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新たな形で戻ってきたブンデスリーガ
ドイツ人サポーターが抱くそれぞれの思い

半数以上が批判的だったリーグ再開

レヴィアダービー(ルールダービー)初となった無観客試合はドルトムントが大勝
レヴィアダービー(ルールダービー)初となった無観客試合はドルトムントが大勝【Getty Images】

 ドイツ・ブンデスリーガはヨーロッパ5大リーグの中で最も早くリーグ再開を決断した。ドイツサッカーリーグ機構(DFL)は新型コロナウイルス流行による幾多の困難と課題、そして未来への不安と直面しながら、それでも『サッカーのある日常』へとかじを切った。ただし、ドイツ国内では今でもいくつかの行動制限が課せられ、これまでの日常生活に変化が求められる情勢下にあるため、今回のブンデスリーガ再始動には賛否両論がある。


 ドイツ公共放送連盟のARDが5月12日から13日の間に実施した電話アンケートでは、有効回答数1074件に対して半数以上の56パーセントがブンデスリーガ再開に批判的な考えがあるとのデータが示された。これはドイツ国民の56パーセントが現在でも新型コロナウイルス感染を防止する制限措置の維持を支持する数字とも合致する。


 サッカーはドイツの国民的スポーツとして認知されるが、もちろん国民全てがこのスポーツへの造詣が深いわけではない。サッカーに関心を示す比率はやはり男性が多く、むしろこの競技が生み出す特異性を冷静に捉える人もいる。


 夫、そして大学生と高校生の子どもとフランクフルト郊外で暮らす主婦のSさんは、女性目線でサッカーの印象をこう語る。


「サッカーの試合がある日は街の中心部がサポーターであふれかえっていて、電車やトラムの車内でサポーターがお祭り騒ぎをしているのよね(笑)。彼らはそうやって羽目を外して日常のストレスを発散しているわけだから、それも良いとは思う。ただ、ショッピングや買い物のために街へ行く私のような主婦は事前にその“お祭り”を察知して、彼らが集まる時間を避けて電車に乗ったりしているわね(笑)」


 ドイツでは今回の新型コロナウイルス流行による行動制限、いわゆるロックダウンが実施されたが、これによって普段よりも自宅で過ごす時間が長くなった影響でドメスティックバイオレンスの発生件数が増加した報告もある。これまで享受していた娯楽を失ったことで人々がストレスをためる弊害をブンデスリーガの再開によって払拭(ふっしょく)できれば幸いだが、事はそれほど単純ではないだろう。

ハンディを承知の上で踏み切った存続の道

厳格な規制の下で実施された無観客試合。メディアは1試合10人に限定され、スタンドでの取材のみが許された
厳格な規制の下で実施された無観客試合。メディアは1試合10人に限定され、スタンドでの取材のみが許された【Getty Images】

 今回、ドイツ・ブンデスリーガは無観客での試合開催を選択した。これによってファン、サポーターはスタジアムで試合を観戦できず、中断前のように中心街やスタジアム周辺にサポーターが集結することはなかった。DFLは今回、チケット収入が見込めないハンディを承知の上で、テレビ放映権料などの大型収入によってリーグと各クラブが存続する道を探り、厳格な運営体制を敷いて『ガイスターシュピール(ドイツ語で幽霊試合。無観客試合の意)』の実施に踏み切った経緯がある。


 ただし、このDFLの決断についてもファン、サポーターの間では賛否がある。無理もない。愛するクラブへ情熱をささげ続けてきた人々からすれば、クラブ、チームの傍らで自らがサポートできないもどかしさは断腸の思いであるだろうからだ。


 生粋のドイツ人サッカーファン・サポーターは今回のブンデスリーガ再開にどのような思いを抱いているのだろうか。アイントラハト・フランクフルト(都市名との混同を避けるため、以下、アイントラハトと表記)の本拠地であるフランクフルトの住民で、アイントラハトのシーズンチケットを所持して毎試合ホームの『コメルツバンク・アレーナ』で観戦していたヴィルヘルム・ラインハルトさんと、オンラインミーティングソフト『Zoom』をつなぎながら再開初戦のゲームをともに観戦し、彼の率直な意見に耳を傾けてみた。

島崎英純

1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。近著に『浦和再生』(講談社刊)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信。ほぼ毎日、浦和レッズ関連の情報やチーム分析、動画、選手コラムなどの原稿を更新中。

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