連載:フォトグラファーが選ぶ、フィギュアスケート珠玉の一枚

宮原知子・珠玉のベストショットを厳選 手先からエッジまで美しい瞬間を狙いたい

構成:スリーライト
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 アスリートの瞬間を切り取り、観る者に感動を増幅させてくれるスポーツフォトグラファーたち。すべての人間が同じプログラム、同じシーンを観ているなかで、彼らはいかにスケーターの「らしさ」、そして自分の写真「らしさ」を表現しているのだろうか。第6回は、宮原知子選手の「珠玉の一枚」を4人のスポーツフォトグラファーが厳選。被写体としての宮原知子をどう切り取ったのか、その撮影意図について語ってもらった。

能登直「メイクのディテールまでを捉えた一枚」

2019年グランプリシリーズ ロシア杯 【写真:Sunao Noto】

 2019-20シーズンの宮原選手のプログラムは、これまでのイメージから大きく変わり、メイクも随分と雰囲気が変わった印象を持っています。これくらいアップで撮ると、よく分かると思います。特に、アイラインを目尻のかなり先まで伸ばしたメイクは、これまでの宮原選手には見られなかったことで、これも横位置のアップの写真だからこそ細かい変化まで分かるかと思います。メイクも含めて、表現力に大人っぽさが出てきたなと、撮影しながら感じていました。

 この写真は2019年のグランプリシリーズロシア杯で撮影したものですが、これまでなかなか良い表情の瞬間を切り取ることが難しいと感じていました。この試合では目線がキリッと正面を向いていて、とても良い表情をしているように感じていました。それならば横位置でこの写真のようにアップめで切り取った方が宮原選手らしさが出るかなと。

 僕がここまでフィギュアスケートの撮影にのめり込んだのは、フィギュアスケートはスポーツでありながら、撮りようによっては芸術的な要素を表現できるからなんです。その一枚に、いかにフィギュアスケートの芸術的な要素を表現できるかというところに自分自身が入り込める。映像ではできない一瞬を切り取ることのおもしろさに夢中になりました。

 フィギュアスケートには「ジャンプが成功した、失敗した」という記録的な要素ももちろんありますが、雑誌メディアなどを通して、「きれい」「カッコいい」「この写真いいね」と思ってもらえるような写真を撮り続けていかないと、この仕事は続けていけません。僕が撮影した写真を世間に出すうえで、撮られた選手本人からも「いいね」と思ってもらえるような写真を撮りたいという思いで、現場に向かっています。
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