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J1月間MVP G大阪・井手口陽介は極めるか 最強「ボックス・トゥ・ボックス」へ

飯尾篤史

10月度のJ1月間MVPに選出されたG大阪・井手口陽介。7試合にフル出場して快進撃の原動力となった 【(C)J.LEAGUE】

 10月度「2020明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間MVP(J1)」に選出されたのは、7試合にフル出場し、1ゴールを決めたガンバ大阪のMF井手口陽介だ。その間、チームは6勝1分けと無敗を誇り、2位に浮上。井手口はピッチを縦横無尽に駆け回り、快進撃の原動力となった。ゴールやアシストといった数字には表れないが、攻守への貢献、その活躍はまさに月間MVPにふさわしい。その井手口に、好調を維持する自身のパフォーマンスはもちろん、若手の台頭、遠藤保仁の移籍、そして海外移籍で学んだことなどを聞いた。

チームの狙いがハマって戦術を体現できた

――10月度の「2020明治安田生命JリーグKONAMI月間MVP」に選ばれました。縁の下の力持ちであるボランチがこうした賞に輝くのは、珍しいことだと思います。

 たくさん点を取ったわけではないのに評価してもらえたのは、素直にすごくうれしいですね。ただ、自分のパフォーマンスだけじゃなく、10月はチームの調子もすごく良くて(6勝1分け)、チームの狙いがハマったなかで、僕もその戦術を体現できた。それが大きかったと思います。

――現在の井手口選手は、プレーに連続性があるし、ゲーム終盤を迎えても軽やかに走っていて疲れ知らずというか、コンディションがすごく良いように見えます。

 今年は連戦が多いですけど、僕としては週1試合より、2、3試合あった方がコンディションは作りやすいと感じていて。連戦中のチームトレーニングは負荷の低いものが多いんですけど、僕はそれプラスアルファで練習することもありますからね。

――チーム戦術との兼ね合いに関して言うと、今季の井手口選手は単なるハードワーカーにとどまらず、自陣のペナルティーエリアから敵陣のペナルティーエリアまで本当によく走っていると思います。どんなことを心掛けてプレーしていますか?

 チームとして前からボールを奪いに行く、ハイプレスという狙いがあるので、まずはどんどん前にアプローチして、奪ったら出て行こうと。ただ、自分の特徴は守備なので、前だけでなく、自陣のボックスの中でしっかり守備をすることも意識しています。相手によってはサイドバックの裏に抜けて来たりして、センターバックが捕まえにくい選手もいるので、そういう嫌なところをカバーしたりとかも。だから、さっき言ってくれたように、「ボックス・トゥ・ボックス」で仕事をするということは、毎年そうですけど、今年は特に意識してやっています。

山本と組むダブルボランチの関係性

山本悠樹と組むダブルボランチの安定感も好調の要因のひとつ。井手口も手応えを感じている 【スポーツナビ】

――ガンバ大阪は9月19日の17節・北海道コンサドーレ札幌戦以来、10勝2分けの12試合負けなしです。好調の要因はなんだと思いますか?

 多少押し込まれていても、みんな、自信を持って守っているというか。攻められていてもやられる気がしないし、FWがすごく献身的に守備で頑張ってくれるので、後ろの選手としては狙いが定めやすい。守備は全員が頑張っていますけど、特に前線の選手たちが頑張ってくれているのが、好調の大きな要因かなと思います。

――G大阪ではインサイドハーフ、アンカー、そして、ダブルボランチの一角でプレーしていますが、自分の良さを最も出しやすい、しっくりくると感じているのはどのポジションですか?

 ダブルボランチですかね。

――なぜですか?

 守備と攻撃の両方に絡みたいタイプなんですけど、ダブルボランチだと両方できるし、多少前に行き過ぎてしまっても、相方がカバーしてくれるから気にせずプレーできる。そこがやりやすいですね。

――そういう意味では、井手口選手と山本悠樹選手のダブルボランチが安定していることも、好調の要因のひとつだと思います。山本選手との関係性で意識していることは?

 守備と攻撃というふうに役割を分けるんじゃなくて、バランスを見ながらお互いが両方やっています。悠樹は攻撃の組み立てとか、裏への長短のパスとか、良いものを持っていますけど、守備もしっかりできる。僕も前にも行きたいし、守備もやりたいので、お互いにどこにいるかを意識して、カバーし合いながらプレーできていると思いますね。

――バランスについては、かなりコミュニケーションを取っているんですか?

 いや、あまり話し合ってはいなくて、プレーしながらすり合わせていった感じです。悠樹も試合を重ねるごとに自信をつけて、今は堂々とやっているので。吸収力も高いですからね。

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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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