リヴァプール優勝の立役者 歴史に名を刻んだ偉大な主将ヘンダーソン

エルゴラッソ

優勝セレモニーで、トロフィーを最初に掲げたジョーダン・ヘンダーソン(写真左) 【Getty Images】

 2011年にサンダーランドからやってきた不器用に見える青年が、こんなにもたくましく成長を遂げ、主将として優勝トロフィーを掲げる日が来ることになると誰が予想できただろうか。

 2020年7月22日、リヴァプールは本拠地アンフィールドで迎えた第37節チェルシー戦に5-3で勝利を収めた。その試合後に行われた優勝セレモニーで、トロフィーを最初に掲げたのはリヴァプールの主将を務めるジョーダン・ヘンダーソンだ。彼の活躍なくして今季のリヴァプールの優勝を語ることは不可能だろう。

シーズンを通して中盤でチームを統制

今シーズンのヘンダーソンはシーズンを通して中盤でチームを統制し、獅子奮迅の活躍を見せた 【Getty Images】

 今シーズンのリヴァプールは、昨シーズンのCL優勝の勢い冷めやらぬままシーズン序盤から快進撃を見せ、終わってみれば圧倒的な強さで30年ぶりのリーグ優勝を飾ることとなった。しかし、この強さの裏には確かな理由がある。

 勝ち点96やリーグ記録に並ぶ18連勝など、数字だけを見ると一見他を圧倒している印象を受けるが、この数字は決して簡単に積み重ねたものではない。事実、今シーズン勝利をあげた32試合のうち、1点差での勝利が14試合もある。たとえ厳しい試合であっても、一丸となって勝利をつかみ取ってきた結果が、チームの強さとしてこうした数字に表れているのだ。そして、そのチームをまとめる重要な役割を担ってきたのが主将のヘンダーソンにほかならない。

 今シーズンのヘンダーソンは、シーズンを通して中盤でチームを統制し、けがでファビーニョが不在時はアンカーとして、復帰後は主にインサイドハーフとして獅子奮迅(ししふんじん)の活躍を見せた。中でも特に強豪相手との試合での活躍が印象的だった。

 第10節、ホームで行われたトテナム戦では前半いきなり先制を許す苦しい展開となったが、後半に同点ゴールを決めて反撃の狼煙(のろし)をあげ、チームを逆転勝利へと導いた。後半戦に入った第24節のアウェーでの難敵ウルヴァーハンプトン戦では先制ゴールを決めると、同点で迎えた試合終了間際にフィルミーノの決勝ゴールをお膳立てし、1ゴール1アシストの活躍でMOMに選出された。

 このような結果に直結する働き以外でも、中盤でのボール奪取、正確なロングフィード、そして何より試合中常にチームを鼓舞し続ける精神的支柱として、卓越したパフォーマンスを披露した。欧州最強のトリデンテとも評され、チームの得点の大半を生み出す同僚FWのモハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノといった選手と比べ、メディアの一面を飾るようなプレーの派手さはないかもしれない。ところが、いるといないでは全く別のチームになってしまうほど、今季のヘンダーソンがチームへ与える影響は極めて大きかった。

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著者プロフィール

サッカー新聞エル・ゴラッソ。通称エルゴラ。国内外の最新サッカーニュースを日本代表の番記者、J1・J2全40クラブの番記者、海外在住記者が、独自の現地取材をもとに、いち早くお届けします。

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