サウジCはフォーエバーヤングら日本勢が中心も、ロマンチックウォリアーのダート適性次第
実績においてリードするのは日本の4頭と見て間違いない。いずれも前走の東京大賞典で直接対決し、1着から4着まで独占した現状のベストというべきメンバーがそろった。フォーエバーヤングは昨年のサウジダービー勝ち、ウシュバテソーロも前記の通りキングアブドゥルアジーズ競馬場で結果を出しており、日本勢の2勝目へ期待は大きい。
東京大賞典では1着のフォーエバーヤングと4着のウシュバテソーロがアメリカ帰り、3着のラムジェットは挫石でチャンピオンズカップを回避後の約3か月ぶり。2着のウィルソンテソーロだけが順調な臨戦だった。そうした中で勝ち切ったフォーエバーヤングは、明け4歳の伸び盛りにして豊富な海外遠征の経験値もあり、実績通りに優勝候補の筆頭と考えるべきだろう。課題だったゲートが安定し、好位で流れに乗れるようになった現状、勝利は外国勢を含む各馬のマークを跳ね返せるかに懸かっている。
東京大賞典のウィルソンテソーロとラムジェットはフォーエバーヤングに約2馬身差をつけられたが、ウィルソンテソーロは当時の斤量1kg負担が2か月で同斤になる。また、ラムジェットはジャパンダートクラシックでの約8馬身から差を詰めた。初の海外遠征は課題だが、同じ4歳で発展途上なら勝負づけを済まされたとも言えないだろう。両雄に逆転の材料はある。ウシュバテソーロはかつてのような自ら動いてねじ伏せるだけの脚力がなくなってきただけに、昨年と同様に展開の助けが欲しい。
日本勢にとって最大の脅威となるのは香港のロマンチックウォリアー。今年の見どころという点においては、この馬が初ダートで実力を発揮できるかに尽きる。サウジCは過去5回で芝のG1ホースが2勝しているが、それが不在だった昨年を除けば実質的に勝率5割。第1回の2着(3位入線から繰り上がり)もドバイターフ勝ちなどがあるベンバトルで、芝のG1ホースが参戦する年は上位争いに絡む確率が高いと考えられる。
これまで日本調教馬に先着を許したことがないロマンチックウォリアーの実力は言わずもがな。すでに日本と豪州遠征を成功させた陣営が、今回はドバイに滞在しながらダート用の蹄鉄を手配しての挑戦と用意も周到で、芝とそん色ないパフォーマンスを発揮できるようなら視界が大きく広がる。
ペースを握るのはAMCを逃げ切ったウォークオブスターズとなるか。昨年のAMCでは2番手追走から5着に敗れたが、2着馬とは1馬身も差がなかった。それ以降はゴドルフィンマイル2着など5戦連続の連対中と安定しており、勝負所でズブい面があるフォーエバーヤングは後ろにばかりに気を取られる訳にもいかない。
米国のラトルンロールは単騎参戦となってしまったが、この一戦に懸ける陣営の意気込みが不気味。昨年はセニョールバスカドールを2戦限定のレンタルでサウジC制覇に導いた地元実業家が、今度は所有権の半分を購入して前哨戦から使ってきた。その一戦はゲートが遅く先頭から遠く離れた道中となるも、馬群の中から豪快に突き抜けて圧勝。本番と同じ舞台で結果を出したことは自信になり、差し脚を武器としたセニョールバスカドールとキャラクターが似ている点も何かを感じさせる。
地元のサウジ勢は6頭で迎え撃つが、エルコディゴとインテンスフォーミーはアルゼンチンからの移籍初戦で、昨年のサウジCで7着のディファンデッドも所有するオーナーの3頭出し。アルゼンチンのダート最強馬と称されているエルコディゴには芝のG1勝ちもあり、前々走は芝最高峰のカルロスペレグリーニ国際大賞でインテンスフォーミーの2着も、好位の後ろから抜け出して小差に粘り込む強い内容だった。主戦のG.カルベンテ騎手は今回の1800mをやや短いとしているものの、二刀流の才能はサウジC向きかもしれない。
また、アルムスマクは英国からの移籍馬で、2歳時にはロサリオンやゴーストライターといった今やG1常連の2着がある。初ダートの前走を逃げて圧勝しており、ポテンシャルは侮れない。ウェイトトゥエクセルやウートンサンら前哨戦でラトルンロールに完敗した馬たちは苦しいか。
(渡部浩明)
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