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紀平梨花「今回跳ばないと次へ進めない」
4回転サルコウは一年間の努力の結晶
4回転サルコウを成功させ、全日本選手権連覇を果たした紀平梨花
4回転サルコウを成功させ、全日本選手権連覇を果たした紀平梨花【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

「北京五輪に向かって、4回転を試合で決めたいという思いがすごく強くて。練習でもオフシーズンずっと頑張ってきていたので、トレーニングも、今までのすべての行動が試合のあの一瞬につながってすごくうれしい」(紀平)


 全日本選手権女子フリー、ショートプログラムで首位発進した紀平梨花は、最終滑走者としてリンクに入った。ピアノの音色が美しい『Baby, God Bless You』が流れ始め、ラベンダー色の衣装をまとった紀平は4回転サルコウの助走に入る。


「今回跳ばないと、もう次へ進めない」


 ポニーテールをなびかせて鋭く回転した紀平は、しっかりと回り切って着氷した。


「今回一番決めたいと思っていた4回転サルコウが綺麗に決まったのが、すごくうれしい。このコロナ禍の中でたくさんの方が見に来てくださり、対策をしながら応援してくださる声が届いて、本当にその方たちの笑顔を見たいという思いが強かったので、感謝を伝えられる演技ができたかなとは思います」

試合がない日々、スイスで積んだ鍛錬

紀平梨花「やはり試合がいつあるか分からず、モチベーションの維持が難しかった」
紀平梨花「やはり試合がいつあるか分からず、モチベーションの維持が難しかった」【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 紀平が4回転サルコウに挑んだ唯一の試合はショートで最下位と出遅れた2019年のグランプリファイナルで、その時は転倒している。2018年グランプリファイナルを制し、一気に世界の頂点に駆け上がったシニアデビューシーズン以来、紀平の最大の武器となってきたのはトリプルアクセルだった。二つの大技をプログラムに組み込むことは容易ではなく、総合力も強みとする紀平は、4回転の導入に慎重であり続けてきた。


 しかし、4回転に挑むことが期待された昨季の世界選手権は、コロナ禍により直前で中止が決まる。今季からスイスに拠点を移した紀平はグランプリシリーズ・フランス杯にエントリーしていたが、シーズン初戦となるはずだったフランス杯も中止された。


「やはり試合がいつあるか分からず、あると決まっている試合でも本当にあるか分からないという状況で、モチベーションの維持が難しかった」(紀平)


 昨季の集大成となる世界選手権がなくなり、今季も全日本選手権まで一つも試合に出られない状況下で、しかし紀平は地道に鍛錬を積んできた。


「(スイスのトレーニングは)今まで以上にトレーニング量が多いという感じがしています。オフシーズンの練習中はすごく疲れが残りまくっていて、疲れている時は本当に4回転の練習もしなかったり、曲かけてボロボロだったり、そういうことが多かった。でもトレーニングがないオフの後は、すごく調子がよくなっていたり、4回転が軽く跳べるようになっていたり、結構成長は感じられた4カ月間だったと思います」


「新しい環境でのトレーニングだったので、毎日筋肉痛があったり、(ジャンプが)全然跳べなかったりして不安な時期はすごく多かった。この一年間いろんなことに挑戦しましたし、『これが限界なのかどうか分からない』という気持ちで、ずっとずっと頑張ってきた」(紀平)

沢田聡子

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(シンクロナイズドスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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