連載:サッカーの移籍報道、各国主要メディアの「信頼度」をジャッジ

ネット上にあふれるサッカーの移籍情報 信頼度「Aランク以上」の欧州メディアは

YOJI-GEN

受け取る側にも求められる冷静な判断力

いわゆる伝統的なメディアではないが、近年では移籍専門サイトも確固たる地位を築く。とりわけ『トランスファーマルクト』は日本のメディアも頻繁に活用する 【スポーツナビ】

●信頼度ランクA(信ぴょう性の★の数が4のメディア)※ウェブも含む。
■ガゼッタ・デッロ・スポルト(イタリア/スポーツ紙)
■コリエーレ・デッラ・セーラ(イタリア/一般紙)
■ラ・レプブリカ(イタリア/一般紙)
■ラ・スタンパ(イタリア/一般紙)
■RAI(イタリア/テレビ局)
■メディアセット(イタリア/テレビ局)
■カデナ・セール(スペイン/ラジオ局)
■カデナ・コペ(スペイン/ラジオ局)
■マルカ(スペイン/スポーツ紙)
■エル・パイス(スペイン/一般紙)
■タイムズ(イングランド/高級紙)
■デイリー・テレグラフ(イングランド/高級紙)
■ビルト(ドイツ/大衆紙)
■シュポルトビルト(ドイツ/スポーツ誌)
■スカイ(ドイツ/テレビ局)
■RMC(フランス/ラジオ局)
 イタリアの3大日刊紙やスペイン最大の一般紙『エル・パイス』などには、スポーツ部門にも国内屈指の精鋭記者がそろう。スポーツ紙と比べてスクープは少ない(そもそもスクープで勝負する気がない)が、その分、情報の信頼性は高い。

 それは世界最古の日刊新聞『タイムズ』も同様で、そのきめの細かい取材には定評がある。『デイリー・テレグラフ』とともに、これら英高級紙が移籍の可能性を報じた時は、何らかの確かな情報をつかんでいると考えていいだろう。

 また、大衆紙としてくくられるドイツの『ビルト』にしても、最近では飛ばし記事がほぼ皆無と言っていい。

 イタリアのスポーツ紙では、ピンクの紙面で知られる『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が、移籍報道に関しては最も慎重な姿勢。スペインの4大スポーツ紙の中では、レアル・マドリー関連情報で頭ひとつ抜けた『マルカ』が、唯一「4つ星」の評価を得ている。

 また、スペインで軽視できないのがラジオだ。特に『カデナ・セール』と『カデナ・コペ』では、各支局の記者たちがクラブに深く入り込んでつかんだ確度の高い情報を番組内で提供し、人気を博している。
 歴史的にラジオが強いのはフランスも同じで、特にサッカー界の重鎮を番組に起用する『RMC』は信頼できる移籍情報が少なくない。

 さらに一覧では触れなかったが、スペインやフランス、ドイツの地方紙も、地域限定とはいえ「4つ星」の信ぴょう性を誇るメディアだ。各クラブへの密着度が高く、たとえばマルセイユに強いフランスの『ラ・プロヴァンス』、ドルトムントに拠点を置く『ルールナハリヒテン』などが発信するニュースは、無視できない情報源となっている。

 一方、伝統的なメディアではないものの、イタリアの『カルチョメルカート.com』やドイツの『トランスファーマルクト(トランスファーマーケット)』といった移籍専門サイトも、近年は確固たる地位を築いている。とりわけ、日本のメディアも頻繁に活用する『トランスファーマルクト』は、これでもかというほどデータが充実しており、移籍情報の確度も高い。

 今回、「Sランク」と「Aランク」に分類したヨーロッパの21のメディア、そして地域密着型の地方紙、さらには『トランスファーマルクト』のような移籍専門サイトをソースとした情報は、おおむね信頼度が高いと判断していいだろう。

 もっとも、英国のタブロイド紙『サン』のように飛ばし記事が大半と言われるメディアも、ときに大スクープを放つことがあるため、注意が必要だ。
 信ぴょう性を取るか、スピードとインパクトを取るか。海外報道機関の発信したニュースを二次情報として扱う日本のメディアの見識が問われるところだが、同時に受け取る側にも、情報に踊らされない冷静な判断力が求められている。

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