同じ重さなのに重く感じたり、軽く感じたりするのはなぜ? メーカーやモデルによって変わるシャフトの「基準」

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【鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第46回】

元調子はアスリート向け、先調子はアベレージ向け、中調子は万人向け――。そうやって決まり事のように言われがちだけど、スペックや数値だけでどういうシャフトかを見極められるほど単純じゃない。カリスマフィッターの鹿又さんは、こうレクチャーする。

同じ重量帯でも、振ったときの重さの感じ方は異なる

シャフト特性の見方という観点で言うと、一般的には「重さ」「硬さ(フレックス)」「振動数(cpm)」があり、中でも「キックポイント(調子)」が代表的なところでしょう。しかし今や、これらのスペックだけでは、どういうシャフトかは全く分かりません。少なくとも、カタログのスペックを見ただけでは、どういう挙動をするシャフトなのか、ボクには想像できません。

それはどういうことかを具体的にご説明しましょう。どのメーカーでもブランドでも、絶対的に同じなものは「重さ」です。けれど、シャフトにはバランスポイントやEI剛性があるので、仮に同じ50グラム台のシャフトでも、振ったときに重く感じるモノと軽く感じるモノは存在します。ただ、秤(はかり)に乗せたときの数値は変わりません。

純正とカスタムでは、1~1.5フレックスくらい純正のほうが軟らかい

その次に「硬さ」です。R、S、Xといったフレックス表記に関して言うと、正直なところ、同じメーカーでもモデルによって硬さが違うもの。それはシャフトメーカーでもクラブメーカーでもそうで、モデルごとのターゲットユーザーに対して「Sはこのくらいの硬さ」「Rはこのくらいの硬さ」という基準が変化するんです。ということは、フレックスが判断材料にはなりません。

もっと言えば、メーカー純正で挿さっているシャフトと、カスタムラインで入ってくるシャフトでは、だいたい1フレックス~1フレックス半くらい硬さの基準に違いがあって、メーカー純正のほうが軟らかくなっています。

この「硬さ」にまつわるデータが「振動数」です。数値が小さいほど軟らかく、大きいほど硬いとされていますが、この「振動数」はどうしても、シャフトの手元側の剛性が数値に出やすいことを覚えておきましょう。

そうすると「振動数=硬さ」という感覚が同一になりにくい傾向があります。なおかつ、この「振動数」を気にしないでシャフトを作っているメーカーもあるほどなので、シャフト特性にはあまり関係ありません。

“しなりの頂点”の場所だけでシャフトの特性は決まらない

そして「キックポイント(調子)」です。シャフトをたわませたときに“しなりの頂点”がどこにあるかによって、先、中、元(調子)となります。ところが、単一素材で一本のシャフトを作っているわけではありません。

だいたい15~25くらいのパーツをつなぎ合わせるというか、それらを組み合わせてシャフトが構成されているので「どこが一番しなっているからこういうシャフトなんだ」と判断するのはキケン。いわゆる「先調子だから球がつかまる」「元調子だから中弾道になる」と決めるのはムリがあります。

もっと言えば、前述したように基準が違うので、元調子でも先調子のシャフトより手元剛性が高いモデルもあるということ。そういうことが起こっているので「キックポイント」もあくまで一つの目安でしかありません。

これらのお話を踏まえて、次回はシャフトを選ぶときに気をつけたいポイントを述べましょう。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。

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