日本ラグビー協会・森会長が振り返るW杯 大会を通して感じた「感謝」の気持ち
日本ラグビーフットボール協会の森重隆会長が講演を行った 【スポーツナビ】
最終回である今回は「日本ラグビー界の未来」というテーマのもと、日本ラグビーフットボール協会の森重隆会長を招き、ラグビージャーナリスト・村上晃一さんの進行で講演が行われた。
この日はまず、講演当日に発表された「2019ユーキャン新語・流行語大賞」に話が及んだ。ラグビー日本代表のスローガンである「ONE TEAM(ワンチーム)」が年間大賞を受賞。ラグビー関連ではほかに「ジャッカル」、「笑わない男」、「4年に一度じゃない。一生に一度だ」、「にわかファン」の計5つがノミネートされるなど、日本に大きなインパクトを与えた。
「本来なら監督のジェイミー(・ジョセフ)かキャプテンのリーチ・マイケルが行くべきだったが、2人ともニュージーランドにいまして。代わりに私が受け取ってきました」と森氏が受賞式への登壇の経緯を説明。受賞スピーチを振り返り「さっき自分が映っているニュースを見たら、また目がうるうるしてきた。それくらいラグビーが浸透したのがうれしかった」
勝利を確信した福岡堅樹のトライ
福岡堅樹がスコットランド戦で2トライを決める活躍 【Getty Images】
「もちろん、いい選手になると思っていましたよ。高校1年生の時からレギュラーだったんですから。ただ、ここまでいい選手になると思っていませんでした」
日本代表では松島幸太朗の大会通算5トライに次ぐ4トライをマーク。スコットランド戦では勝利を決定づける約50メートルの独走トライ。試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチにも選ばれた。
「アイルランド戦は途中で出てきて、インターセプトして最後に捕まったじゃないですか。あの時にまだ大会前の怪我の影響もあり、本調子じゃないと思ったんですよね。でもスコットランド戦では同じようなシーンでトライを決めてくれた。あの時に絶対勝てると確信した瞬間でした。ただ、最後は追いつかれそうになったのでヒヤヒヤしましたけどね(笑)」
続いて話題は準々決勝・南アフリカ戦へと移っていく。日本代表は前半こそ2点ビハインドで折り返したものの、後半は地力の差を見せつけられて3-26で敗れた。
「姫野はアイルランド戦やスコットランド戦の時は必ず1mくらい進んでいたんですよ。でも、このときは一歩も出なかった。これが南アフリカのフィジカルの強さですよ。」
スタンドと選手が一体となってW杯を盛り上げた
スタンドに向かってお辞儀をする南アフリカ代表 【Getty Images】
「各国の選手が試合後、スタンドに向かってお辞儀をしていたじゃないですか。ものすごくぎこちないんですよね。いまさっき教えてもらったような。ただ、それでもやろうとする気持ちがあったと思うんですよね。感謝の気持ちをどうにかして伝えようと。それが日本人の心をくすぐったのだと思います」
最後に森氏は「みなさん、死んでしまったら駄目ですよ。20年以内にラグビーW杯を再招致します」と抱負を語り、講演を締めくくった。