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無良崇人が語る世界選手権の見どころ
女子シングルは「ミスが許されない戦い」

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世界選手権の女子シングルには、日本代表として紀平梨花、坂本花織、宮原知子の3名が出場する
世界選手権の女子シングルには、日本代表として紀平梨花、坂本花織、宮原知子の3名が出場する【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 フィギュアスケートの世界選手権が3月24日から、スウェーデン・ストックホルムで行われる。今季は北京五輪の出場枠をかけた戦いであるとともに、コロナ禍のなか世界の平穏を祈る大会ともなる。2014年四大陸選手権王者の無良崇人さんに、女子シングルのみどころを語ってもらった。(取材日:3月19日)

2014年の四大陸選手権王者である無良崇人さんに、それぞれの選手の見どころについて語ってもらった
2014年の四大陸選手権王者である無良崇人さんに、それぞれの選手の見どころについて語ってもらった【写真:本人提供】

——世界選手権は、今季初となる世界のトップ選手が集結する大会です。まず紀平梨花選手は全日本選手権で4回転サルコウを初成功させた後の大会ということで、期待が高まりますね。


 紀平さんは、全日本選手権で見事な4回転サルコウを決めました。昨年夏からステファン・ランビエールコーチに師事して、ジャンプを跳びあがる瞬間の身体の使い方が上手になったと思いました。特に4回転サルコウは、以前は手で回そうとして、上半身で回転をつける力のほうが強い感じがありました。エッジを氷に引っかけてキュッと上がる感じがうまく出ないときがあって、それで4回転を跳ぼうとすると、回転が足りなかったり転倒したりしていました。それが全日本選手権では、腕よりも脚を使えている感じになっていました。


——4回転だけでなく、トリプルアクセルも質があがりましたか?


 トリプルアクセルも同じように、脚を使えるようになりましたね。1月以降の練習で「トリプルアクセル+3回転トウループ」を決める姿をSNSに上げているのを見ても、調子は上がっている様子です。4回転が跳べるようになったことで、トリプルアクセルは簡単に感じているんじゃないかと思います。トリプルアクセルに高さや流れが出ているので、後ろに3回転トウループを付ける余裕が出てきた、ということでしょう。


——女子で、トリプルアクセルも4回転も両方できる選手というのは少ないですね。


 それだけトリプルアクセルが難しいという事だと思います。4回転のように後ろ向きに助走して跳ぶジャンプは、スピードをうまく使いやすいですし、踏み切る瞬間に回転のつけ方を自分のタイミング通りにできればいい。あとは空中で、どれだけの時間しっかりと身体を伸ばしていられるかで4回転になるかどうかが決まります。でもトリプルアクセルは、まず自分から前に跳び上がらなければいけませんし、さらに跳びあがった身体を自分で受け止めるようにして回転を始めなければなりません。苦手意識を持ちやすいジャンプなんです。そういう中で、紀平さんは3回転の次にトリプルアクセルを身に付けて、そのあと4回転を成功させ、ある意味順当に成長してきている。それはジャッジから見た時にプログラムとしてのバランスが良いですし、技術的にも能力を身に付けていることになります。


——大技が2種類になったことで戦いの幅も広がりますね。


 そうですね。やはり4回転サルコウはエッジ系のジャンプで、試合になったら力が入りやすいジャンプでもあります。でも全日本選手権というあの空気感、緊張感の中で成功させられたので自信になっているはず。練習での精度も上がっている様子ですし、世界選手権は落ちついて決めて欲しいですね。

大技を武器に高得点を狙うロシア勢

日本のライバルとなるアンナ・シェルバコワ(写真左)、アレクサンドラ・トゥルソワ(写真右)らロシア勢にも注目だ
日本のライバルとなるアンナ・シェルバコワ(写真左)、アレクサンドラ・トゥルソワ(写真右)らロシア勢にも注目だ【Getty Images】

——世界のトップを目指すうえでは、ロシア女子の存在が重要になってきます。

野口美恵

元毎日新聞記者、スポーツライター。自らのフィギュアスケート経験と審判資格をもとに、ルールや技術に正確な記事を執筆。日本オリンピック委員会広報部ライターとして、バンクーバー五輪を取材した。「Number」、「AERA」、「World Figure Skating」などに寄稿。最新著書は、“絶対王者”羽生結弦が7年にわたって築き上げてきた究極のメソッドと試行錯誤のプロセスが綴られた『羽生結弦 王者のメソッド』(文藝春秋)。

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