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速球は最も飛ぶボール?
球種別で見られる打球特性とは

 トラックマンやスタットキャスト(Statcast)に代表されるトラッキングシステムの導入により、野球界には「革命」が起こっています。見えなかったものが見えるようになり、野球の「真実」が、徐々に解き明かされ始めています。


 連載「それってホント? 野球の定説を検証」では、「あのときの僕」が信じていた野球の定説をデータやスポーツ科学を使って検証。観る人・プレーする人・支える人すべてに、野球の真実・野球の新たな面白さをお届けします。


 第8回は「球種別の効果」について。

速球一本での勝負は見るものをアツくするが、「速球」とはどのような性質をもったボールなのだろうか
速球一本での勝負は見るものをアツくするが、「速球」とはどのような性質をもったボールなのだろうか【写真は共同】

「オールスターならではの真っ向勝負」


 先日行われたプロ野球のオールスターゲームで、速球一本で勝負する投手たちにこのような表現がされる場面が多く見られた。一流選手たちが力いっぱい勝負する姿に魅了された人も少なくないかもしれない。


 今回は、投手の球種に着目し、メジャーリーグのトラッキングデータを使って「速球」がどのような性質をもったボールであるのかを考えていきたい。

速球はどの程度投げられているのか

 速球の性質を考えていく上で、まず速球がどの程度投げられているのかを見てみたい。2018年メジャーリーグの全投球約73万球から、球種別の投球割合を下記に示した。

【Baseball Geeks】

 図をみると、速球は35%と最も投球割合が高かった。「速球はピッチングの中心」と言われることも多いが、実際に最も多く投じられる球種であった。

イベント割合で見る各球種の傾向

 次に、球種別にどのようなイベントが発生したかを見てみよう。


 投球に対し打者がスイングを行うことで、空振り・ファウル・ゴロ・ライナー・内野フライ・外野フライのいずれかが発生する。これを「イベント」と定義する。

【Baseball Geeks】

 それぞれのイベント毎に失点するリスクを考えた場合、最もリスクが低いのは空振り。三振を奪えば、失点する可能性は限りなくゼロだ。打球となった場合は、どんな打球かによってリスクは変化するが、ゴロはフライやライナーと比べて安打や長打の可能性が圧倒的に低い。すなわち、リスクが小さい。

 では、球種別で起こるイベントはどのような性質を持つのか。投手にポジティブとなる場合を赤、ネガティブになる場合を青で示した。「外野フライ+ライナー」は安打や本塁打が生まれる可能性が大きいため、パーセンテージが低くなるにつれて投手にとってはポジティブになる。

【Baseball Geeks】

 空振りを最も奪っている球種はスプリット。スライダーもスプリットに匹敵するほど、空振りの割合が高い。ツーシームは空振りが少ない一方で、極端にゴロが多いという特徴を持っていた。


 一方で、速球の空振り割合はスプリットの約半数であった。速球は、空振りやゴロが少なく外野フライとライナーが多いという球種であった。このデータから、速球は失点のリスクが高い球種であるように感じる。

Baseball Geeks
Baseball Geeks

株式会社ネクストベースが運営する最先端の野球データ分析サイト。「ボールがノビるって何?」「フライボール革命って日本人には不可能?」など、野球の定説や常識をトラッキングデータとスポーツ科学の視点で分析・検証していきます。 "野球をもっと面白くしたい" "野球の真実を伝えたい"。これがベースボールギークスの思いです。 書籍『新時代の野球データ論 フライボール革命のメカニズム』(カンゼン)が7/16より絶賛発売中。

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