3連覇を狙う神戸以上に評価の高い優勝候補とは? キャンプに密着した識者3人によるJ1展望座談会【前編】
リーグ3連覇とACL初制覇が王者・神戸の大きなモチベーションだ。補強は控え目だったが、昨季MVPの武藤も残留し、選手層はセカンドチームが作れるほど厚い 【Photo by Paul Miller/Getty Images】
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昨今のJリーグの潮流が続くのなら……
●Aクラス予想(並び順は北から)
河治良幸:鹿島、浦和、名古屋、G大阪、神戸、広島
舩木渉:鹿島、横浜FM、名古屋、G大阪、神戸、広島
河治 鹿島は、言ってしまうと「だいたい4位」(笑)。優勝の可能性がまったくないわけじゃないんですが、やっぱり8年も川崎フロンターレで監督をやってきた鬼さん(鬼木達)にしてみたら、スタイルに“ラグ”を感じると思うんですよね。
ただ、このチームにはしっかりとした守備のベースがあるし、前線には決め手のあるタレントもいるので、手堅く勝ち点を稼いではいけると思います。新加入のレオ・セアラ(←セレッソ大阪)は、チームのスタイルに完璧にハマらなくても点が取れる選手なので。それでも、鬼木アントラーズの本格化は今年じゃないだろうなということで、4位ぐらいに予想しています。
舩木 「今年の鹿島は全然だよ」という声をけっこう耳にしていましたが、2月1日に行われたいばらきサッカーフェスティバルの水戸ホーリーホック戦(1-1)を見たかぎり、「聞いていたよりはうまくいっているな」という印象を受けました。ただ、鬼木監督が鹿島でやろうとしているサッカーは、フロンターレそのままではないと思います。水戸戦を見ていても、フロンターレみたいな繊細さはなかったし、縦パスが簡単に引っ掛かるシーンも多かった。その一方で、ロングボール1本で展開を作る鹿島っぽさも見られましたが、そこのバランスをどう取るかじゃないですか。
前線はレオ・セアラと鈴木優磨で20~30点くらいは計算できるので、あとはセンターバックの主力に怪我人が出なければ、安定して勝ち点を積み上げられると思います。ただ、ぶっちぎりで優勝を狙えるようなチームかと言えば、今季はまだそこまでではないのかなと。
佐藤 僕は水戸戦を見て、「時間がかかるかもしれないな」という印象を受けましたね。その根拠は、鬼木さんのやりたいはずのことが、できていなかったから。昨日は4-4-2でスタートしたんですが、前半の途中から荒木遼太郎がインサイドハーフ、柴崎岳がアンカーに落ちて、4-3-3っぽくなったんです。鹿島伝統の4-4-2が無難なのか、それとも川崎でこだわってきた4-3-3なのか、まだ探り探りの段階に見えましたね。
昨シーズン途中に佐野海舟(現マインツ)が移籍してから顕著なのは、柴崎と知念慶のダブルボランチをベースにした場合、知念が怪我などでいなくなると一気に強度が低下してしまうことなんです。後ろ(センターバック)が強いから何とか持ちこたえていましたが、あそこは鹿島のアキレス腱と言っていい。昨日の試合も柴崎と知念のダブルボランチでしたけど、そこを3枚にするのかどうか。鬼木さんが最適解を見つけ出すまで、もう少し時間がかかりそうです。
──まだ試行錯誤は続くと?
佐藤 そうですね。センターバックの2人(植田直通と関川郁万)も、ボールをつなぐのがそんなに得意なわけではないので、ビルドアップの部分をどうするか。水戸戦では、後半途中から濃野公人に代えて小池龍太(←横浜F・マリノス)を右サイドバックに入れてきました。中盤もできる小池なら、偽サイドバックの役割もこなせる。そうすれば濃野を1列前で使うことも可能になるんじゃないかなと、勝手に想像していますけどね。
──それでも鹿島はAランクなんですね。
佐藤 ボランチのところは心配ですが、メンツはそろっていますからね。大きく崩れることはないと思います。
河治 レギュラーを固定しすぎると、去年みたいに綱渡りになってしまう。センターバックは植田と関川の丈夫さに頼りきりで、右サイドバックは須貝英大(→京都サンガF.C.)をあまり使わないでいたら、濃野が怪我をした最終盤にガタっときた。ずっと出ずっぱりの選手を作らずに長いシーズンをやりくりできるかは、鹿島の生命線になるのかなとも思っています。サイドバックは左右ができる小池を、ウイングもレンタルバックの松村優太(←東京ヴェルディ)をうまく使いながらやっていけるか。今から怪我人を心配しても仕方ないですが、現在の陣容を保てればAクラスには入ってくると考えています。ただ、そこから突き抜けられるかどうかは、他のチーム次第。スーパーなチームが出てこないことが条件になるでしょうね。
──次にチャンピオンチームの神戸をお願いします。舩木さんから。
舩木 Aクラスには入れていますが、不安要素もあります。それは広島にも共通するACLの日程問題。去年もF・マリノスが苦しんだように、ハードスケジュールが負担になる可能性があります。主力の顔ぶれはほとんど変わっていませんし、そこが健康体を保てれば安定したサッカーで上位には入ってくると思いますが、ただ一方で戦力の上積みもほとんどありません。主力の高齢化も考えれば、もしかすると3連覇は難しいのかもしれませんね。
佐藤 僕は逆に、史上2クラブ目のリーグ3連覇とACL初制覇が今年の神戸のモチベーションになるんじゃないかと思っていて、武藤嘉紀が残ったのもそこが大きかったんだろうなと。
吉田孝行監督が、去年優勝した後に「俺たちのサッカー」とか「このサッカーで勝った」とか、勝った者が強い的な、ベッケンバウアーみたいなことを言っていたんですね(笑)。よっぽど「ハードワーク重視で面白くない」って揶揄(やゆ)されていることが気になっていたのかなと思うんですが、興味深かったのは、「ロングボールは入れるけど、我々はそのための下準備をすごく緻密にやっている、そこをちゃんと見てほしい」みたいな話をしていたこと。そこにさらに磨きがかかるなら、「ハードワーク&縦に速いプレスサッカー」という昨今のJリーグの潮流は今年も続くのかなって思うんです。神戸、広島、FC町田ゼルビアをAクラスに入れたのも、その点でまだアドバンテージがあると考えたからです。
河治 神戸が進化した点は、選手層が劇的に厚みを増して、いわゆるセカンドチームと呼べるものが作れるようになったこと。今では武藤と大迫勇也のどちらかを欠いても好勝負に持ち込める。そしてもう1つが、まさにロングボールを入れる前の下準備のところ。ボールを持って一度タメを作ってから、ミサイル的なロングボールの出し方ができるようになった。急ぎ過ぎないから、プレー強度も90分間を通して維持できるし、これで戦い方にすごく安定感が出てきた。
確かにACLエリートの日程には苦しむかもしれないけれど、昨シーズンのF・マリノスや川崎とは違って、神戸の場合は戦い方もベースのところで安定期に入っていて、ピークが過ぎた感じもまだありませんからね。ただ、このオフは気持ちが悪いほど補強が少なくて(笑)、そこを強化部とか吉田さんがどう判断しているのかなという疑問はあります。もちろん、現陣容で厳しいと判断すれば、外国人枠も残しているので、シーズン中に大型補強に乗り出す可能性はあるでしょうね。
前評判が高い広島の懸念はジャーメイン?
昨季日本人最多タイの19得点を挙げたジャーメインが、広島の新たなエースだ。飛躍的に決定力を高めているストライカーだが、一方でポストプレーの質には疑問符も 【Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images】
佐藤 たぶん、前評判が一番高いチームなんじゃないですか。先に懸念材料を挙げると、新戦力のジャーメイン良(←ジュビロ磐田)が、本当に広島のスタイルに合うのかというところ。昨シーズン途中に獲得した大型FWのゴンサロ・パシエンシア(→スポルチ・レシフェ)は出て行きましたが、クロスを多用する広島にあって、誰がそれに合わせるのかとなった時に、ジャーメインにその役割が務まるのかという疑問があります。
ただ、彼がそこでフィットすれば、チームの完成度は高いし、優勝だって狙えると思います。田中聡(←湘南ベルマーレ)が入ったことによって、中盤の厚みがさらに増したし、サイドの人材も多彩。大卒ルーキーの中村草太(←明治大)も頭のいいアタッカーで、このチームでどうすれば自分が生きるかをちゃんと心得ている。ボランチには伸び盛りの中島洋太朗もいて、川辺駿だってうかうかしていたら試合に出られないくらい選手層が厚いですからね。
河治 僕もダントツの優勝候補と見ています。ただ、中島と井上愛簾がU20アジアカップ(2月12日から中国で開催/兼U-20ワールドカップ予選)とU-20ワールドカップ(9月27日からチリで開催)で2カ月くらい抜ける可能性があって。中島はすでに主力級だし、井上にしてもカップ戦との使い分けも含めて考えれば、正直かなり痛いと思います。
ポイントとなるのは、夏の補強。神戸と同じように現状では外国人枠を余らせているので、特に前線のアタッカーに関しては、間違いなく強化部は二段構えでの補強を視野に入れているはずです。開幕時点でのスカッドも充実していますが、もしそこに綻びが出れば、確実に夏のマーケットで動いてくるでしょうね。そうなれば、「5人交代・9人ベンチ」という今シーズンのレギュレーションをフルに活かせる。過密日程の中でもスタメンが固定的だった昨年より質の高いターンオーバーを実現できると僕は見ています。
あとは、(ミヒャエル・)スキッベさんのサッカーが、シンプルで分かりやすいというところも大きい。やるべきことが整理されているので共有度が高く、誰が出てもクオリティが落ちないんですね。総合的に判断して、確実にトップ3には入ってくるでしょうし、優勝の可能性も一番高いと思いますね。
舩木 ジャーメインはキャンプでもかなり評価が高かったですよ。僕は宮崎キャンプの初日に見ましたが、その前のトルコキャンプから帯同していたライターは、動きがシャープで、シュートに持ち込む自分の形があるので、広島でも確実にエース格になっていくだろうとベタ褒めでしたね。やっぱり、ジュビロで3年間レギュラーを務めるなかで、点を取る形が確立されたんだと思います。かつてはスピードに頼りがちでしたが、この数年で組み立てにも関与できるようになったし、プレーの幅は広がっています。
ただ、現状ではジャーメイン以外に1トップを任せられる選手が他にいないんですよね。それこそ井上が抜けるとなれば、なおさらです。ウイングバックとボランチの層は厚いですけど、センターフォワードに関しては、ジャーメインに万が一のことでもあった場合、厳しくなるかもしれません。
先ほど夏の外国籍FW獲得の話も出ましたけど、今年のJリーグの移籍市場を見ると、もともといたブラジル人選手が日本国内で移動しているだけで、前線に新たなブラジル人を加えたのはセレッソ大阪くらいなんですよね。もしかしたら来年の秋春制へのシーズン移行も見据えて動きをセーブしているのかもしれませんが、それだけ計算できるタレントが市場に出回っていないということなんでしょうね。
佐藤 あるクラブの強化担当者に話を聞いたけど、今はブラジル人選手の値段がめちゃくちゃ上がっているらしいよ。あと、広島は3バックの控えも意外と手薄ですよね。それこそACLの試合も重なると、ちょっとしんどいかもしれない。ウイングバックの中野就斗を下げるくらいしかないですよね?
河治 山﨑大地は十分にレギュラー陣の代わりが務まる才能の持ち主ですが、彼も怪我が多くて、去年も1試合しか出られなかった。ただ、昨シーズンの清水エスパルスで相当良かった住吉ジェラニレショーンを戻さなかったし(清水に完全移籍)、広島の強化部は現陣容にそれなりの自信を持っているんでしょうね。
ジャーメインに関して言うと、成長しているとはいえ、そもそもロングボールを収めるプレーがあまり得意じゃない。もちろん、チャンスを確実に決めきるストライカーとしての能力は飛躍的に上がっているんだけど、ポストプレーヤーとしてはまだまだ微妙なところがあると思うんです。広島のハイプレス&ショートカウンターが機能している時はいいんだろうけど、押し込まれてロングボールを入れなきゃならない状況になった時にどうなのかなと。間違いなく広島のエースになるタレントだと思いますが、ターゲットマンの確保ということは、おそらく首脳陣も考えているはずです。
CWC出場を見越した浦和の大型補強
効果的な補強で戦力アップを遂げた浦和。とりわけ充実するのがM・サヴィオらを加えた2列目で、手厚いサポートを受けてT・サンタナ(写真)の得点力も上がりそうだ 【(C)J.LEAGUE】
佐藤 名より実を取った、いい補強をしましたよね。派手な名前はマテウス・サヴィオ(←柏レイソル)くらいですが、適材適所感があって、ただかき集めただけじゃなく、ちゃんと計算しながら強化を進めている印象を受けました。当然クラブワールドカップ(6月15日からアメリカで開催)出場を見越しての大型補強だと思いますが、レンタル復帰組もけっこういて、チーム作りの短縮みたいなところも考えられている。
なかでもサヴィオが左、金子拓郎(←コルトレイク)が右の両サイドはかなり強力です。金子って、同い年の三笘薫の陰に隠れているけど、突破力はまったく引けを取らないし、ミシャ(ペトロヴィッチ/前北海道コンサドーレ札幌監督)も嘆いていましたが、彼をヨーロッパに引き抜かれてからの札幌の低迷が、その重要性を物語っていますよ。ウイングは選手がダブつくぐらい選手層が厚いですが、それほどのチームが日本に出てきたことを嬉しく思うし、クラブワールドカップでもインテルやリーベル・プレートを相手にインパクトを残してほしいです。あともう1人、トップ下とボランチの両方に対応できる松本泰志(←広島)も、よく考えられたいい補強ですよね。
河治 すごく端的に言うと、サヴィオ、金子、松本の3人はもう間違いない。彼らに共通するのは「耐久力」で、過密日程の中でも怪我をするリスクが低いという点は非常に大きいと思います。
いずれも90分フル出場するタイプだけに、この分厚い選手層をどう回していくかがポイントになりますが、サヴィオがトップ下と左サイド、松本がボランチとトップ下の両方をできるので、例えばそこに原口元気を入れるなど、うまくポジションをシェアしながら回していくことは十分可能です。とくにボランチのサミュエル・グスタフソンなんかは連戦で無理が効かない体質なので、適度に休養を与えながらプレーさせられるメリットも生まれそうです。現状は基本的に松本がトップ下で、ダブルボランチの軸は渡邊凌磨ですが、ここは“パシージョ”と言われる裏に抜ける斜めの動きを取り入れながら、2人が流れの中でローテーションをして立ち位置を変える関係性が築かれています。凌磨は右サイドバックが上がったスペースを瞬時に埋めるなど、とにかく気が利くんです。
さらに、2列目の3枚が強化されたことで、チアゴ・サンタナの得点力も上がるでしょうね。彼は1人で問題解決できるFWではなく、周りのお膳立てが不可欠。今シーズンはボックス内での仕事に集中できる環境が整ったと思います。付け加えると、最前線では長倉幹樹(←アルビレックス新潟)が、かなりいい2番手になってきそうな気もしています。
──浦和に弱点はなさそうですか?
河治 ありますよ。最終ラインの選手層が決定的に薄い。練習試合を見ていても、2本目、3本目になっていくにつれて、本職の選手がどんどんいなくなっていくんです。本間至恩の左サイドバック、二田理央の右サイドバックなんていうのもありましたから。そこが浦和の評価の振れ幅が大きくなるマイナス要素で、僕はひょっとしたらBクラスもあるんじゃないかと思っているんです。
──先日、ブラジル人センターバックのダニーロ・ボザ(←ジュベントゥージ)の獲得が発表されましたね。
河治 そうなんですけど、キャンプで実戦をこなせなかったブラジル人選手が、果たしてすぐにフィットするかは未知数ですよね。左サイドバックの荻原拓也(←ディナモ・ザグレブ)もまだ100パーセントのコンディションではなさそうだし、神戸や広島の最終ラインと比較すれば、どうしても個々の能力値で見劣りしてしまうのかなと。どちらかと言えば“上半身マッチョ”の陣容で、マチェイ・スコルジャ監督のイメージするサッカーとは、攻守のバランスが逆になっている印象もありますね。ただ見方を変えると、ここさえ解決すれば攻守ともにかなりハイレベルな陣容になる。Jリーグでは希少なスピードのあるセンターバックであるダニーロ・ボザの早期フィットに加えて、大卒ルーキーの根本健太(←流通経済大)がマリウス・ホイブラーテンを脅かすぐらいの存在になってくると、優勝が見えてくる可能性もあります。
──唯一、浦和をBクラスにしている舩木さんの見解は?
舩木 前の選手層が素晴らしくて、後ろが薄いというのは見るからにそうですよね。僕が懸念しているのは、クラブワールドカップに出場するしわ寄せで、Jリーグの前半戦の日程がかなりタイトになることなんです。そこを耐えられるかどうか。仮に前半戦の成績が振るわず、チームのモチベーションがクラブワールドカップにのみ向けられるようになれば、負のスパイラルに陥りかねない。そうした危惧もあって、ランクを1つ下げました。
とはいえ、マテウス・サヴィオをはじめ、本当にピンポイントで素晴らしい選手を補強していますからね。新戦力で僕が期待しているのが、長倉。地域リーグから成り上がってきた彼は、タフに戦えるストライカー。チアゴ・サンタナからポジションを奪う可能性は十分にあると思います。もしも浦和が最終ラインの安定を得たいのであれば、それこそ復帰の噂が絶えないアレクサンダー・ショルツ(現アル・ワクラ)を呼び戻すのが一番でしょうね。
河治 選手のフィジカル面、コンディション面を管理するハイパフォーマンスコーディネーターとして浦和に戻ってきた池田誠剛さんの役割も、1つのポイントになるかもしれません。なにしろ昨シーズンは二桁近い数の怪我人が出て、万年野戦病院化していましたからね。松尾佑介や大久保智明のような昨年の怪我から回復途上の選手はいますが、彼らもチーム練習には参加してきていますし、キャンプで離脱者が出ず、ベストな布陣で開幕に臨めそうなのは大きいです。
──では次に、河治さんと舩木さんがAランク、佐藤さんがBランクに評価した名古屋グランパス(昨季11位)をお願いします。
舩木 去年ルヴァンカップを制したチームから大きく陣容は変わっていませんし、安定感はありそうだなと。ランゲラック(→メルボルン・ビクトリー)の後釜に迎えた新守護神のシュミット・ダニエル(←ヘント)が、開幕前に右膝半月板の損傷で離脱となったのは誤算ですが、レギュラーがほぼ固定化されていたセンターバック陣に、宮大樹(←アビスパ福岡)、佐藤瑶大(←浦和)といった実力者が加わったことで、より後ろが安定したのは確かです。一方で前線にはマテウス・カストロ(←アル・タアーウン)が3年ぶりに復帰し、パンチ力が増しています。すでに出来上がっていたチームにプラスアルファがもたらされたということで、上位進出の可能性は十分あると思います。
河治 僕はAクラスとBクラスのボーダーライン上、5~8位くらいの予想です。ここに何か大きなプラス材料が加われば、一気に上に行くかもしれませんが、リーグ優勝を狙うにはちょっと弱い。それでも、舩木さんの挙げた宮と佐藤に加えて、僕は原輝綺(←清水)をセンターバックに補強できたのはかなり大きいと思っています。彼は名古屋の3バックの右にうってつけの人材でしょう。ただ、サッカー自体は大きくは変わらないので、マテウスや浅野雄也(←札幌)なども含めて、個の力の上積みを見込んでの評価になりますね。
──佐藤さんはBクラス評価ですね。
佐藤 Aクラスに入れるには、ちょっと推せる要素が足りないかなと。例えば、ロングボールの受け手に事欠かないチームに、両足から正確なキックが蹴れる佐藤瑶大を獲得できた意味は大きいと思いますが、それでも全体的に見れば上積みはそれほどでもない。あとは、(長谷川)健太さんの神通力が4年目も持続するのかという点。マンネリとの戦いというか、どうしても慣れが出てきてしまうなかで、主要メンバーがほとんど変わっていないことが逆にマイナスに働く危険性はあるのかもしれません。