スワーヴ復活V導いた欧州の若き天才騎手 夢のJC制覇「1週間は寝つけない」

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スワーヴリチャードは昨年の大阪杯以来GI・2勝目

第39回ジャパンカップはオイシン・マーフィー騎乗の3番人気スワーヴリチャードが優勝 【写真:中原義史】

 JRA秋競馬の大一番、第39回GIジャパンカップは24日、東京競馬場2400メートル芝で争われ、オイシン・マーフィー騎乗の3番人気スワーヴリチャード(牡5=栗東・庄野厩舎、父ハーツクライ)が優勝。中団のイン追走から最後の直線も最内を力強く抜け出し、約1年半ぶりとなるGI・2勝目を挙げた。重馬場のタイムは2分25秒9。

 スワーヴリチャードは今回の勝利で通算18戦6勝(うち海外1戦0勝)、重賞は2017年GIII共同通信杯、17年GIIアルゼンチン共和国杯、18年GII金鯱賞、18年GI大阪杯に続き5勝目。騎乗したマーフィーはうれしいJRA・GI初勝利となり、同馬を管理する庄野靖志調教師はジャパンカップ初勝利となった。

スワーヴリチャードはこれが昨年の大阪杯以来となる復活のGI・2勝目となった 【写真:中原義史】

 なお、3/4馬身差の2着には津村明秀騎乗の5番人気カレンブーケドール(牝3=美浦・国枝厩舎)、さらに1馬身半差の3着には川田将雅騎乗の2番人気ワグネリアン(牡4=栗東・友道厩舎)が入線。1番人気に支持されていたウィリアム・ビュイック騎乗のレイデオロ(牡5=美浦・藤沢和厩舎)は11着に敗れた。

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「僕の夢がついに実現しました」

「夢がかなった」とマーフィーは喜びを爆発 【写真:中原義史】

 創設39年目にして初めて外国からの出走馬がゼロとなった令和初のジャパンカップ。では、地元日本馬の陣容はというと、ダービー馬が3世代もそろったとはいえ、GIホースは出走メンバー15頭のうち5頭だけで、そのいずれもが今年未勝利。そんな状況だからだろうか、個人的にJCは秋GIの中で一番お祭り感のあるレースと思っていたのだが、今年はなんだか地味な印象しかなく、それは競馬ファン誰もが感じていたのだろう。オッズも割れに割れていた。

 そのうえ、重馬場だ。今年のGIレースで一番、混迷度合いが極まっていた、と言ってもいいのではないか。だから一攫千金を夢見がちな僕は、上位人気馬を片っ端から切っていった。もはや創設当初のコンセプトも何もなくなってしまった今年のJC、過去の実績など何のアテにもならないのだ――と。

 ある意味、勝負論から離れてもう興味の大部分が馬券に移っていた僕だけど、そんなヨコシマな心をきれいに洗い流してくれるくらい、レースそのものは見どころたっぷりだった。

 殊勲はもちろん勝ったスワーヴリチャードであり、完ぺきな騎乗でVロードへと導いたアイルランド出身の騎手オイシン・マーフィーだ。

「僕の夢がついに実現しました。ジャパンカップは世界有数のレースですし、勝つことは本当に難しいと聞いていましたから。とにかくホッとしています」

弱冠24歳で英国騎手リーディングを獲得

その腕前と人柄の良さですっかりトリコになった人も多いのでは? 【写真:中原義史】

 今年、弱冠24歳にして初の英国騎手リーディングを獲得した欧州若手の超有望株。昨年暮れ、日本での短期免許を初めて取得し、わずか1カ月半の騎乗で重賞1勝を含む25勝を挙げるという、ウワサ通りの腕達者ぶりを披露してみせた。最終レース後には自らファンのもとに駆け寄り遅い時間までひとり、ひとりにサインを書くなど、その腕前と人柄の良さですっかりトリコになった人も多いのではないだろうか。

 JCがローカルGIでしかなかった草創期から知るオールドファンにとってはピンとこないかもしれないが、1995年生まれのマーフィーにとってJCは、物心ついたときからすでに世界のビッグレースとして存在していた。それだけに英国ダービーや凱旋門賞、米ブリーダーズカップ、ドバイミーティングらと同じくらい価値のあるレースと思ってくれているのだろう。そんな“夢のJC”を2度目の短期免許で早くも勝つことができた。

「大きなレースを勝った後はいつも、自分がどれだけすごいことをやったのか、すぐには理解できないんですけど、ジャパンカップは世界最高のレースの1つ。たぶん、1週間は寝つけないんじゃないかな(笑)」

 まだ幼さが残る顔で、頬を紅潮させながら興奮気味に語ったマーフィー。しかし、騎乗はこれが24歳かと思うくらいの冷静さだった。

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