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Jリーグ月間表彰
オルンガ、JリーグMVP&得点王は通過点
“浪速の黒豹”エムボマを超えてゆけ!
柏レイソルFWオルンガがアフリカ出身選手初のJリーグ最優秀選手賞を受賞。得点王とのダブル受賞に輝いた
柏レイソルFWオルンガがアフリカ出身選手初のJリーグ最優秀選手賞を受賞。得点王とのダブル受賞に輝いた【(C)J.LEAGUE】

 新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)され、4カ月もの中断を余儀なくされたJリーグ。2月22日の開幕・北海道コンサドーレ札幌戦でいきなり2ゴールをマークした柏レイソルFWオルンガにとっても予期せぬ休止だったはずだ。だが、彼にそんなアクシデントは関係なかった。7月4日の再開後も左右両足やヘディングと多彩な形で得点を奪い続け、終わってみれば28ゴール。2位のエヴェラウド(鹿島)に10点の大差をつけて得点王に輝くと同時にベストイレブン、最優秀選手賞(MVP)にも輝いた。


 アフリカ出身選手として3タイトル同時受賞というのは史上初。かつて“浪速の黒豹”と称されたパトリック・エムボマ(元ガンバ大阪、東京ヴェルディ、ヴィッセル神戸など)にも果たせなかった快挙である。「アフリカ出身選手はJリーグでもっと活躍できると思うし、そういう選手が加入することでリーグのレベルも上がっていくと思います」と目を輝かせたオルンガ。ケニア技術大学で地理空間工学を学び、2013年に工学士の資格を取得した「ケニアのエンジニア」に大輪を花を咲かせた今シーズンを総括してもらった。(取材日:12月22日)

文化を理解し、良好な関係を築こうと努力

来日初年度は苦しんだが、Jリーグのスタイルに順応した結果、2シーズン合計55ゴール(J1・J2)と量産した
来日初年度は苦しんだが、Jリーグのスタイルに順応した結果、2シーズン合計55ゴール(J1・J2)と量産した【(C)KASHIWA REYSOL】

――まずは受賞の喜びを。


 JリーグMVPに選ばれたのは、本当に素晴らしいこと。今シーズンは新型コロナウイルスによる中断をはじめ数々の困難がありましたが、Jリーグの方々、医療従事者のおかげでリーグ戦を開催することができました。私としては、特に柏のチームメート、すべての関係者に感謝したいですね。彼らとともに偉業を達成できたと思います。


――来日3年目、今シーズンはJ1で28ゴールを挙げました。


 18年夏に初来日したとき、柏は困難な状況に置かれていました。J2降格回避のためには勝たなければいけなかったのに、自分は3点しか取れなかった。本当にガッカリしたし、フラストレーションのたまるシーズンでした。日本の夏は非常に蒸し暑く、生活面や文化に慣れるまでに時間かかりました。それでも柏のサポーターは私に大きな信頼を寄せてくれた。これまで以上に責任感を持ってプレーしなければいけない、と思って19年に挑み、J2で27点を取ることができましたし、今シーズンにもつながりました。日本文化をしっかり理解し、チームメートと良好な関係を築こうと努力したことが成功の要因だと考えています。

Jリーグへの順応、ゴールの秘訣など、オルンガは自身について的確な分析で答えてくれた
Jリーグへの順応、ゴールの秘訣など、オルンガは自身について的確な分析で答えてくれた【スポーツナビ】

――来日当初はJリーグのどんな部分に難しさを感じたのですか?


 私は来日前にケニアや中国、スペインなどでプレーしましたが、各国にはそれぞれのスタイルがあります。例えば、スペインの場合はポゼッション重視のサッカーで、テクニックの高い選手がズラリとそろっている。サッカーのテンポ自体はゆっくりなんですが、技術でそれをカバーし、高いレベルを保っている印象です。それに比べてJリーグはテンポが非常に速い。試合の展開を読むことがすごく大事になってきます。日本人選手もスペイン同様にテクニックは高いですが、ハードワークもすさまじい。そこに順応することは自分にとっての大きなチャレンジでした。


――適応が進んだからこそ、19年、20年にゴールを量産できたのですね。


 そうですね。19年はスタートからみんなと一緒に取り組めましたし、自分の置かれた立場を理解して、日本のサッカースタイル、日本人選手が何を求めているかを日々考えながらプレーしました。


 ネルシーニョ監督が“ヴィトーリア”(勝利)にこだわる姿勢を強く押し出し、そのメンタリティーを選手たちに植え付けたことも大きかったと思います。彼は練習試合でも公式戦でもリーグ戦、カップ戦に関係なく貪欲に勝ちを追い求めています。規律を重んじる人でもあり、ピッチ内外での選手の言動を見ながら判断している。それがチームの成功につながっていると感じます。私自身もゴールにつながる方法や動きなど、いろんなことを教えてもらい、成長できましたね。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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