降、不安材料となっていたセンターバックにおいても、大学ナンバーワンDF根本健太(←流通経済大)のみならず、ブラジル1部のジュベントゥージからDFダニーロ・ボザを獲得。一気に強みのポジションとなった印象がある。

 サイドバックの層の薄さは気になるが、それ以上に不安なのがセンターフォワードだろう。昨季はFWチアゴ・サンタナとFWブライアン・リンセンが併用されたが、リンセンがオランダリーグに復帰。横浜FCへの期限付き移籍から帰還するFW髙橋利樹、浦和のアカデミー出身で、新潟でブレイクしたFW長倉幹樹がどこまでやれるか。あるいは、さらなる補強があるのか。そのあたりが焦点となりそうだ。

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柏レイソル

補強診断:A/戦力ランキング:76(11位タイ)
昨シーズン:17位
監督:リカルド・ロドリゲス(新任)
 大黒柱のマテウス・サヴィオが浦和に、日本代表の関根大輝がスタッド・ランスに移籍したのは痛手だが、その穴を埋めるだけの補強を敢行した。新たに加わるのは14人。それも、半数近くがJ1での実績十分な実力者たちだ。近年は残留争いに巻き込まれることが多いが、下位からの脱却のみならず、上位進出を狙う強い意志が伝わってくる。

 また、補強に筋が通っているのも評価できる点だ。今季は浦和や徳島の指揮を執ったリカルド・ロドリゲス監督を招聘したが、MF渡井理己(←徳島)、MF小泉佳穂(←浦和)はかつて指揮官のもとでプレーした経験がある。また、MF原川力(←FC東京)はゲームをコントロールでき、レンタルバックのDF田中隼人(←長崎)と、GK小島亨介(←新潟)はビルドアップ力に長けた選手たち。いずれの選手も新監督の標ぼうするスタイルにマッチしそうなのだ。

 さらに、MF久保藤次郎(←鳥栖)、MF杉岡大暉(←町田)などサイドの補強にも余念がない。FW細谷真大、MF仲間隼斗、MF手塚康平といったアカデミー育ちの選手がリーダーシップを発揮し、スペイン人指揮官がチームをしっかりマネジメントできれば、上位進出も不可能な目標ではない。

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FC東京

補強診断:B/戦力ランキング:76(11位タイ)
昨シーズン:7位
監督:松橋力蔵(新任)
 7シーズンに渡って最前線に君臨した絶対的なエース、ディエゴ・オリヴェイラの引退を受け、昨季14ゴールをマークしたFWマルセロ・ヒアン(←鳥栖)を期限付き移籍で獲得。この新エースの出来が“松橋トーキョー”の命運を握っていると言っていい。

 中盤に目を移せば、昨夏に若きキャプテン・松木玖生が海を渡り、今冬には鹿島からのレンタル加入だったMF荒木遼太郎の完全移籍での獲得に失敗。このふたりのパリ五輪世代に代わる存在として、クラブのアカデミー出身で、スペインでプレーしていた橋本拳人(←エイバル)の4年半ぶりの復帰が決定。さらに1月29日には、パリ五輪代表アタッカーで、明治大から海を渡り、ドイツのブレーメンに所属していた佐藤恵允の獲得も発表された。

 右サイドバックの中村帆高が町田に移籍したため、サイドバックの選手層に不安が残るが、センターバックの層の厚さを考えれば、3バック導入も考えているのかもしれない。昨季は同じ東京都をホームとし、J1昇格組だった町田、東京Vの後塵を拝したが、その屈辱を晴らすための陣容が整ったと言えるだろう。

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東京ヴェルディ

補強診断:B/戦力ランキング:83(5位タイ)
昨シーズン:6位
監督:城福浩(4年目)
 タレントを育てて売るというサイクルは終焉したようだ。中島翔哉、三竿健斗、渡辺皓太、藤田譲瑠チマ……と、アカデミーで育った選手がJ1クラブに移籍していったのは過去の話。16年ぶりにJ1復帰を果たした昨季のオフと同様、今冬もオファーが届いていた森田晃樹や谷口栄斗ら主力選手が軒並み残留という選択肢を選んだ。

 加えて、FW木村勇大(←京都)、FW染野唯月(←鹿島)、FW山見大登(←G大阪)ら期限付き移籍でプレーしていた選手の完全移籍での獲得にも成功。京都からレンタル加入していたMF山田楓喜(→CDナシオナル)は海外挑戦を選んだものの、昨季のレギュラーがほぼ変わらないのは、城福体制4年目という継続性の観点からも大きな強みだ。

 加えて、プレーメーカーの平川怜(←磐田)、パリ五輪代表のセンターバック・鈴木海音(←磐田)、サイドアタッカーの福田湧矢(←G大阪)を獲得。いずれもレギュラーを狙えるタレントで、バックアッパーとしても心強い存在。J1復帰初年度でリーグ6位と大躍進を遂げた昨季よりも戦力はアップしている。J1定着はもちろん、今季も上位に進出してもおかしくない。

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