CL出場権獲得を目指すフランクフルト 長谷部誠、鎌田大地が果たすべき役割

島崎英純
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今季のブンデスリーガで上位に位置するフランクフルト。攻撃の中心には鎌田大地(写真中央)がいる 【Getty Images】

 2020-2021シーズンのドイツ・ブンデスリーガで意外な好成績を挙げているチームがある。それは万年中位のレッテルを貼られつつあったアイントラハト・フランクフルト。長谷部誠と鎌田大地というふたりの日本人選手が所属するクラブは今季、単調なカウンタースタイルからコレクティブなコンビネーションサッカーへと変貌し、めざましい躍進を遂げている。

 ブンデスリーガでヨーロッパチャンピオンのバイエルン・ミュンヘンをも打ち破ったその力は果たして本物なのか。未だ予断を許さないリーガ上位争いの中で、フランクフルトがクラブ史上初のUEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得圏内の4位以上を確保できるのか。長谷部、鎌田に課せられる役割とともに、フランクフルトが残り8試合となったブンデスリーガで結果を得るための方策を探る。

待ち望んだ躍進の時

 ドイツ・ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルトがクラブ史上初のUEFAチャンピオンズリーグ(以下、CL)出場権獲得に向けて踏み留まっている。

 フランクフルトは1959-60シーズンにCLの前身であるUEFAチャンピオンズカップで準優勝したことがある。また、1979-80シーズンにはUEFAヨーロッパリーグ(以下、EL)の前身であるUEFAカップを制したが、現行のCLでは未だその舞台に立ったことすらない。

 それでも近年のフランクフルトはサポーターの期待に応える結果を残しつつある。ニコ・コヴァチ監督体制下の2017-18シーズンにはクラブ史上5度目のDFBポカール(国内カップ戦)制覇を達成。そして翌2018-19シーズンは現指揮官のアディ・ヒュッター監督の下でEL準決勝に進出し、惜しくもチェルシー(イングランド)にPK戦で敗れた。

 一方で、フランクフルトは国内各クラブとしのぎを削るブンデスリーガで上位進出を果たせず、これまで一度もCLの舞台に立つ権利を得られなかった。躍進した2018-19シーズンは出場権獲得のチャンスもあったが、ELとの二兎を追う戦いで選手たちが疲労困憊となってシーズン終盤に失速して力尽きた。リーガ最終節のバイエルン・ミュンヘン戦で大敗を喫した後、リベロでレギュラーを務め続けた長谷部誠はミュンヘンのアリアンツ・アレーナのミックスゾーンで、「終盤はリーガとELの並行開催で体力的に限界だった」と吐露している。

 翻って、今季のフランクフルトはヨーロッパ各カップ戦への出場を逃したことで国内の戦いに注力できている。バイエルン、RBライプツィヒ、ボルシア・ドルトムントなどの強豪と比べると選手層は心許ないが、DFBポカールも2回戦で敗退した今、フランクフルトはリーガ4位以内死守によるCL出場権確保の目標が明確に定まっている。

 それでもまだまだ悲願成就への道程は長い。ブンデスリーガはインターナショナルウィークを挟んで8試合を残し、フランクフルトはCL出場権を争う当該チームとの対戦も多く残している。特にインターナショナルウィーク明けに迎える4月3日の第27節・ドルトムント戦、続く4月10日の第28節・ヴォルフスブルク戦は命運を分ける重要な連戦となるだろう。第26節終了時点でフランクフルトは12勝11分3敗の勝ち点47で4位。対するドルトムントは13勝4分9敗の勝ち点43で5位、そしてヴォルフスブルクは14勝9分3敗の勝ち点51で3位と、両試合ともに当該チームが対峙(たいじ)する決戦となるからだ。

選手層の不備を解消する術

長谷部に代わってリベロを務めるヒンターエッガー(写真左)は欠かせない戦力 【Getty Images】

 シーズンも半ばを過ぎ、フランクフルトは主力選手の負傷離脱や累積警告による出場停止が相次いでいる。戦力に不安を抱えるチームは特定選手が常時試合出場を強いられ、必然的に心身の負担も高まる。バックアップが充実すれば試合ごと、ポジションごとに軽微なターンオーバーで各選手のコンディションを維持できるが、今のフランクフルトにはそのような余裕がない。
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著者プロフィール

1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。近著に『浦和再生』(講談社刊)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信。ほぼ毎日、浦和レッズ関連の情報やチーム分析、動画、選手コラムなどの原稿を更新中。

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