マンCへの処分撤回がもたらすもの CASの判決でFFPの未来はどうなる?

エルゴラッソ

FFPの違反に対する嫌疑について、CASがこの件について判決を発表しEFA主催大会の出場禁止は取り消しになった。集まる多くの意見にグアルディオラも頭を悩ませる? 【写真:ロイター/アフロ】

 マンチェスター・シティが全世界の注目の的になっている。名将ペップ・グアルディオラが魅せる美しいサッカーが理由ではない。ピッチ外の事件が原因になっているのだ。それは、UEFAが規定し財政健全化の目的で導入している規則ファイナンシャル・フェア・プレー、通称FFPの違反に対する嫌疑についてだ。

 ことの発端は今年の2月、UEFAはシティが財務諸表を改ざんしたとして、来季から2シーズンのUEFA主催大会の出場禁止と、3000万ユーロ(約36億円)の罰金を課すことを発表したのだ。しかしこれに対してシティは即座に「失望しているが、驚きはない」と声明で発表。同時に「クラブは迅速に公平な判断を求める」として、スポーツ仲裁裁判所(通称CAS)への異議申し立ての手続きを開始した。

 そして7月に入り、CASがこの件について判決を発表した。内容を簡単にまとめると、シティが財務諸表を改ざんしたことを証明する証拠が十分ではない、または時効の事案であるとしたのだ。結果、UEFA主催大会の出場禁止は取り消しになり、罰金も1000万ユーロ(約12億円)への減額としている。ただしこの罰金はあくまで、シティがこの件について調査に協力的ではなかった件に対するものである。要するにシティのFFP違反は立証されなかったのだ。

多くの識者が反応

 この結果に対して多くの「FFPは死んだ」という声が方々から上がっている。

 例えばイギリスの高級紙『ガーディアン』のチーフスポ―ツライターのバーニー・ロネイ氏や、有名番記者が集う新進気鋭の米メディア『ジ・アスレチック』のリアム・トゥミー氏など、さまざまな識者、ファンなどが次々に「安らかに眠れFFP」とFFPが機能していないことを揶揄(やゆ)するツイートをしている。
 あるいは英メディア『BBC』を始め大手メディアで記事を執筆するジャーナリストのダニエル・ストレイは「FFPは死んだ。安らかに眠れ。君のことは忘れないよ。信じられない。君のところまで走り出したいくらいだ。本当に信じられない」とややふざけながらも、このように直接的にFFPの崩壊を指摘する識者なども大勢いた。

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著者プロフィール

サッカー新聞エル・ゴラッソ。通称エルゴラ。国内外の最新サッカーニュースを日本代表の番記者、J1・J2全40クラブの番記者、海外在住記者が、独自の現地取材をもとに、いち早くお届けします。

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