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紀平梨花「何もかも追い込まなくては…」
日本女子が世界選手権で味わった悔しさ

紀平はショート2位発進も、調整ミスに泣く

ショートで2位と好発進した紀平だったが、フリーでは調整に失敗。総合7位に終わった
ショートで2位と好発進した紀平だったが、フリーでは調整に失敗。総合7位に終わった【Getty Images】

「もっともっとしなくてはいけないことが、『足りないよ』って言われていると思って……。もう、何もかも追い込まなくてはいけないなと思いました」


 現在世界をけん引するロシア勢(アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワ、エリザベータ・トゥクタミシェワ)と、それに対抗できる数少ないスケーターである紀平梨花に注目が集まった世界選手権・女子シングル。紀平はショートプログラムでトリプルアクセルを着氷させ、1位のシェルバコワと3位のトゥクタミシェワに挟まれる形で2位につける。


 しかし、優勝への期待を背負って迎えたフリーで、紀平は実力を出し切ることができず総合7位に終わった。全日本選手権で初めて成功した4回転サルコウは回避し、2本入れる予定だったというトリプルアクセルの1本目はダブルになり、2本目では転倒してしまった。


 フリー後、バーチャルミックスゾーンで取材に応じた紀平は、体が昼の時間帯に調子が良くなるリズムになっていたと話している。そのため日中に行われたショートと違い、夜に始まったフリーでは「(ジャンプで)回転する時の速度が遅い」と感じていたという。

ロシア女子が表彰台を独占

今大会はロシア勢が表彰台を独占。優勝したシェルバコワ(中央)をはじめ、三者三様の強さを見せた
今大会はロシア勢が表彰台を独占。優勝したシェルバコワ(中央)をはじめ、三者三様の強さを見せた【Getty Images】

 一方、ロシア女子(組織的なドーピング問題により、今大会はロシアではなくロシア・フィギュアスケート連盟の選手として出場)は三者三様の強さを発揮している。


 4回転の先駆者であるトゥルソワは、ショート12位と出遅れるが、フリーで怒涛の追い上げを見せた。5本の4回転を組み込む男子顔負けの構成に、2回転倒しながらも果敢に挑んでいく姿には鬼気迫るものがあった。初めての世界選手権を戦ったトゥルソワは、フリーだけの順位では1位となり、勇気の証である銅メダルをもぎとった。


 また、若手の台頭が著しいロシアで熾烈(しれつ)な代表争いを勝ち抜いた24歳のトゥクタミシェワは、ショートで1本、フリーで2本のトリプルアクセルを跳び、2位に入った。優勝した2015年以来の世界選手権でのメダル獲得を知った瞬間、トゥクタミシェワはキスアンドクライで涙を見せた。


 フリー当日の公式練習で不調だったシェルバコワだが、本番ではロシア女王らしく戦い抜いた。フリーで2本入れる予定だった4回転ジャンプについてはルッツを回避し、冒頭に跳んだフリップで転倒。しかし、最後のジャンプとして跳んだ、トリプルルッツ―トリプルループの難しいコンビネーションを成功させる気迫を見せ、初出場の世界選手権を制した。可憐な容姿に秘めた、強い意志を感じる滑りだった。


 ロシア女子が強いのは、来季シニア転向が可能になる有望なジュニア勢もひしめくロシア国内で揉まれ、鍛えられているからだろう。表彰台は、ロシア・フィギュアスケート連盟の選手が独占することになった。

沢田聡子

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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