ランナーがいた方が球速は上がる? 状況別に投球を分析
連載「それってホント? 野球の定説を検証」では、「あのときの僕」が信じていた野球の定説をデータやスポーツ科学を使って検証。観る人・プレーする人・支える人すべてに、野球の真実・野球の新たな面白さをお届けします。
第10回は「ランナーの有無で投球は変わるのか?」。
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ランナーのいる場面で、投球はどのように変わってくるのだろうか 【写真は共同】
「無死一塁だから小さく落ちるボールでゲッツー狙ってくるぞ!」
このように、ランナーの有無、または状況によるアドバイスを受けた経験はないだろうか。
今回は昨季のメジャーリーグの全投球・約73万球のデータを基に、ランナーの状況によって投球がどのように変化していくかを明らかにする。このような定説・アドバイスは本当に適切なのだろうか。
セットポジションは球速が低くなると思いきや…
【Baseball Geeks】
スライダーは空振り率が高く、速球は空振り率が低い。ランナーありの場面では、バットに当たると不運でも失点の可能性があり、投手は空振りを狙いたいという意図を持っているのかもしれない。
また、球速はどのように変化するのか。ランナーありの場面となしの場面で、各球種の平均球速を示した。
【Baseball Geeks】
一般的に、セットポジションから投げられたボールは球速が減少すると考えられており、ワインドアップとセットポジションの球速を比べた研究では、セットポジションは有意に球速が低かったという報告もある(蔭山ほか、2015)。しかし実際には、球速が減少するどころか、むしろセットポジションのほうが増加していた。
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