連載:日本スポーツ界の若き至宝

ラグビー日本代表の未来のキャプテン候補 “ジャッカル”姫野和樹に必要なものは?

吉田治良
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初めて挑んだW杯の舞台でも臆することなくプレー。自慢のフィジカルを武器に攻守両面で存在感を放ち、日本のベスト8進出に大きく貢献した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップ(W杯)。世界を驚かせたのは、プール戦全勝で初のベスト8入りを果たした日本代表の快進撃だったが、中心選手としてその一翼を担ったのが、全5試合で先発出場した姫野和樹だ。屈強なフィジカルを生かした“ジャッカル”でも話題になった男は、はたして今後、「世界のナンバーエイト」と呼べる存在となれるのか。元日本代表の大西将太郎氏が、その可能性を語る。

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日本のレベルアップを象徴する「モデル」に

──まずは今回のW杯を総括していただけますか? 日本代表にとっては大成功の大会になりましたね。

 最高の結果と言っていいでしょう。なかなか勝てなかった時代を経て、前回の2015年大会がプール戦で3勝、そして今大会がプール戦全勝で史上初のベスト8入りですからね。申し分ないんじゃないですか。

──もはや日本を「ティア1」に入れてもいいのではないかといった声まで聞かれます。(編集部注/ティア1とはラグビーにおける最上位の階級で、イングランド、南アフリカ、ニュージーランド、ウェールズ、オーストラリア、フランス、アイルランド、スコットランド、アルゼンチン、イタリアの10カ国で構成。日本は現在、その下の「ティア2」に属する)

 確かにそれだけの結果は残したと思います。今回のW杯は、世界に日本の実力を認めされるための大会で、実際にそれを証明してみせましたから。特にプール最終戦のスコットランド戦は、相手も決勝トーナメント進出が懸かっていて本気も本気。それに真っ向勝負で勝ちきったんですから、これはもう実力でしかありません。

──息が詰まるような試合ばかりでしたね。

 まあ、W杯で圧勝できる相手なんてそうそういませんからね。それでも今大会の日本代表は、対戦相手に応じてさまざまな戦略、戦術を用意し、とても柔軟に戦いました。キックを多用したり、パスをつないでポゼッションを高めたり、時にはあえて相手にボールを渡したり……。いろんなことができる“大人のチーム”になったな、という印象を受けました。

──ただ、南アフリカとの準々決勝では力の差を見せつけられました。

 やはり決勝トーナメントに入ると、そこからもう一段階レベルが上がるなと。世界屈指の強豪国である南アフリカは、ノックアウトステージの戦い方を熟知していましたね。

──日本はプール戦からほぼメンバーを固定して戦ってきました。南アフリカ戦はかなり疲労の色が濃かったように映りましたが、選手層という点で、まだ強豪国とは開きがあるのでしょうか?

 一度も試合に出ていない選手が5人ですからね。これは他の国に比べても多いと思います。ただ実際、主力を休ませ、控えメンバーに経験を積ませるような余裕はありませんでした。ベスト8に勝ち上がるにはどの試合も落とせないし、ボーナスポイント(4トライ以上を奪うと与えられる1ポイント)を取りに行く必要もありましたからね。決勝トーナメントを見据えた戦い方というのは、今後の課題でしょう。

──そんななか、これがW杯初出場の姫野選手もプール戦の4試合すべてにフル出場(準々決勝の南アフリカ戦は先発→52分に交代)と、代えの利かない主力のひとりでした。大西さんは、姫野選手のどんな点をもっとも評価されているのですか?
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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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