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ブンデスリーガ特集2020-21
雌伏のときを経て、再び蘇る
ボランチ・長谷部がフランクフルトを牽引

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序盤はベンチへ回るも

今季途中から正式にキャプテンを任されている長谷部
今季途中から正式にキャプテンを任されている長谷部【Getty Images】

 リーグ5連勝、引き分けを挟むと11戦無敗の快進撃を続けたアイントラハト・フランクフルトの屋台骨を支えたのはチームキャプテンのMF長谷部誠。37歳にしてさらなる進化を遂げた感のある彼はしかし、決して順風満帆な今シーズンを送ってきたわけではなかった。


 今の長谷部は20代から30代前半の頃に本職としてきた中盤中央での役割を任されている。そんな彼の現在のプレースタイルを評する前に、まずは、なぜ長谷部がこのポジションに抜擢(ばってき)されているのかをフランクフルトのチーム事情を交えて記したいと思う。

 2020-21シーズンの今季、フランクフルトを率いるアディ・ヒュッター監督は主戦システムを昨シーズンと同様の3-4-2-1に定めた。3バックのリベロを務めるのは同ポジションのエキスパートで、数年来チームに多大な貢献を果たしてきた長谷部だった。一方で、ヒュッター監督はチーム全体の高齢化を懸念し、クラブフロントの思惑も加味したうえで世代交代に着手する。21歳のフランス人DFエヴァン・エンディカや22歳の地元出身FWラフナール・アヘを積極的にメンバー入りさせたのはその表れで、彼らを公式戦の舞台へ送り出してチーム成績を向上させつつ、内外の評価を高めた彼らがステップアップの名目で他クラブへ移籍することで高額な移籍金を得て、それをクラブ経営の安定化へつなげる狙いがあった。


 ただし、これまで出場機会が限られていた若手選手を起用すれば、必然的に既存選手の誰かが押し出されることになる。例えば先述のエンディカの最適ポジションは3バックの左ストッパーだが、このポジションは絶対的なレギュラーであるマルティン・ヒンターエッガーが務めていた。28歳のオーストリア代表DFであるヒンターエッガーはチームの要であり、彼をスタメンから外すのは現実的に考えられない。


 それでもエンディカをスターティングメンバーに据えるならば、ヒンターエッガーを他のポジションにコンバートするしかない。幸いヒンターエッガーは対人能力が抜群に高いうえ、得意の左足を駆使したビルドアップワークにも長けている。そこでヒュッター監督はまず、第8節の強豪RBライプツィヒとの一戦でシステムを4-2-3-1へ変更しつつ、エンディカをバックライン左サイドバックのスタメンに抜擢(ばってき)。そしてセンターバックにはヒンターエッガーと当時キャプテンを務めていたダビド・アブラアムを据え、長谷部をベンチへと回した。そして、このライプツィヒ戦を1-1のドローでしのいだヒュッター監督は翌節以降のゲームでシステムを再び3-4-2-1へ戻しつつ、エンディカには正式に左ストッパーのレギュラーポジションを与え、ヒンターエッガーにはリベロの役割を任せた。これにより、ポジションを失った長谷部はライプツィヒ戦を含めて4試合連続で出場機会を与えられなかった。

島崎英純

1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。近著に『浦和再生』(講談社刊)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信。ほぼ毎日、浦和レッズ関連の情報やチーム分析、動画、選手コラムなどの原稿を更新中。

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