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ブンデスリーガ特集2020-21
今季躍進のフランクフルトを支えるMF
鎌田大地は異能のプレーメーカー

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 プレーインテンシティの高いドイツ・ブンデスリーガで、異質な能力を発揮する選手がいる。細身な体躯で堂々とピッチに立ち、並み居る相手を軽やかにかわして相手ゴールへ向かう様は、さながら牛若丸のごとく。この戦場ではパワフルでスピーディなプレーこそが生き残る術だと思われていたものが、彼の出現によって改められようとしている。2020-2021シーズンのブンデスリーガで躍進するアイントラハト・フランクフルトのプレーメーカーとして絶大なる影響力を示すのは、日本代表MFの鎌田大地。彼が備え持つパーソナルスキルは確実にチーム力へと還元され、その役割と影響力は絶大なものになりつつある。鎌田の異能とは何か。その実像に迫る。

中盤の創造者

チームのコンダクターとしての存在感を示す今季の鎌田
チームのコンダクターとしての存在感を示す今季の鎌田【Photo by Matthias Hangst/Getty Images】

 2021年3月6日のドイツ・ブンデスリーガ第24節、前節のヴェルダー・ブレーメン戦でまさかの敗戦を喫してリーグ戦での無敗記録が11試合でストップしたアイントラハト・フランクフルトは、ホームのドイチェ・バンク・パークでVfBシュツットガルトに苦戦を強いられていた。重厚かつ安定したスペースケアを実行するオレル・マンガラと遠藤航が居並ぶミドルエリアと、鋭い“槍”をかざして前進を続けるサイラス・ワマンギトゥカやタンギー・クリバリらのサイドアタッカーを擁するシュツットガルトに中盤を制圧されてしまったのだ。ジブリル・ソウとともにダブルボランチを形成した長谷部誠が苦境を脱しようとパスレシーブを試みるも、苛烈なプレッシャーに遭ってボールが落ち着かない。また、マルティン・ヒンターエッガーを中心としたバックラインは相手の前線プレスから逃れるためにロングフィードを多用するも、前線で構えるアンドレ・シルバとルカ・ヨビッチの2トップがポストワークに難儀し、アミン・ユネス、エリック・ドゥルム、フィリップ・コスティッチの攻撃的MFは相手ゴールを向いてボールを受けられなかった。


 今季好調を維持した時期のフランクフルトは昨季までのカウンターサッカーからバリエーション豊かなアタックを有するチームへと変貌を遂げた。単純なフィードやアバウトなアーリークロスだけではゴールはおぼつかない。アタッキングサードでの緻密な攻撃構築、これこそが中位から脱却してチームがベースアップする最良の手段だと誰もが理解していた。そして今季、その変革の担い手となった選手たちがいる。ひとりは中盤のコンダクターとして蘇った長谷部、もうひとりは今季途中にセリエAのナポリから電撃的に加入したユネス、そしてもうひとりは、ブンデスリーガの世界で特異な才能を発揮する日本のプレーメーカー、鎌田大地である。


 しかし、件のシュツットガルト戦は鎌田が不在だった。彼は腰痛でチームに帯同せず、アディ・ヒュッター監督は苦渋の決断でFWのシルバとヨビッチに2トップを組ませる布陣を組んだが、これによってチームは中盤の創造力を失ってしまったのである。

島崎英純

1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。近著に『浦和再生』(講談社刊)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信。ほぼ毎日、浦和レッズ関連の情報やチーム分析、動画、選手コラムなどの原稿を更新中。

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