強すぎアーモンドアイはもはや畏敬の対象 天皇賞圧勝も調教師「まだ“上”がある」

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ルメールは史上3人目の天皇賞3連覇

令和初の天皇賞・秋はルメール騎乗のアーモンドアイが圧勝、GI・6勝目を飾った 【写真:中原義史】

 伝統のJRA秋のチャンピオン決定戦、第160回GI天皇賞・秋が27日、東京競馬場2000メートル芝で行われ、クリストフ・ルメール騎乗の1番人気アーモンドアイ(牝4=美浦・国枝厩舎、父ロードカナロア)が優勝。好位5番手のインから最後の直線は最内を鋭く突き抜け、後続を3馬身ちぎる圧倒的な強さを見せつけた。良馬場の勝ちタイムは1分56秒2。

 アーモンドアイは今回の勝利で通算10戦8勝(うち海外1戦1勝)、GIレースは2018年桜花賞、18年オークス、18年秋華賞、18年ジャパンカップ、19年ドバイターフに続き6勝目。騎乗したルメールは18年秋のレイデオロ、19年春のフィエールマンに続き、史上3人目となる天皇賞3連覇。同馬を管理する国枝栄調教師は天皇賞は09年春のマイネルキッツ以来の2勝目となり、秋は初制覇となった。

ルメールはこれで18年秋のレイデオロ、19年春のフィエールマンに続き、史上3人目の天皇賞3連覇となった 【写真:中原義史】

 なお、3馬身差の2着には川田将雅騎乗の3番人気ダノンプレミアム(牡4=栗東・中内田厩舎)、さらにクビ差の3着には戸崎圭太騎乗の6番人気アエロリット(牝5=美浦・菊沢厩舎)が入線。2番人気に支持されていたクリストフ・スミヨン騎乗のサートゥルナーリア(牡3=栗東・角居厩舎)は6着に敗れた。

GI馬10頭参戦も接戦にならず

ファンの声援に応えてのウイニングラン、まさにアーモンドアイの独り舞台だった 【写真:中原義史】

 GIタイトルホース10頭参戦は、天皇賞・秋としては最多出走。天皇陛下のご即位を祝して今年は「慶祝競走」として行われたが、それにふさわしい超ハイレベルメンバーとなった。

 と、そう聞くと、さぞかしGIホース10頭を含む16頭が横一線の、手に汗握る大激戦が繰り広げられたに違いない――と思う読者の方も多いだろう。現に、アーモンドアイを管理する国枝調教師ですら「最後はしのぎを削りあって、という感じになると思っていました」という。しかし、現実はそうはならなかった。豪華なメンバーも、乱暴な言い方をすれば“引き立て役”でしかなかった。決して、他馬が名ばかりのGI馬だったと言うのではない。それほどまでに、アーモンドアイの強さは一段も二段も上を行くレベルだった、彼女が強すぎたのだ。

「勝てて安心しましたね。勝つ自信はありましたけど、休み明けでしたし、府中の2000メートルでいい枠番も引けたから、(逆に)怖かったです(笑)」

見事に愛馬をエスコートしたルメールの手腕も光るレースだった 【写真:中原義史】

 最終レース終了後の共同インタビューで、コンビを組むルメールはほっと安堵の笑顔を見せて、圧勝に終わった天皇賞・秋を振り返った。府中二千はそのコース形態から内枠有利と言われており、その点では1枠2番は絶好枠と言っていい。しかし「怖かった」とルメールが話したように、内枠は包まれやすい分、ほんの小さなミスが一転して命取りとなり得る枠番でもある。まして、勝って当たり前と見られている日本最強馬に騎乗するのだから、ほんの少しの失敗も許されない。実はそうした難しい側面もあったレースだったのだ。

「でも、僕も今年40歳。これまでの経験がありますから、プレッシャーを心の下でキープしていました」

 ポンと好スタートを切ると、外から圧力をかけてきた最大のライバル・サートゥルナーリアとは競り合わず、先に行かせて、その直後の5番手ポジションをキープ。この日のアーモンドアイはパドックから驚くほどの落ち着きぶりを見せていたが、鞍上も同様の冷静さで淡々とレースを進めていった。

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