連載:サッカーの移籍報道、各国主要メディアの「信頼度」をジャッジ

ネット上にあふれるサッカーの移籍情報 信頼度「Aランク以上」の欧州メディアは

YOJI-GEN

バルセロナからの退団が濃厚と言われるメッシ。新天地を予想する記事がネット上にもあふれかえっているが、引用される海外発の情報をどこまで信じるべきか 【Getty Images】

 欧州5カ国の主要メディアが発信するサッカーの移籍情報の信ぴょう性を、各国の事情通たちがそれぞれ評価した当連載。最終回では、その信頼度が「S」もしくは「A」にランク付けされる伝統的メディア(スポーツ紙・誌、一般紙、テレビ、ラジオ)を一覧にまとめてみた。日本の報道機関を介して発信される、玉石混交の情報を取捨選択する際の参考としていただきたい。

情報をふるいにかける判断材料として

 何を信じ、何を疑えばいいのか──。

 ネット上にあふれる玉石混交の移籍情報を取捨選択する作業は、決して簡単ではない。

「移籍マーケットにまつわるニュースなど、そもそも飛ばし記事やあおり記事がほとんど。それを理解したうえで、ただ単純に楽しめばいい」

 そうしたスタンスのファンもいるだろうが、とはいえ真偽を見極めるための何かしらの「基準」がなければ、情報の洪水に押し流されてしまいかねない。

 日本のメディア、とりわけスピードとインパクトで勝負する新聞系も含めたウェブメディアは、海外の報道機関が発信したニュースを、「イタリアの○○○紙によると〜」などと、二次情報として報じるパターンが多い。

 その際に、どこまでニュースソースの信ぴょう性を吟味しているのかは、読者のあずかり知らないところだろう。ときには聞いたこともないような海外メディアが報じたニュースを、ただ横流ししたかのような翻訳記事も、残念ながら目にする。

 だとすれば、情報をふるいにかけるための1つの判断材料として、海外主要メディアの「信頼度」を知っておいて損はないはずだ。

 今回の連載は、そうした観点からスタートしたわけだが、この最終回ではイタリア、スペイン、イングランド、ドイツ、フランスの主要媒体から、いわゆる伝統的なメディア(スポーツ紙・誌、一般紙、テレビ、ラジオ)をピックアップ。各国の事情通が評価した信ぴょう性をもとに、「信頼すべきヨーロッパの報道機関」をまとめてみた。

 移籍情報を受け取る際の参考にしていただければと思う。

イタリアとスペインにSランクは1つも…

イタリアとスペインの主要報道機関で「5つ星」は1つもなし。SNS全盛の時代を映し出すように、イタリアでは移籍専門記者の個人サイトやツイッターに最高評価が 【Getty Images】

●信頼度ランクS(信ぴょう性の★の数が4.5以上のメディア)※ウェブも含む。
■BBC放送(イングランド/放送局)
■スカイスポーツ(イングランド/放送局)
■キッカー(ドイツ/サッカー専門誌)
■レキップ(フランス/スポーツ紙)
■フランス・フットボール(フランス/サッカー専門誌)
 Sランクの信頼性を誇るのは、やはり世界中の誰もが知る超メジャーなメディアだ。

 英国営放送局の『BBC』やバロンドールを主宰する『フランス・フットボール』といった権威あるメディアは、倫理的な側面からも、軽々しく飛ばし記事など打たない。

 裏を取らずに誤った移籍情報を流すようなことがあれば、テレビ局や新聞社全体の信用が失墜してしまいかねないからだ。ドイツのサッカー専門誌『キッカー』も、正式発表があるまで移籍ニュースは発信しないという。
 
 なお今回、イタリアとスペインの主要報道機関で「5つ星」を獲得したメディアは1つもなかった。

 もちろん、評価者の基準が厳しかったこともあるだろうが、一方で「移籍マーケットのうわさを楽しみ、ファンに夢を与える文化」が根付いているとも言えるのかもしれない。

 とりわけ両国のスポーツ紙は、「読者(=ファン)が喜びそうなニュース」を好んで報じる傾向が強いようだ。憶測や願望に引っ張られたうわさレベルの移籍報道が多いから、どうしても信ぴょう性は低下してしまうのだ。

 いまや移籍に関する報道は、SNSなしでは成り立たない時代になった。イタリアで最も信頼性が高いのも、伝統的なメディアではなく、ジャンルカ・ディ・マルツィオ氏を筆頭とする移籍専門記者が、個人で運営する情報サイトやツイッターである。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント