新しいヒロイン2025《97期生・加藤 麗奈》

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加藤 麗奈 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

かとう・れいな=2007年3月5日、兵庫県三田市出身

昨年のプロテストで見事一発合格を果たした加藤麗奈。まだ高校に在学中の17歳で、現在、JLPGAに登録している選手の中では最年少となる。初めてクラブを握ったのは7歳のときだが、本格的にゴルフを始めたのは10歳からだ。「最初はあまり真面目に取り組んではいませんでしたが、中学2年ぐらいからよく練習するようになりました」。シングルプレーヤーである父親の勧めで始めたものの、当初はゴルフを楽しいと感じることもなく、練習にも身が入らなかった。当然、結果も出ないので余計につまらなくなる。そんな悪循環に陥っていたが、練習時間を増やしたことで結果が出るようになり、ゴルフの面白さを徐々に理解し始めた。

「特に苦手だったショートゲームが少し上手くなったことで、無駄なボギーを叩かず、パーを拾えるようになったことが大きいですね」。距離のあるドライビングレンジやアプローチ練習場、バンカー練習場を持つ有馬カンツリー倶楽部が自宅近くにあったことも幸いした。

中学を卒業すると、大阪の好文学園女子高校へ進学。1年生からレギュラーとなり、全国大会でも活躍する。順調にゴルファーとしての経験値を上げていった加藤だが、高校1年生の春休み、左足を疲労骨折してしまう。「ゴルフ部の合宿でトレーニングをしていたときにくるぶしの下を痛めたんです」。ゴルフの場合、ダウンスイングからフィニッシュにかけて左足に体重を移動する分、左足に加わる負荷も大きい。その時のトレーニングだけが原因ではなく、打球練習の球数を増やしていたことで、徐々に骨に負担がかかっていたのだろう。

1カ月ほど安静にしていたが、少しずつ練習を再開。これまでよりもかなり練習量を減らしたが、全国大会の団体戦では4位に入ったチームの主力として貢献した。加藤が大きな決断をしたのはその2カ月後だった。通信制であるルネサンス大阪高校への転入を決めたのだ。「前の学校が嫌だったわけではなく、単にプロテストへ向けて練習により集中できる環境をつくりたかったんです」。最終プロテストまで約1年。通学時間すらも練習に充てたい気持ちが強かった。転校後、午前中は有馬カンツリー倶楽部で練習し、一度帰宅して勉強とトレーニング。夕食後は仕事を終えた父親と一緒に練習場へ出かけることが日課となった。

加藤 麗奈 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

そして迎えたプロテスト第1次、第2次予選を危なげなく通過したまではよかったが、その直後、またしても左足を疲労骨折することに。「前年に痛めたところと同じでした。やはり練習量を増やしたことが原因だと思います」。それでもプロテストは待ってくれない。痛みをこらえながら毎日ボールを打ち続けた。少しでも痛みが和らぐことを願ったが、11月の最終プロテストでは歩くのもままならず、ショットも左右に散っていた。この状態では合格できるはずもないと思っていたが、ショートゲームで上手くリカバリーでき、大叩きしなかったことが幸いし、通算イーブンパーの12位タイで4日間を終えることができた。ただ、翌12月のQTファイナルステージでは痛みに耐え切れず、第3日のスタート前に棄権せざるを得なかった。

将来的にはJLPGAツアーで通算10勝を挙げることが目標-という加藤。「まだJLPGAツアーには一度も出ていませんが、できれば今年は公式競技に出場してみたいです」。まずは左足の痛みをしっかり取り除き、今季の主戦場となるステップ・アップ・ツアーで結果を残すことから始めるつもりだ。(山西 英希)

加藤 麗奈 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

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