“回転数多い=ノビのある球”ではない? データから迫る「ノビ」の正体
連載「それってホント? 野球の定説を検証」では、「あのときの僕」が信じていた野球の定説をデータやスポーツ科学を使って検証。観る人・プレーする人・支える人すべてに、野球の真実・野球の新たな面白さをお届けします。
第7回は「ノビのあるボールとは?」について。
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「ノビのあるボール」とは何を指すのか 【写真は共同】
野球ではごく当たり前のように使われる言葉であり、指導現場や試合中の解説でも耳にする事が多い。しかし、「ノビのあるボール」とは一体何なのか。これまでは指導者や選手の主観で表現されていたが、トラッキングデータの普及によりこの「ノビ」という言葉は客観的に評価できるようになった。
今回は、このボールの「ノビ」という言葉の正体をトラッキングデータで明らかにしていきたい。
キーワードは「回転軸の方向」
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仮に、ボールの回転軸が進行方向と直角な、つまり純粋な「バックスピン回転」の投球であれば、回転数が増えれば増えるほどボールを変化させる力(揚力)がはたらく。
しかし、回転軸が進行方向と平行な、いわゆる「ジャイロ回転」のボールは、いくら回転数が増えても揚力は作用しない。つまり、ジャイロ回転のボールは回転数が増えてもボールは変化しないのだ。
バックスピンとジャイロスピン、ボールの回転軸の違い 【Baseball Geeks】
ボール変化量とは
ボール変化量とは、重力の影響のみを受けてボールが到達する地点を原点としたとき、揚力の影響を受けてボールがどれくらい変化したのかを数値化した指標のこと。ボールの回転数と回転軸が揚力を決定する「原因」であり、ボール変化量はそれらによって変化した「結果」とイメージするといいかもしれない。
ボール変化量の定義。実際の投球(黄線)が原点(青線)からどれくらい変化したかを示す(右投手の場合) 【Baseball Geeks】
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