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湘南ベルマーレが導入「トークン」とは?
コロナ禍のクラブを救う新たな取り組み
湘南ベルマーレの水谷尚人社長(左)とフィナンシェの田中隆一社長。「ファントークン」導入で、サポーターとの新しいつながりが生まれることが期待される(新型コロナウイルスの感染防止に努め、撮影時のみマスクを外しました)
湘南ベルマーレの水谷尚人社長(左)とフィナンシェの田中隆一社長。「ファントークン」導入で、サポーターとの新しいつながりが生まれることが期待される(新型コロナウイルスの感染防止に努め、撮影時のみマスクを外しました)【スポーツナビ】

 湘南ベルマーレが日本のプロスポーツクラブとして初めてフィナンシェの「ファントークン」を導入した。すでにヨーロッパではバルセロナ、ユベントス、パリ・サンジェルマンがファントークンを導入しており、バルセロナはわずか2時間で約1億4000万円の「ファントークン」を売り上げた。まだ日本のスポーツ界ではなじみがないが、「ファントークン」導入の実態と可能性について、湘南ベルマーレの社長・水谷尚人氏と「ファントークン」を発行するフィナンシェの田中隆一氏に話を聞いた。

バルサがわずか2時間で1億4000万円の売上

――ヨーロッパの一部のクラブではすでに「ファントークン」が導入されています。そもそも日本では「トークン」という言葉自体あまりなじみがありません。


田中 日本では法的な問題もあり、まだあまり浸透していませんが、海外では仮想通貨も含め、ものすごいスピードで広がっています。定義としては仮想通貨を含めて、総称として「トークン」と呼ばれております。「トークン」とひと言で言っても、その使われ方は多種多様です。基本的な原理としては“権利の代替物”としてもらうものです。通常だと、購入した「トークン」を返すことで権利を受け取れます。


 日本では、いわゆる前払い決済手段に法律的な縛りがあります。海外から来たこの「トークン」というやり方が日本にもどんどん浸透していけば、法的な部分にも柔軟性が出てくる可能性があると思っていますが、現時点でのルールに則った方法が必要であり、弊社としては法律の範囲内で慎重に展開しております。そのためにも、僕らとしては認知が広まっていくことを願っています。市場が大きくなればなるほど、その可能性は広がるはずです。


水谷 「ファントークン」はヨーロッパのクラブで取り上げられていて、話題になっていることは知っていました。バルセロナがわずか2時間で1億4000万円を売り上げたというニュースは知っている方も多いかと思います。ただ私は「ファントークン」の実態がどんなものか、まったく知識がありませんでした。田中さんとは“資産計上されない株式”のようなものと話していて、「トークン」を持つことでなんらかの権利を手にするという解釈です。


――資産計上についてもう少し詳しく教えてください。


田中 いわゆる仮想通貨は日本の法律上、暗号資産に該当するので発行した場合は資産計上されますが、ゲームの中のアイテムは資産計上されませんよね。我々の「トークン」はデジタルアイテムとして出していますので、ゲームの中のアイテムと一緒の扱いになります。ですので、我々の「トークン」が資産計上されないのは、ゲームのアイテムと同じ理屈です。


――資産計上されなくても「トークン」の価値は上がったり下がったりしますよね?


田中 はい、弊社のサービスの中で「トークン」の二次流通マーケットがあります。買いたい人が多く現れた場合は、マーケット上で提供する価格が上がります。逆に売りたい人が多くなると、価格が下がっていきます。価格が需給によって変動する仕組みです。いわゆる「ダイナミックプライシング」に近い自動計算の仕組みを用いて売買しています。フィナンシェが使っている仕組みはイスラエルのプロジェクトが元々発明した仕組みを応用して作ったもので、すでに世界中で多くの実績があります。


――フィナンシェの中に取引所のような仕組みがあるということでしょうか?


田中 正確に言うと取引所ではありません。トークンの売買には、取引所と販売所というふたつの定義があります。取引所は買いたいユーザーと売りたいユーザーをマッチングさせる場所。一方で販売所は両替所のようなもので、我々が買い取って売る形です。今回のフィナンシェは販売所の形で、自動計算を用いて価格を決めています。


 通常の取引所ですと、買いたい人が見つかるまで売れないということがあります。そうなると流動的にならないので、弊社が売買することで売ったり買ったりがしやすくなります。ただ、そのときの価格は我々がオファーした価格で売買してもらいます。そういった形で流動性を確保しています。


水谷 サービスの立ち上がり時期は管理してもらった方がありがたいですね。変な売買があっても困るので。市場が大きくなったらまた変わってくるものだと思います。ユーザー間だけの自由な売買にすると、まだ現状の規模では不当な買い占めなどが行いやすく、厄介な問題が起きる可能性もあるので。


田中 販売所としてしっかりコントロールできるようにしなければ、価値が成立しなくなったり、無法地帯になってマーケットが荒れてしまったりする可能性もあります。


水谷 例えば、今のところ500万円分ほど販売されていますが、これをひとりの人間が買い占めて、自分の好き勝手にやろうという人が出てきたら困ります。そういったことが起こらないように管理してもらっています。

特典はスペシャルデーのイベント参加

「ファントークン」を購入してもらえるよう、クラブも価値を生み出し続けなければならない、と力を込める水谷社長
「ファントークン」を購入してもらえるよう、クラブも価値を生み出し続けなければならない、と力を込める水谷社長【スポーツナビ】

――株で言う仕手戦(不当な売買を仕組んで値段を釣り上げる行為)のようなことは起こらないのでしょうか?


田中 100パーセント起こらないというわけではないですが、起こりにくい仕組みになっています。例えば、ある人が大量に買おうとした場合、その数を反映した形で価格をオファーします。「トークン」を100買いたい人と、1万買いたい人が出てきた場合、1万の方は高い金額でオファーします。売るときも逆で、大量に売ろうとするとオファーの価格が安くなる仕組みで、一気に大量に売買することに意味がない仕組みです。


――「トークン」を買った人は、自分の「トークン」の価値が上がってほしいと思いますよね。「トークン」の価値が上がるためにはどんなことが必要なのでしょうか?


水谷 例えばうちの場合、スペシャルデー(※)のイベントに参加できる権利があるのですが、そのイベントが本当にみんなの参加したいものになれば、「トークン」の価値が上がるということですよね。つまり、クラブとしてどこまで魅力的なものを作れるか。今回ベルマーレでやっているのは、冠協賛のスペシャルデーをサポーターの方々に買っていただく形です。(※編注:スペシャルデーとは、湘南ベルマーレのホームゲームで行われる試合に協賛してもらい、パートナー企業の社名を冠した試合。スタジアム内外にてさまざまなプロモーション、ホスピタリティをクラブと実施する)


――どんなスペシャルデーになるのでしょうか?


水谷 今まさにどんなスペシャルデーにするか、サポーターの方々と一緒に決めているところですね。


田中 フィナンシェにコミュニティ機能があるので、トークン購入者とクラブの方々でいろいろなアイディアを出し合っています。最終的な決定は「トークン」の保有者で投票する形で決められます。

池田タツ

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